ヨーロッパから温帯西部アジアが原産地とされるアスパラガスは、ヨーロッパでは2000年以上前から栽培され、古くから春を告げる野菜として親しまれてきました。冷涼で比較的乾燥した気候を好みますが、高温多湿にも適応できることから、現在ではヨーロッパ北部や北米、中国北部などの寒冷地域から、中南米や東南アジアなどの熱帯および亜熱帯地域まで幅広く栽培されています。 日本へは江戸時代にオランダ人によって観賞用として伝わり、当時は「オランダキジカクシ」と呼ばれていました。食用としては、大正時代に北海道の缶詰会社がホワイトアスパラガスを商品化し、現在では北海道から九州、沖縄まで広く栽培されています。種類はグリーンアスパラガス、紫アスパラガス、ミニアスパラガスなどがあります。また、土中で日光に当てずに育てたホワイトアスパラガスには、独特の苦みと香りがあり人気があります。
【アスパラガスの栽培ポイント】
アスパラガスは1度定植すると10年近く植え替えないため、土づくりは特に重要になります。定植の1カ月前までに完熟堆肥、苦土石灰、発酵鶏ふんを全面に施し、深耕します。さらに定植10日前までに化成肥料などの元肥を施し、土とよく混和します。畝は幅150~180㎝ 、高さ30㎝ のカマボコ型にします。タネから苗を育てるには、育苗に1年、初収穫までに2~3年かかります。ハウス内で1月下旬~2月下旬に9㎝ポットまたは72穴プラグトレイに1粒ずつまき、発芽まで25~30℃で管理します。なお種皮が厚くかたいため、タネの表面に傷をつけて吸水しやすいようにします。苗を購入する場合は太い根が張り、しっかりとした若芽がついているものを選びましょう。
定植時期は霜の心配のない5月ごろに株間35~40㎝ の1条植えとします。苗は草丈25㎝ 以上で茎数3~4本になったものを植えます。