ミョウガ・シュンサイ等、山菜の種類や栽培方法・食べごろを紹介

山に入って、苦労して自分の手で摘んだ山菜は格別のおいしさです。
しかし、いざ!と意気込んで行っても、山のそこかしこに山菜が生えているわけではありません。
同じような草ばかりが目につき、どれがどの山菜か分からなくなることもしばしば。やっと見つけたとしても、やはり自然の恵みだけに、虫たちに先を越されて、おいしい部分をかじられていたり、生長しすぎていたり、まだ摘むには早かったり。
自然の中に生えている山菜を、ちょうど食べごろの状態で収穫するのは、じつはとても難しいことなのです。
なかなか出あうことができない、おいしい山菜を、収穫しやすくしてくれるのが家庭菜園です。プランターに数株ずつ植え付け、春の芽吹きを待ちながら水やりをする時間は、わくわくする気分のひととき。
山菜苗は日光が当たらない場所(半日陰)が適所です!
これまで「日当たりが悪いから何も育てられない」とあきらめていた方にこそ、ベランダや日陰の庭で、ぜひ挑戦していただきたいものです。
真夏以外は、いつでも植え付けが可能ですが、秋に植え付けて、翌春の収穫を待つのが、ベストな期間です。
秋に植え付けると、冬の間にしっかりと根を下ろし、丈夫に育ちます。株も一回り大きく生長し、翌春には収穫できます。
植え付け時期が春になると、十分に根を張ることができず、翌々年の春まで、収穫を待たねばなりません。
料理する際はゆですぎないように注意します。山菜はたいてい、まだやわらかい新芽を食すので、サッと火が通れば食べられます。ミョウガは噛むたびにキュルキュルと、ボウナはポリポリと、食感も楽しいものです。
昔ながらのおひたしや、汁ものに入れていただくのが、シンプルでおいしい食し方。ほかにも、薬味として、またハーブと同様に、香りを気軽に楽しんでください。
- 茎を折る音を「ポンッ」「ドホッ」などと表現したことから、名がつけられたようです。秋田民謡では「ほんな」の名で歌われています。地方により、さまざまな呼び方があるようです。
いただくのは20cmほどに育った、やわらかい葉や若芽。生のまま天ぷらにしたり、ゆでておひたしにしたり。おすすめは塩漬け。ポリポリとした食感がたまりません。
- 【和名】
- イヌドウナ
- 【別名】
- ボンナ、ウドブキ
- 【科・属名】
- キク科コウモリソウ属
- 【特性】
- 多年草
- 【自生地】
- 北海道から奈良県の山麓や谷間
- 【開花】
- 7月下旬〜9月上旬(東北の場合)
- 【収穫】
- 4月下旬〜5月上旬(東北の場合)
- 【食べごろ】
- 15〜20cmほどに生長した新葉
- 【生長後の草丈】
- 50〜150cm
- 薬用植物として中国から持ち込まれたウコギ。現在は、生け垣などに利用されています。薬用としては、ウコギの根の皮を干したものを煎じたようですが、食用には、若い葉をいただきます。やわらかな新芽を摘みとり、さっとゆでてゴマあえにするとおいしい。また、ハーブのようにも使えます。
- 【和名】
- 姫五加皮
- 【別名】
- ウコギ
- 【科・属名】
- ウコギ科ウコギ属
- 【特性】
- 落葉低木
- 【自生地】
- 半日陰の山林
- 【開花】
- 5月下旬〜6月上旬(東北の場合)
- 【収穫】
- 4月下旬〜5月上旬(東北の場合)
- 【食べごろ】
- 2cmほどのまだやわらかい新葉
- 【生長後の草丈】
- 100〜200cm
- 春:4月下旬〜5月上旬(東北の場合)に新葉
夏:初夏に咲く花の蕾 - 主に知られているのは春の新葉ですが、ねぎぼうずのように丸く咲く、白い花も食べることができます。特に開花前の蕾のころがおすすめです。蕾にもニンニクの香りがあり、素揚げにすると、見栄えのよい一品となります。
- 春:4月下旬〜5月中旬(東北の場合)に出る新茎
夏:早生ミョウガは8月下旬〜9月上旬(東北の場合)
秋:晩生ミョウガは9月上旬〜9月中旬(東北の場合) - 初秋のミョウガだけでなく、春の新茎も食べられます。茎の色が白いものがやわらかくておいしい。茎を刻んで薬味にしたり、汁ものに入れたり、サッとゆでてしょうゆで食べるのもおすすめ。
- 昔、山岳信仰の行者が荒行に耐える体力をつけるためにこれを食べた、という話からこの名前がついたといいます。また、疲労回復を助けるとされているアリシンを豊富に含み、抗菌作用の効果もあるとされます。春の芽出しのころには、ニンニクに似た独特の香りが居場所を知らせてくれます。根、花、タネにも香りがあり、舌触りと味のコクの深さが人気の山菜です。
- 【和名】
- 行者大蒜
- 【別名】
- アイヌネギ、キトビロ
- 【科・属名】
- ユリ科ネギ属
- 【特性】
- 多年草
- 【自生地】
- 北海道から奈良県の山林
- 【開花】
- 6月下旬〜8月上旬(東北の場合)
- 【収穫】
- 4月下旬〜5月上旬(東北の場合)
- 【食べごろ】
- 新葉が10〜15cmほどに生長したころ、2枚葉のうち1枚を摘みとる。
- 【生長後の草丈】
- 20〜30cm
- 【似ている毒草】
- バイケイソウ、スズラン
- よくスーパーで見かけるミョウガの苗です。香りがよく歯触りもシャキシャキで美味。晩生ミョウガが秋に収穫、早生ミョウガが夏に収穫できます。
- 【和名】
- 茗荷
- 【別名】
- 名荷草、鈍根草
- 【科・属名】
- ミョウガ科ショウガ属
- 【特性】
- 多年草
- 【自生地】
- 野生種がないので自生地はありません
- 【開花】
- 8月下旬〜9月中旬(東北の場合)
- 【収穫】
- 早生ミョウガは8月下旬〜9月上旬(東北の場合)、晩生ミョウガは9月上旬〜9月中旬(東北の場合)
- 【食べごろ】
- 開花前のまだ固い蕾が、表土ギリギリに顔を出した時。春の新茎は、茎がまだ白い時。
- 【生長後の草丈】
- 50〜100cm
- ジュンサイは淡水の湖や池沼に生息する多年生の水生植物で、葉を水面に浮かべる水草です。食用として沼や田で栽培され、秋田が名産地として知られています。収穫時期は4月末から9月上旬で、6月ごろが最盛期。古名は沼縄といい、根茎が縄のように長く伸びます。
食用にするのは、透明なゼリー状のぬめりに覆われた若芽や若葉の部分。収穫は、茎から出てくる新芽を一つひとつ手で摘みとります。ビタミンが豊富で低カロリー、つるりとしたのどごしが涼を呼びます。
- 【和名】
- 蓴菜、純菜
- 【科・属名】
- ハゴロモモ科ジュンサイ属
- 【特性】
- 水生植物、多年草
- 【自生地】
- 北海道から九州の澄んだ淡水の湖、池沼
- 【開花】
- 6月〜8月上旬(東北の場合)
- 【収穫】
- 6月(東北の場合)
- 【食べごろ】
- まだ丸まっている(開き切っていない)状態の新葉
- 【生長後の草丈】
- 浮き草のため水面から1cm程度
- 1986年岩手県生まれ。岩手の休耕地を利用し、山菜苗・山野草苗を栽培。小さいころから山菜は身近にあり、食する機会が多い環境で育つ。