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話題の野菜ヤーコン

話題の野菜ヤーコン話題の野菜ヤーコン

低カロリーで、生でも食べられるヤーコン。サツマイモに似た形状で、
無農薬で丈夫に作ることができるとあって、近ごろでは家庭菜園で栽培する人が増えています。
ヤーコンの特性と栽培方法、調理方法を紹介します。

注目の野菜、ヤーコン

ヤーコンといっても農家でも知らない方が多く、比較的新しいタイプの野菜といってよいでしょう。市民農園などで楽しみながら作っている家庭菜園愛好家に人気があります。
何か珍しい野菜はないか、体によい健康食材がないか、無農薬でも作れる丈夫なものはないかと探し求める家庭菜園愛好家は、テレビ・新聞・雑誌に紹介されるものに敏感な反応を示します。そのようにして注目された野菜の1つがヤーコンで、園芸店で苗を求めて作る人が増加しています。
ヤーコンは、南米アンデス地方が原産といわれるキク科の植物です。根部はサツマイモに似た形状と色で、肉質は甘くて水分が多く、シャキシャキした食感が楽しめます。低カロリーの野菜としても知られており、生食できるほか、炒め物やジュース、漬物などにも利用できます。
アンデス原産というだけあって、夏は涼しく排水のよい所を好みますが、霜には弱く、寒さ対策には注意を要します。また病害虫には強くて丈夫です。

根部を食用とし、低カロリーで甘みがあるヤーコン(筆者菜園)。

根部を食用とし、低カロリーで甘みがあるヤーコン(筆者菜園)。

根部は一見してサツマイモに似ている

根部は一見してサツマイモに似ている。

栽培のポイント

<育苗>

タネイモを電熱温床に伏せ込むと、1個のタネイモから10本程度の芽が出てきます。それを1本ずつ分け、ポットに鉢上げして育苗します。
少ない本数であれば毎年、苗を購入するのもよいでしょう。

<植え付け>

 畝幅と株間は1m×1m程度、元肥に1m2当たり堆肥2kgを施し、生育期間が長いので有機化成などの緩効性肥料を100g施用します(第1図)。
 植え付け適期は、一般平坦地では4月下旬〜5月中旬ですが、霜や低温に弱いので、早植えは避けます。寒冷地では5月下旬ごろに植え付けましょう。

第1図 植え付け

第1図 植え付け

<その後の管理>

 排水と除草を兼ねて、両側から土寄せをします(第2図)。

第2図 土寄せ

第2図 土寄せ

<収穫>

イモは、基部(根元)にサツマイモ状につきますが、収穫は茎葉が枯れる前、10月中旬ごろから行います(第3図)。収穫直後から食べられますが、2週間ほど保管すると、サツマイモのように皮の色の赤みが増してきます。

第3図 収穫

第3図 収穫

<食べ方>

筆者宅では皮をむき、短冊状に切り、ポン酢やマヨネーズをつけて生で食べています。切り口は時間を置くと黒変しやすくなりますので、すぐに食べない時は短冊切りにして酢水につけておくと変色を防げます。

収穫して2週間ほど保存しておくと、サツマイモのように皮が赤くなる。

収穫して2週間ほど保存しておくと、サツマイモのように皮が赤くなる。

皮をむいてポン酢やマヨネーズで食べるなど、生食もできる。

皮をむいてポン酢やマヨネーズで食べるなど、生食もできる。

ヤーコンのあっさり炒め

オリゴ糖を含み、ほんのり甘い味わいのヤーコン。今回は、ヤーコンのしゃきしゃきした食感を生かした、きんぴら風の炒め物をご紹介します。生食できるので、炒める場合はさっと火を通すだけでよいです。

材料

  • ヤーコン300g
  • キヌサヤ60g
  • ゴマ油大さじ1
  • 大さじ1
  • うすくちしょうゆ小さじ1
  • 適量
  • いりゴマ(白)適量
ヤーコンは皮をむいて薄切りにし、酢水にさらす。キヌサヤは筋をとり、さっと塩ゆでする。
鍋にゴマ油を熱し、水気を切ったヤーコンを加えてさっと炒める。酒、うすくちしょうゆ、塩を加えて炒め合わせる。
キヌサヤを加えて、軽く炒めたら火を止める。器に盛り、いりゴマをかける。
鈴木 洋 (すずき ひろし)

元・山形県村山農業改良普及所長

鈴木 洋 (すずき ひろし)

山形農試園芸部でのそ菜試験研究をはじめ、地域での要職を歴任。県職を退職後は、民間企業で肥料、園芸培土の研究、推進に努め、また、全国農業構造改善協会技術参与として、長井市西根地区大規模園芸施設導入計画の策定にも携わる。現在、家庭菜園づくりを指導。