はじめてのバラ
![]() ![]() バラは美しく鮮やかな花を咲かせる人気の植物。 鉢植えでも露地植えでも溢れんばかりの魅力を放ち、世界中に愛好家のいるまさにガーデニングの女王様のような存在です。 つるバラで花いっぱいのアーチを作ったり、切り花でブーケ、花弁でポプリや押し花を楽しんだり…。バラの楽しみは尽きません。 また同時に、バラは手のかかる植物とも言われます。 確かに、病害虫の予防や剪定など、バラの花を十分に咲かせるためには様々な作業が必要です。 けれど手塩にかけて育てたバラが満開の花を咲かせてくれる時には、かけた手間以上の感動と楽しみをあなたに与えてくれることと思います。 今回は病害虫に強い品種や比較的扱いやすく手間のかからない品種など、初心者の方にもおすすめのバラをご紹介します。 是非、この機会にあなたもバラのオーナーになってみませんか。 |
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バラには非常に多くの品種があり、咲き方や作出の仕方によって様々な系統があります。
いざバラの栽培をはじめてみようと思うと、種類がたくさんありすぎてどれを選べば良いのか迷ってしまうかもしれません。
系統ごとの特性を見て、あなた好みのバラ栽培にチャレンジしてみましょう。
代表的なバラの系統
系統名 | 略号 | 特性 | |
ハイブリッドティローズ | HT | 春から秋まで咲き続ける四季咲きの大輪の系統です。1本の茎に1つの見事な花を咲かせます。非常に花色や花形が豊富で、バラといえばこれ!といわれるほど人気があります。まっすぐに枝を伸ばす直立の樹形が多く、バラを切り花として楽しみたい方には、ぜひおすすめしたい系統です。 | ![]() |
フロリバンダローズ | FL | フロリバンダとは『花束』という意味です。春から秋まで咲き続ける四季咲きで、その名の通り1枝に数輪ずつ花を咲かせる大変華やかで豪華な系統です。比較的丈夫で手のかからない品種が多く、ハイブリッドティローズと同じく人気の高い系統です。 | ![]() |
クライミングローズ | CL | つるバラを指す系統です。枝が2m以上伸び、フェンスやアーチをつたって花を咲かせます。アーチやトレリスに仕立ててバラを楽しみたい方におすすめの系統です。 | ![]() |
オールドローズ | 1867年に誕生したバラ、「ラ・フランス」よりも前の時代に作出されたバラの総称です。多くは春にしか咲きませんが、優美でクラシカルな姿で人気があります。 | ![]() |
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イングリッシュローズ | デビッド・オースチン氏により作出されたバラの品種の総称です。イングリッシュローズはオールドローズの系統をくみ、クラシカルで優美な姿のままモダンローズ※の四季咲き性※を持っています。全世界で絶大な人気を誇り、樹形などの分類には関係なく、デビッド・オースチン社作出のバラのみがこう呼ばれます。 | ![]() |
※「モダンローズ(現代バラ)」とは、「オールドローズ」とは反対の1867年以降に作出された品種の総称です。四季咲き性や花もち、花つきがよくなるよう品種改良されています。
※「四季咲き性」とは、花が咲くことのできる環境が整っていれば、一年中いつでも花を咲かせる性質のことです。




