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新樹種できれいな庭づくり サルスベリとムクゲ

【魅力いっぱい!新樹種できれいな庭づくり】夏の暑さに強い性質が注目!サルスベリとムクゲ

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アメリカで改良されたうどんこ病に強いサルスベリが人気!

サルスベリ

毎年、夏になると最高気温更新のニュースが注目を集めます。最近では37、38℃は当たり前。場所によっては40℃を超す猛暑が続くようになっています。そんな中で夏の庭を美しく管理するのはとても難しいこと。花壇の植物でしたら、1日に朝夕2回の水やりが必要な日も多くなっています。ちなみにアメリカのカリフォルニアではここ数年、猛暑による干ばつが続いており、芝生への水やりや洗車での水の使用にも規制がかかるようになり、違反すると罰金を徴収されることもあるそうです。

それでも庭には夏らしい彩りが欲しいものです。そんな時に利用したいのが、暑さの中でも元気に花を咲かせてくれる花木です。夏に花咲く花木はけっこう種類があるのですが、真っ先におすすめしたいのがサルスベリです。

サルスベリはミソハギ科の落葉高木で、中国が原産地といわれています。最近、公園や街路樹でサルスベリが非常に多く見かけられるようになりましたが、これはアメリカでうどんこ病に強い品種が改良され、それが日本にも広まったためでしょう。じつはアメリカで改良された品種の親は、日本の固有品種で屋久島と種子島だけに分布しているヤクシマサルスベリです。このサルスベリにはもともとうどんこ病に強い性質があり、これがワシントンD.C.の樹木園にもたらされ、うどんこ病に強く、しかもそれほど樹高が高くならない矮性品種が生み出されました。アメリカの育種というのは、どこでどのように使いたいか、という目的が明確に決められていて、誕生した品種は広く世界で利用されており、いつも感心させられます。日本は植物の種類が非常に豊富なため、利用に適した品種は山へ探しに行けばいいので、逆に育種して使いやすくするという発想が発展しにくいのでしょう。

そして、新たにアメリカで開発されたのが矮性で銅葉のサルスベリ「ブラックパール」です。白花と赤花がありますが、銅葉を背景に咲く姿には「これがサルスベリ?」と驚くほどの新鮮さがあります。モダンな雰囲気で、現代の家屋の外観ともよく調和するので、シンボルツリーとしてもおすすめです。

一時、暑さを払拭させる優雅な花、ムクゲ

もう一つのおすすめがムクゲです。アオイ科の落葉低木で、原産地は中国。朝鮮半島経由で日本に伝わり、古くから栽培されています。夏の暑い時期に、あのふんわりした花が咲いているのを見ると、なんとも優雅な気分になるものです。ムクゲというと一重の花を思い浮かべますが、中には花びらが幾重にも重なる手まり咲きの美しい花もあります。その代表が淡い薄紫が涼しげな「紫玉」です。バラやカーネーションに似たエレガントな花が9月の終わりまで咲き続けてくれます。最新の情報では、この「紫玉」の赤系の品種も流通間近の予定で、皆さまが入手できる日も、もう間もなくのようです。

ムクゲ

注目の新樹種×6

サルスベリ

ブラックパール ホワイト

夏の暑さを忘れさせてくれるような純白の花色と、鮮烈な黒葉とのコントラストが美しいアメリカ生まれの品種です。ひと目見て強く印象に残るこの品種は、今までにない花と葉の色の組みあわせがモダンな雰囲気で、夏の庭の印象も一新してくれます。純白の花の中に赤くて丸い蕾が混ざっているのもかわいらしく、満開になるまでの間も見ていて心楽しくなります。ちなみに園芸品種名は‘Ebony and Ivory’。そういえば、1982年にポール・マッカートニー&スティーヴィー・ワンダーが発表した楽曲のタイトルと同じですね。従来のサルスベリは樹高が約5m以上と大きくなるのに比べ、樹高が3〜3.5m、枝張り約2.5mとコンパクトなサイズなので、限られたスペースでも利用できます。サルスベリがかかりやすい、うどんこ病に強い耐性があります。

