栄養豊富で栽培が容易な緑黄色野菜
β-カロテンや鉄分などの栄養素をバランスよく含む緑黄色野菜です。耐寒性が強く冬でも育てられる一方、高温に弱く、20℃以上になると発芽や生育が不良になります。日が長い季節はトウ立ちしやすいので、春からの栽培では晩抽性品種を選ぶのがポイント。酸性土壌では生育不良になるので、苦土石灰を多めに施して土づくりをします。
葉物野菜はタネまきから収穫までの期間が短く、間引きながら収穫を楽しめるのが魅力。栽培は比較的容易ですが、予期せぬ時期にトウ立ち(=抽苔)して収穫できないこともあるので、タネまき時期をきちんと守ることが肝心です。
早まきしすぎると低温によって生長点に花芽ができ、その後の高温と長日でトウ立ちするものも多くあります。ホウレンソウやシュンギクは長日条件で花芽ができやすいので、夏にかけての栽培では春まきに適したものを選ぶなど、品種選びに注意が必要です。
寒い時期の栽培ではマルチをしたり、トンネル、ベタがけ資材を使い保温すると早まきが可能となります。
タネを条状にまく条まきや、クワ幅で溝をつけて土の表面全体にばらまくバラまきがあります。また、1穴に数粒ずつまく点まきなら、タネが節約できます。さらに、初めから穴の開いている穴あきマルチを使って点まきすると作業の効率化が図れます。
アブラナ科などの野菜の連作は土壌伝染性の病害の発生を助長するので、他の科の野菜との輪作を心掛けます。また健全な土壌を維持することでも病害の発生は抑えられるので、有機物や石灰資材の施用を適正に行います。
害虫防除のためには、防虫ネットや不織布(ベタがけ資材)などのトンネルがけが有効です。その際、害虫などの侵入を防ぐため、資材のすそにすき間ができないようにするのがポイントです。
温度が十分に上がる前にタネまきすると、低温の影響で花芽が分化します(ホウレンソウなど、長日条件で花芽分化するものもある)。生長点が花芽になると新たな葉の展開は望めません。一度花芽が分化すると、その後は高温と長日条件で花芽が生長しトウ立ちしてきます。トンネルを使って日中高温にすることで、花芽の分化を回避する方法もあります。
β-カロテンや鉄分などの栄養素をバランスよく含む緑黄色野菜です。耐寒性が強く冬でも育てられる一方、高温に弱く、20℃以上になると発芽や生育が不良になります。日が長い季節はトウ立ちしやすいので、春からの栽培では晩抽性品種を選ぶのがポイント。酸性土壌では生育不良になるので、苦土石灰を多めに施して土づくりをします。
1u当たり苦土石灰200g、堆肥2s、化成肥料(チッソ:リン酸:カリ=10:10:10 ※以降同様)100gを散布して幅80pの畝をつくります。穴あきマルチの利用もおすすめです。
畝と直角に15p間隔で深さ1pほどのまき溝をつけ、0・5〜1p間隔で重ならないようにタネをまき覆土します。穴あきマルチ使用の場合は、1カ所に3粒まきとします。
本葉が2枚ほど出たら2〜3pに、4〜5枚になったら6〜8p間隔に間引きます。この時、残す株の根元を手で押さえて根を傷めないようにします。
2回目の間引き時に1u当たり20〜30gの化成肥料を列間に施し、土の表面を中耕して株元に土を寄せておきます。
草丈25pほどで株元にハサミを入れ、切りとります。
ツケナ類の代表種で、名前は東京の小松川に由来する葉菜です。耐寒性・耐暑性ともに強く、真冬を除けば年間を通じて栽培も可能。適応土壌の範囲は広く、連作障害も少ないため栽培は比較的容易です。
β-カロテンやカルシウムなどの栄養素も豊富。葉の形から丸葉と長葉がありますが、丸葉で葉の色が濃い品種が多く作られているようです。
1u当たり苦土石灰100g、堆肥1s、化成肥料100gを散布して幅80pの畝をつくります。
畝と直角に10〜15p間隔で深さ1pほどのまき溝をつけ、0.5〜1p間隔で重ならないようにタネをまき、覆土して手のひらで軽く鎮圧します。
本葉2枚で3〜4pに、5枚で6〜7p間隔に間引きます。間引き菜は捨てずに料理に利用しましょう。
