何といってもあの「粘り」と、五角形のかわいらしい切り口が人気のオクラは、アオイ科に属し、若い莢(さや)果を利用する野菜です。暑さに強く、日本の真夏でも野菜の中で最も美しいといわれる黄色の花を次々に開花させ、果実を着果させていきます。 栄養的には、ビタミンやミネラルを多く含む栄養価の高い野菜といえます。人気の「粘り」成分は、ペクチンなどの食物繊維と糖たんぱくのムチンとの混合物です。日本人は納豆、ヤマノイモ、サトイモなど、ネバネバしたものを好んで食べますが、「粘り」が「根張り」に通じ、さらに「最後まで粘ってがんばる」の意味で、縁起をかついでいるのもあるようです。 オクラの原産地はアフリカで、そこからエジプト、中央アジア、インドなどの亜熱帯地域へ広がり、各地で栽培されて重要な野菜となっています。日本へは中国を経て、江戸時代末期に伝わったといわれますが、栽培が一般的になったのは近年のことです。 熱帯地方では多年草ですが、日本では一年草として扱われます。というのも、原産地がアフリカという特徴ゆえ、寒さに弱く、10℃以下の低温では生育が停止してしまうからです。したがって、原産地では草丈が4~5mほどに生長するのに対し、日本では品種によって異なりますが、おおむね1~2mです。 吸肥力が強く、元肥が多すぎると草勢が強くなって着莢(ちゃっきょう)が悪くなりますので注意します。また、栽培が比較的長期間にわたるため、畑では有機物を多めに投入し、土づくりを心掛けますが、コンテナ栽培でも肥料切れに注意しましょう。