ブラックパール ホワイト

ブラックパール レッド

魅惑的な黒葉と鮮烈な深い赤色の花が真夏の太陽の下で一層色あいを際立たせ、見る人を驚かせてくれます。モダンながらトロピカルな雰囲気もあり、夏の庭を印象的に演出してくれます。また、花色と同系の赤い蕾もかわいらしく、花とともに目を楽しませてくれます。「ブラックパール ホワイト」と同様、アメリカで生まれた品種で、従来のサルスベリが樹高約5m以上と大きくなるのに比べ、この品種は樹高が3〜3.5m、枝張り約2.5mほどとコンパクトなサイズです。サルスベリがかかりやすい、うどんこ病に強い耐性があります。

ブラックパール レッド

インフィニティー マゼンタ

矮性サルスベリの新品種で、コンテナ栽培用としてコンパクトに早く生長するように育種されたものです。マゼンタ(濃ピンク)色でボリュームたっぷりの花は、夏の長い期間繰り返し咲き続けてくれます。花が終わり寒さが増してくる秋には、紅葉を楽しむこともできます。矮性種なので樹高は60〜120cmと低く、コンテナ栽培だけでなく花壇のボーダーに加えたり、ほかの低木と混植にしてもよいでしょう。また、玄関先の狭いスペースに単独で植えてもビビットなマゼンタが目を引きます。従来のサルスベリに比べ、さまざまな場所に植えることができ、楽しみ方の幅が広がります。

インフィニティー マゼンタ

枝垂れサルスベリ「舞姿」

日本の植木の育種・生産の第一人者、柴道昭氏が15〜20年ほど前に古典園芸品種から実生選抜した枝垂れサルスベリの桃色花種です。支柱を立てて、高くした所から枝を垂らして育てると、きれいな枝垂れになります。樹高は大きくても2m程度なので、自分で剪定などの手入れもでき、枝垂れた先についた花を低い位置で愛でることができます。また、横に広がる特徴を生かして、支柱をせずにスタンダードに仕立てても楽しめます。従来のサルスベリでは考えられなかった仕立て方や植え方で夏の庭に華やかさを加えてみてはいかがでしょうか。また、鉢植えでスタンダード仕立てにすることも可能です。ベランダやテラスで自然に垂れる枝振りを観賞するのも楽しいでしょう。

枝垂れサルスベリ「舞姿」

ムクゲ

宗旦

花弁は白色で、花芯に近い部分にほんのりと赤紅色が入る一重咲きの品種です。ムクゲの代表的な品種で、夏らしさを感じさせてくれる品格のある優しい花色が魅力。ほかのムクゲのように花びらが全開にならないため、満開になっても品のよさがあり、夏のお茶席を飾る茶花としても人気の高い花です。性質もよく、丈夫で育てやすいことも花木として優れた点です。単独で植えても様になり、また、剪定で樹高を調整すれば生垣にもできるなど幅広い用途に利用できます。ハマキムシやアブラムシには注意が必要です。

宗旦

紫玉

ラベンダー色のような濃い青紫の色が珍しい品種で、花びらが幾重にも重なるてまり咲きの美しい花です。夏の蒸し暑さを一時、忘れさせてくれるような独特のクールな色みは、紫玉ならではの魅力で非常に人気があります。ムクゲは、朝に蕾が開くと夜は閉じてしまう一日花ですが、夏から初秋にかけて次々と蕾をつけ、長い期間花を楽しめます。ハマキムシやアブラムシには注意が必要です。

紫玉

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小林 隆行(こばやし たかゆき)

小林 隆行(こばやし たかゆき)
埼玉県生まれ。アメリカのネブラスカ州立大学園芸学科を卒業後、家業の植木生産業を継ぎ、2008年に社長就任後は、国内外の植物に対する知識と海外経験を生かし、新しい植物を海外から導入し、広めている。