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ばら特集

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バラの貴公子−大野耕生さんに聞く 楽しむためのバラ選び、栽培方法 (文・写真/大野耕生)

  • 楽しむためのバラ選び
  • 大苗(接ぎ木2年生苗)の場合 栽培方法

楽しむためのバラ選び、栽培方法

みなさんはバラを選ぶ時、何を重要視しますか?
よく「病気にならない丈夫なバラ」というのを耳にしますが、最近は耐病性も上がり、丈夫な品種が多いのであまり神経質にならなくてよいと思います。大切なのは「自分の気に入ったバラ」から始めること。
カタログ片手に花咲く公園に出掛け、お気に入りを探す、などというのもよいですね。
次の選び方のポイントも参考にしてみてください。

顔(花色・花形)で選ぶ

ここ10年ほど人気が高いのは、オールドローズやイングリッシュローズのようなクラシカルな花形のバラ。一方で、ハイブリッドティ系のキリッとした姿も根強い支持があります。
加えて今後注目される予感がするのが「花弁」。花びらの先がフリルやシャーリング状、ハサミで切れ込みを入れたようなピンキング状など、ドレスのような花たちです。

  • クラシカルな花形ジェントルハーマイオニー 折り重なる花弁と芳香が魅力、初心者でも育てやすい。
  • フリル状の花形ミスティパープル 波打つ花弁が優雅な印象。甘い香りもあり育てやすい。

こだわりをもつ

最近のトレンドの1つが「香り」。フルーツやティ、スパイスなど自分好みの系統を探してみましょう。また、文学や地名・人名など品種名の由来や、そのバラの持つストーリーを知って選ぶのも楽しさの幅を広げます。

サイズ(大きさ・樹形)で選ぶ

「かわいらしい花の写真に飛びついて買ってみたら、実は大型のつるバラだった」
「丈の低い品種を花壇の奥に植え付けてしまったので、ほかの植物の陰になって生育が悪い」……では後が大変。
どんなに気に入った花でも、カタログやラベルなどから情報を得て、樹形や大きさを必ずチェックしましょう。

ピエール ドゥ ロンサール 大きく育つが鉢栽培も可能。 花つきもよく、根強い人気を誇る。

プランを立てる

あらかじめ庭やベランダのレイアウトを考えましょう。例えばアーチ=つるバラならなんでも大丈夫、というわけではありません。2mのアーチに5m以上伸びるバラの組み合わせでは、数年のうちに手に負えなくなってしまいます。生長を見越してプランを立てると後の管理が楽になりますし、自然と選択範囲が狭まり、品種を決めやすくもなります。

ナエマ 多数の受賞歴のある芳香種。 アーチ仕立てなどにしても楽しめる。

栽培方法〜大苗(接ぎ木2年生苗)の場合〜

バラは11月下旬〜2月までは休眠期です。この期間に植え付けましょう。
根を乾かさないよう、気をつけて作業するのがポイントです。
根を傷めてしまうことがあるので、初心者には根洗いなどの方法はおすすめしません。

鉢植えの場合 土を少し湿らせておくと、すき間なくしっかり植え込むことができます。

鉢植えの場合 図1

庭植えの場合 なるべく、晴天の日を避けて作業をするのがポイントです。

庭植えの場合 図1

日ごろの管理 品種ごとの特性に沿った管理が必要です。ここでは基本的なポイントのみご紹介します。

水やり
  • 庭植えの場合は基本的に必要ありません(植え付け後、苗が活着するまでは乾いたらたっぷりと)。
  • 鉢植えは水切れに注意。鉢に指を差し込んで土がつかないようなら、鉢底から流れ出るまでたっぷり与えます。
肥料
  • 有機質の肥料を選ぶことが、土壌劣化の防止と健康な株づくりにつながります。
  • 生育や花つきに不可欠なものですが、やり過ぎは禁物です。時期や規定量に注意してください。
庭への植え付け/鉢の置き場所
  • 半日以上日光が当たる場所。ただし、鉢植えでは鉢に直射日光が当たらないように注意しましょう。
  • 風通しのよい場所を選んで、株の蒸れや病害虫の発生を防ぎます。
大野 耕生(おおの こうしょう) 写真大野 耕生(おおの こうしょう)

ローズグロアー 『ローズグロアー』の肩書きで活動する気鋭のバラ栽培家。全国各地のローズガーデンのデザイン・植栽等を手掛ける傍ら、初心者にも易しい栽培方法や、バラの魅力を幅広く伝える講演活動を全国各地で精力的に展開中。近年は愛好家の裾野を広げるため『バラを取り入れたライフスタイル』の提唱に力を入れている。
園芸界では「バラの貴公子」と愛称され、TV・ラジオ出演や書籍執筆・監修多数。
モットーは「1株でも育てている人はもちろん、バラと親しむ暮らしをしている人は誰でもローズグロアーです」。