【1:植え付け】
鉢植えでも露地植えでもバラは育ちますが、バラがよく育つために共通する3つの条件があります。 この条件をできるだけ満たす場所に植えつけてあげましょう。 (1)日当たりのよい場所 (2)風通しのよい場所 (3)水はけのよい場所 <植えつけ前の準備> 苗には「地掘り苗」と「ポット苗」の2種類があります。 地掘り苗の場合は根を覆っている水苔を全て取り外し、土を落としてよく根をほぐします。 ポット苗の場合もポットから苗を抜き取り、土を落として根をよくほぐします。 黒くなって痛んでしまっている根はカットしておきます。 バケツに水をはり、根の部分を2時間程度水に浸けてしっかり水を吸収させておきます。 |
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※注意!※
秋〜冬の苗の休眠期に植え付けをする大苗と、春に出回る新苗や開花苗では植え付け方法が異なります。
今回御紹介するのは、2年生の大苗の植え付け方法です。ご注意ください。
《露地植えの場合》
1)まずは穴を掘って土の準備をします。 穴はバラの苗が十分に植えられる大きさに掘りましょう。 縦横ともに50〜60cm×50〜60cmぐらいが適当です。 バラは水はけがよく、肥料もちのよい土壌を好みます。 植えつける場所の水はけが悪い場合には、植え穴の底にごろ石をひくと水はけがよくなります。 2)次に、掘った穴に腐葉土、もしくは乾燥牛糞などの完熟の堆肥を「元肥」として入れます。 60cmの植え穴には、腐葉土10リットルくらいの量が目安です。 (使用する元肥の種類や用法によって量を加減してください。) そこに掘った土を半分程度戻し、元肥とよく混ぜ合わせます。 |
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3)元肥に直接根が触れないようにするために、残りの土の一部を山型になるように戻します。
その山のてっぺんに苗をおいて、山に沿うように根を広げてあげましょう。
その根のすき間に土を流し込むようにして土を戻していきます。
苗がしっかりと安定するまで、土を戻します。
接ぎ木部分は土の上に出すようにしましょう。
4)植え付けの後、土がどろどろになるぐらいにたっぷり水を与えます。
苗が倒れてしまわないよう、安定が悪い場合にはしっかりと支柱を立てて固定します。
苗が安定することによって、根の張りもよくなります。
最後に、根を充実させるために枝を軽く切り戻しておきます。
《鉢植えの場合》
1)いきなり大きい鉢に植えつけると根が貧弱になるので、生長とともに徐々に鉢を大きくしていきます。はじめは7〜8号鉢程度の大きさで植えつけます。
2)次に植え付けのための土を作ります。
赤玉土7:完熟堆肥3の割合などがよいでしょう。
水はけがよく、水もちのよい用土が理想です。
3)鉢の底にネットと鉢底石をひいて、その上に土を山型に中心が盛り上がるようにいれます。その山のてっぺんに苗を置き、山に沿わすように根を広げて植えつけます。
接ぎ木部分が土から出るよう、深植えにならないよう気をつけましょう。
4)植えつけた後は、鉢から水が流れ出るほどたっぷりと水やりします。
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【2:剪定】
きれいなバラの花を咲かせるためには、剪定が必要です。 切ってしまうのは可哀相!と思いがちですが、正しく剪定しないと花が咲かなかったり、病気にかかりやすくなったりしてしまいます。
健全な生育のために、適切な時期にきちんと剪定を行いましょう。
剪定の方法は、大きく分けて「つるバラ・半つるバラ(クライミングローズタイプ)」と「木バラ(ブッシュタイプ)」の2つに分かれます。



【3:肥料】
バラの花を咲かせるためには膨大なエネルギーが必要です。
肥料を与えることで、バラは美しい花を咲かせます。
自作の肥料を与える場合もありますが、はじめて挑戦する場合は市販のバラ用の肥料がよいでしょう。
与える肥料の種類によって、適切・適量の施肥を心がけてください。
追肥=冬季を除き定期的に施肥します。芽出し・お礼肥はこの中に含まれます。
寒肥=元肥ともいいます。冬季に一度施肥します。
※鉢栽培の場合、元肥は必要ありません。追肥で補いましょう。


【4:病害虫の予防】
バラは病気や虫の被害を受けやすいため、予防や早期発見に努める事が重要です。
健康な株に育て、病気や害虫に対して抵抗力を持たせるとともに、虫害・病害が発生した場合には適切な薬剤を用いて対処してください。
<主な病気と害虫>
バラの病気
症状 | 予防と対策 | 薬剤防除 | |
黒星病 | 葉の表面に黒褐色の病斑ができ、後に黄変して落葉する。放置すると株全体に広がり生育を著しく低下させる。 | 株元にチップやバーグ、ワラなどでマルチングをし予防する。発生してしまった場合は葉柄ごと切り取り処分する。 | ・サルバトーレME&フローラガード ・ハナガードAL ・バラ用ムシキントール ・ダブルアタックセット |
うどんこ病 | 新芽などの水分が多い部分に白いカビが発生する。葉は縮れ、花が咲かなくなる。 | 湿気が多く、日の当たらない場所などで多く発生するため、できるだけ風通しと日当たりの良い場所に置く。 | ・サルバトーレME&フローラガード ・ハナガードAL ・バラ用ムシキントール ・ダブルアタックセット |
バラの害虫
症状 | 予防と対策 | 薬剤防除 | |
アブラムシ類 | 蕾、新芽、若葉などにむらがって発生し、樹液を吸う。春先に多発する。 | 発生時期の前に予防薬剤をまく。小規模な発生ならば刷毛などで全てのムシを落とす。 | ・ダブルアタック ・スターガード粒剤 ・キックバールAL ・バラ用ムシキントール |
ハダニ類 | 非常に小さな虫で、高温乾燥期などに発生しやすい。葉裏から吸汁し、被害が進むと落葉したり生育を著しく低下させる。 | 葉裏に定期的に散水し、ムシを洗い流す。 | ・ダブルアタックセット |
