秋に咲く冷凍ユリの育て方・栽培方法を解説!
冷凍ユリとは、ユリの球根をマイナス1.5〜マイナス2℃の温度で氷温貯蔵することによって、いったん生育を抑制したものです。また、それを解凍処理したうえでお客様にお届けしますので、どこでも簡単に、植えてすぐ育つ様子を観察でき、本来より開花時期をずらしたユリが楽しめます。
これは近年、温度処理技術の進歩や、流通が迅速になったことにより実用化されたものです。
そもそも、ユリ球根を氷温貯蔵するという技術は、ユリの切り花を1年中いつでも安定して生産するために生まれたものです。この技術により、本来芽が出る時期より半年から1年間生育を遅らせることが可能になります。よって、生育・開花する時期を容易に変えることができます。また、低温で貯蔵している間に球根内に花芽が作られるため、より確実に花を楽しむことができます。これらのことから、日本国内で切り花用として植えられるユリの7〜8割がこの手法を用いられるまでに発達してきました。
氷温貯蔵した球根をそのまま植え付けてしまうと、急激な生育により葉の一部が白く色抜けする「葉焼け」と呼ばれる症状が現れやすくなったり、蕾の数も少なくなるのですが、これを解決するための解凍処理技術の確立も、安定して咲かせるための一役を担っています。
植え付け時の地温により処理期間や温度に違いがありますが、一般的には、2℃で1週間、5℃で1週間、15℃で3日間の順で、温度を徐々に上げて、植え付け時の温度に慣れるようにする処理が施されています。
1967年、福島県生まれ。
富山県砺波市のチューリップ四季彩館で花壇の計画・管理に携わる。幼少より関わってきた球根植物を専門とする。