日本の冬から早春の風景を可憐に彩るスイセンは、地中海沿岸生まれの秋植え球根。日本では、古くからその清楚な美しさと淡い芳香が好まれ、庭に植えたり、正月の花として飾られたりして重宝されています。 また、与謝蕪村の俳句「水仙や寒き都のここかしこ」(寒い冬の京だが、あちこちに水仙の花が咲いて目を楽しませてくれる)にも、水仙が冬の季語として使われているように、冬を代表する花でもあります。 スイセンの系統は二つに大別されます。①11月ごろに房状に咲くニホンスイセン、②3月ごろに一つの茎に大きな花を一つ咲かせるラッパスイセン系統です。花色は、主に黄色系統と白色系統があります。 現在では、30種類の原種とそれからなる1万種以上の園芸品種が出回っていますが、英国王立園芸協会によれば、カップの形や咲き方、交配親などの違いから、12系統に分類されています(表)。 この分類のほかに、開花期や草丈などによるグループ分けを知っておくと、用途にあわせて品種選びをしやすくなります。表下に三つのグループ分けを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
【スイセンの育て方のポイント】
①つくり方ラッパスイセン、大盃スイセンの植えつけ間隔は20cm、房咲きスイセン、そのほかの種類は10~15cmで、深さは10cmとします。油粕や未熟堆肥の使用は控え、有機質肥や化成肥料を少量与えるか、マグアンプKを1平方メートルにつき400g与え、よく土と混ぜてから植えます。覆土が浅すぎると小球がたくさんできて、逆に開花しなくなります。掘り上げは葉が枯れ上がり、黄変が3分の1まで進んだときに行ない、日陰の通風のよいところにつるします。掘り上げ直後に乾かさないと腐敗しやすいです。
②窓辺に鉢植えのスイセンを
7月から8月ごろに球根を掘り上げて、適当な小鉢に密植し、そのまま10月ごろまで鉢ごと地に埋めておき、霜のおりるころから、暖かい部屋かフレームに移せば、まだ寒い2月に咲き出します。 また7月から8月ごろに掘った球根を、乾き気味の砂のなかに貯蔵しておき、10月ごろに鉢植えするか、あるいはミズゴケで皿やコップなどに植えてみるのも楽しいものです。