2回目の間引き時に1u当たり20〜30gの化成肥料を列間に施し、中耕して、風で倒れないように株元に土を寄せておきます。
15〜20pの草丈で収穫。株元から切りとり、枯れ葉を取り除きます。
地中海沿岸原産でキク科に属し、ホウレンソウよりもβ-カロテンを多く含む緑黄色野菜です。葉の切れ込み具合が中程度の「中葉種」が主に栽培されます。土壌適応性は広く、栽培は有機質に富む砂壌土が最も適していますが、酸性土壌には弱いのでpH矯正してから作付けします。長日で花芽が分化してトウ立ちするので、6〜8月にタネまきした場合は、トウ立ち前に収穫するようにしましょう。
1u当たり苦土石灰100g、堆肥1s、化成肥料100gを散布して幅80pの畝をつくります。
畝と直角に15pごとに板などでまき溝をつけます。タネが重ならないように0.5〜1p間隔で条まきし、覆土後は軽く鎮圧しておきます。
本葉2枚で3〜4pに、本葉5枚で10p間隔に間引きます。間引いた株も料理に使えます。
2回目の間引き後に1u当たり30gの化成肥料を列間に施し、中耕と土寄せをしておきます。
15pほどに伸びたら順次株元から切りとって収穫します。
ミズナは地方により京菜、千筋京水菜とも呼ばれ、ミブナとともに関西を代表するツケナです。従来、浅漬けや鍋物としての利用が多かったのですが、近年では早めに収穫してサラダなどの生食での利用が増加しており、家庭菜園でも栽培しやすい野菜です。淡泊なイメージがありますが、β-カロテンやビタミン類を多く含みます。
1u当たり苦土石灰100g、堆肥2s、化成肥料100gを散布して幅80pの畝をつくります。
畝と直角に10〜15p間隔で深さ1pのまき溝をつけ、0.5〜1p間隔で重ならないようにタネをまき覆土します。
本葉2〜3枚、本葉7〜8枚のころと2回ほど間引いて4〜5p間隔にします。生育の悪いもの、双葉が不整形のものを引き抜きます。大株にする場合は間引きながら株間を広げ、20〜30p間隔にします。
2回目の間引き時に、1u当たり化成肥料30gを列間に追肥し、土と肥料を混ぜ、株元に土を寄せて軽く押さえておきます。
20pほどに伸びたら収穫します。葉柄が折れやすいので慎重に取り扱いましょう。
ツケナ類に分類され、肉厚で淡い緑色の葉柄とスプーン形の葉が特徴的。β-カロテンやビタミンC・Eを豊富に含みます。また冷涼な気候を好みますが、耐暑性も強い野菜です。根が細く深く伸びるので、耕土の深い肥沃な土地が適し、乾燥すると生育が遅れます。早まきは低温により花芽分化を引き起こし、その後の高温と長日でトウ立ちが促されるので注意します。
1u当たり苦土石灰100g、堆肥2s、化成肥料100gを散布して幅80pの畝をつくります。早まきの場合は穴あきマルチを利用すると生育が早まります。
列間、株間ともに10pあけて、1カ所当たり3〜4粒のタネを点まきします。
本葉4〜5枚のころまでに2回間引き、1カ所当たり1株にします。
2回目の間引き時に1u当たり30gの化成肥料を追肥し、株元に土寄せして株をしっかり立たせます。
株元がしっかり膨らんできたら収穫適期。株元から切り落とします。
サツマイモの葉に似ており、茎が空洞の野菜です。地面を這うように伸びる茎や葉の先端を収穫します。葉にはぬめりがあり、茎にはシャキシャキとした歯応えがあります。β-カロテンとビタミンEを多く含みます。
多湿の土壌を好み、暑さに強く、盛夏でもよく生育しますが、気温の低下とともに育ちが悪くなります。
1u当たり苦土石灰100g、堆肥2s、化成肥料100gを散布して幅80pの畝をつくります。
列間45p、株間30pをあけて深さ1pのくぼみをつけ、1カ所当たり3〜4粒のタネをまきます。
本葉5枚のころ、1カ所当たり1株に間引きます。
月に1回、1u当たり30gの化成肥料を畝の肩の部分に追肥し、土寄せします。
つる先15〜20pのやわらかい部分をハサミで切りとって収穫します。