中玉品種の中でも群を抜く甘み!
味のよさを追求して作られた中玉トマト。生育が旺盛なので大玉より作りやすく、初心者でも気軽にチャレンジできます。
体験農園の園主として、年間約50種類の野菜の栽培法を指導している加藤正明さんが、おいしい野菜をたくさん収穫するための「菜園プランニング」の秘策を伝授!冬の間にじっくり計画を練って、春からの栽培に備えましょう。
気温や湿度などの条件がよい適期に栽培すると、野菜が本来もっている力で順調に生育します。一方、適期を外すと、どんなに手を掛けてもうまく育たない可能性が高くなります。
菜園プランを考えるに当たっては、個々の野菜の栽培適期を頭に入れ、上手にプランニングすることが成功への早道。適期を守ってこそ、無駄のない栽培ができるのです。
1年の計画を立てる際は、秋冬野菜のスタート時期に気をつけて。植え付けやタネまきが遅れると日に日に気温が下がり、寒さで収穫できないこともあります。夏野菜の片付けが終わった後の土づくりに2〜3週間以上必要なので、その期間も考慮してプランニングします。
※このカレンダーは中間地を基本とした目安です。品種によって時期に幅があります。
野菜作りでは、よく「連作を避け、輪作しよう」などといわれます。これは、同じ科の野菜を同じ場所で続けて作ると、発芽や生育不良が起こり、十分に生育できずに収穫量が減少したり、枯死したりする「連作障害」が起きやすくなるからです。また、野菜ごとに連作を避ける年数が決まっているので(「輪作年限」参照)、1年半〜2年先まで見越したプランを作成しましょう。
図のように区画を分割し(A〜D)、毎年異なる科の野菜をローテーションして栽培する。特に、春夏中心のナス科とウリ科、秋冬中心のアブラナ科は、品目が多くなるので計画的な栽培を心掛ける。
スペースが限られた菜園では、株の広がり、収穫時期なども考慮して組み合わせるのがポイント。次のような工夫でたくさんの野菜を育てられます。
ジャガイモの畝の端に、5月上旬にカボチャの苗を植え付ける。つるが本格的に伸びるころ(6月中旬)にイモの収穫を終えるようにプランニングすれば、スペースが無駄なく使える。
7月に長ネギを植え付ける畝では、3〜5月にホウレンソウとカブを栽培し、5〜6月に40〜50日で収穫できるコマツナ、タアサイなどの葉物野菜を栽培。長ネギの植え付けは、溝を掘るだけで土づくりは不要なので、あいた期間を利用してさらに収穫が楽しめます。
8月下旬〜9月上旬、ミニダイコン、青首ダイコン、白首ダイコンなど複数の種類のダイコンのタネをまきます。最初にミニダイコンが収穫でき、青首、白首の順に収穫のタイミングがくるので、10月下旬〜12月にかけて長期間、収穫を楽しめます。
夏野菜の収穫が続く8〜9月、今まで通路だった場所に、秋冬野菜のタネをまくアイデアも。例えば、収穫中のトマトとナスの畝間の通路を耕し、コマツナやミズナなどのタネをまきます。夏野菜の管理や収穫は反対側の通路で行いつつ、秋冬野菜の仕込みもできるので、夏野菜の片付けが遅れている時などに試してみては。
春からの野菜作りに備え、プランニングと並行してやっておきたいのが、冬の土づくり。通称「寒起こし」とも呼ばれ、夏野菜のできが格段によくなるので、冬の厳寒期(2月ごろ)にぜひやっておきたい作業です。
栽培スペースの土をスコップで深さ40〜50pほど掘り、上の土と下の土を入れ替えます。土の表面にある肥料分が下層土にいき、根が深く伸びるので生育がよくなります。表面に出した土は、砕かず、塊のまま残します。寒さに当たる塊の表面積が増えることで病原菌が死滅し、土が凍ったり溶けたりすることでフカフカになる効果もあります。
初心者が品種を選ぶ際に大事にしたいのは、なんといっても育てやすさ。カタログやタネ袋などに、「家庭菜園向け」「作りやすい」「暑さや寒さに強い」「病気に強い」などの表示があるものを選ぶと成功率が高まり、収穫量アップが期待できます。
野菜作りにおいて、原産地を知ることはとても大事。例えばトマトの原産地は、寒暖の差が激しく、雨の少ないアンデスの高原地帯。高温多湿の日本で栽培するには、水はけをよくすることがポイントです。インド原産のナスは、高温多湿が大好き。水を多めに与えるとよく育ちます。畝の高さや雨よけ、遮光などの工夫で出身地の環境に近づけることで、大収穫が期待できます。
甘さ、おいしさで人気抜群のオレンジ色のミニトマト。従来のミニトマトより、カロテンが約3倍。家庭菜園でもたっぷりとれる。
カラフルな果実は、
菜園でも目を引きます!
植え付け後早くから、ずっしりとした食べ応えのある長ナスが収穫できる。性質が旺盛なので、夏の暑さに負けずぐんぐん育つ。
みずみずしさ、やわらかさを
兼ね備えた長ナスです。
きめ細やかな肉質が人気の長ナス'筑陽'のトゲなし版。生育後半までスタミナが持続し、食べ応えのあるナスがたっぷりとれる。
ナスといえばコレ!色つやがよく、安心して栽培できます!
全国的に評判が高い'夏すずみ'の改良品種。病気になりにくく、長期間安定して収穫できるので家庭菜園にもおすすめ。
接ぎ木苗なら株が長もち。収穫が長く楽しめます!
焼いても炒めてもおいしい、ジャンボサイズの甘長トウガラシ。たくさん収穫できるので、家庭菜園でも作り甲斐がある。
農園の定番品種
1株からたくさんとれるので、省スペースでお得感もたっぷり。
1株からの収穫量が多く、夏から初秋まですずなりにとれるのが魅力。黒あざ病がほとんど発生しないので、初心者でも安心。
1株からたくさんの
果実がとれるのでお得!
東京都練馬区の体験農園「百匁の里」園主として、野菜の植え付けや管理作業、調理法までさまざまな指導、アドバイスを行う。著書に『加藤流 絶品野菜づくり』(万来舎)。
房どりできるのも人気の秘密です!