リレー咲きでチューリップを長く楽しもう!
いくつかの品種を混ぜて植えることは難しいと思われるかもしれませんが、まずは同系色の組みあわせから始めてみましょう。好きな色を1色決めたらチューリップのカタログを参考にいくつかの品種を選びますが、初めにチェックしたいのが花期です。チューリップの花期は品種によって早咲きから遅咲きまで約1カ月の幅があります。2品種のチューリップを選ぶ時はまったく離れた時期に咲くものを選ばず、花期が少し重なるようにすると2品種が一緒に咲いた時の華やかさを楽しむことができます。もし、一番早く咲くものと一番遅咲きの品種を選んだ場合には、最初のチューリップが咲き終わってから少しの間は何も咲かないことになります。例えば4月上旬に咲くものと4月上中旬に咲くものを選ぶと、何日間かは一緒に咲いているのでとてもボリュームのあるチューリップ花壇が楽しめます。実際には蕾が色づいた時から花の数が多くなったように見えるので、そこから満開になるまでの変化も楽しむことができます。
2品種以上のチューリップを選んで花壇をつくる場合、チューリップだけしか植え付けていないと秋から3月までは土だけの花壇になってしまいます。その時に水やりを忘れ、チューリップがうまく育たなかったという例もよく耳にします。しかし、一緒に草花を植えておくと水やりを忘れることもなく、花壇も秋の終わりから色あいが楽しめるので一石二鳥です。
チューリップと一緒に植えて長く楽しめるのは春咲きの一年草です。なかでも、花が細かくてたくさん咲くものを選ぶと、チューリップがよく引き立ちます。また、草丈はチューリップよりも低いものにすると、より一層チューリップが目立ちます。草花の色はチューリップと同系の色にまとめると洗練された印象になりますし、チューリップの色を引き立てるためにはクリサンセマムのような白、あるいはワスレナグサのようなブルーをあわせると効果的です。
上の写真は、黄色のチューリップで花期が異なる品種を3種選び、3月下旬から4月下旬まで、花が続くよう工夫したケースです。同系色の中から選ぶ場合、花形の違うものを選ぶ、または花の色の濃さが違うものを選ぶことが花壇の表情を豊かにするポイントです。
上のケースでは、早咲きの「キャンデラ」と4月上旬に咲く「ヤープロート」は大体同じような花形をしていますが、色は同じ黄色でも「キャンデラ」は濃い黄色、「ヤープロート」は優しい印象の黄色です。また、4月中旬に咲く「フラッシュバック」は「キャンデラ」とほとんど同じような濃い黄色ですが、花の形が違うのでコントラストをつけることができます。
上のケースでは、小花がかわいい黄色のリナリア「グッピー」を一緒に植え、土面を隠しました。「グッピー」にはブルーや濃いピンク、パステルカラーなどの花色があるので、チューリップの色にあわせて選べます。また、花色が豊富なビオラの「ビビ」シリーズもおすすめです。
華やかで変化のある花壇にしたい時には、異なる花色のチューリップを次々に咲かせるプランもおすすめです。左の写真は道路沿いの花壇に、黄色とピンクのチューリップを4種類使ったケース。細長い場所なのでボリューム感を出すために高性種のキンギョソウを背景に植え、ピンク系のパンジーとデージーの間にチューリップを植えています。4月上旬にはクリーム白から桃色へのグラデーションが美しい「ダイナスティー」と優しい黄色の八重品種「モンテビュー」が咲き、続いてゆり咲きの「フラッシュバック」、そして4月下旬には紫色の枝咲き品種「ナイトクラブ」でイメージチェンジ。枝咲きのチューリップなら、1品種でもボリュームを出すことができます。
黄色の「あけぼの」と朱赤色の「ダーウィンオレンジ」を組みあわせた花壇です。黄色だけの時期、黄色と朱赤の両方が咲く時期、そして最後は朱赤だけの時期、3つの異なる印象を楽しめます。ベースとなる草花には黄色のカレンジュラ、赤色のプリムラとパンジーを選んでいます。
チューリップと同じ、春咲き球根のフリチラリアを加えた変化に富んだリレー咲きプランです。ベースに選んだのは、オレンジ色のプリムラ。その中からオレンジ色で、さまざまな花形のチューリップが咲き継ぎます。同系色で移り変わっていく花壇を日々眺めるのも楽しい!チューリップは花形と色の濃さに変化を付けて選ぶことがポイントです。
高性種の大輪「ファンアイク」とグリーン咲き系の「アーティスト」を組みあわせた花壇です。草丈の高低差や「アーティスト」の花弁に緑色の筋が入る個性的な姿が花壇の印象をより強くアピールしてくれます。斑入り葉品種やパーロット咲きなど、個性派の品種をリレー咲きのアクセントに加えるのもおすすめ。
広めの花壇なら品種を多めにして次から次へと花を咲かせることもできます。左の写真の花壇では、サーモンピンク系のチューリップ3品種と白、紫の品種で計5種のチューリップを植え込んでいます。ベースにはワスレナグサを中心にパステル系のビオラやクリサンセマムを使いました。品種を多く植えたい場合には、似たような花形を選ぶと統一感が出てきれいに見えます。
チューリップの球根の植え付けは、11月中旬〜12月中旬が適期です(関東目安)。球根の植え付けと同時に花壇のベースとなる花苗も植え付けるとよいでしょう。パンジー、ビオラ、ワスレナグサ、プリムラ、クリサンセマム、リナリア、キンギョソウ、カレンジュラなど、耐寒性のある春咲き一年草を選ぶと、年内に植えて戸外で越冬できます。
草花は暖かくなってくるとぐんぐん生長するので、植え付け時にある程度ゆとりをもたせておくことが大切です。25p以上離して植えるのがおすすめ。チューリップが咲くまでは寂しく見えますが、チューリップが咲き始め、さらに終わってからも草花をきれいに維持するためにはこのくらいの間隔が必要です。草花は千鳥になるように植え、その間にチューリップを、同じ色がかたまらないように散らして植え付けます。