キュウリ特集
キュウリの発芽適温は25〜30℃。生育適温は昼22〜28℃、夜17〜18℃で、これ以上の高温では生育が衰え、10℃以下の低温では生育が止まってしまいます。園芸店などでは、年々苗の販売時期が早まっているようですが、気温の低い時は苗の活着が悪いので、丈夫に育たず、よいキュウリが収穫できません。極端な早植えは控え、十分に気温が上がってから作業しましょう。
キュウリは根張りが浅いので、敷きわらなどをして土の乾燥を防ぎます。また、水分の要求量が多い割には過湿を嫌うので、排水性のよい土づくりを心掛けます。
土壌伝染する病気を防ぐためには、連作を避ける、接ぎ木苗を使うなどの対策も有効です。また、チッソ過多などで茎葉が過繁茂したり、整枝を怠って茎葉が込みあったりすると、病気が出やすくなりますので注意しましょう。
遅くとも、植え付けの2週間前までに1m2当たり苦土石灰約150g、完熟堆肥3〜5kgをまき、深さ30cmくらいまでよく耕しておきます。さらに、1週間前までに化成肥料(チッソ、リン酸、カリが各8%のもの)150〜200gと、根が伸びる辺りに熔成リン肥約60gをまきます。熔成リン肥をまくと、実つきがよくなります。
2条植えの場合、畝幅100〜120cm、高さ20cmが標準です。黒のポリフィルムでマルチングすると、地温が高まるので生育が促進され、除草の手間を省くこともできるのでおすすめ。黒マルチに銀線が入ったポリフィルムを使うと、光るものを嫌うアブラムシよけに効果があります。
畝が乾燥している時は植え付け前日に、植え穴にたっぷり水やりをしておきます。一方、苗には、朝のうちに水やりしておきます。条間70cm、株間50cmの間隔をあけて苗を植え付けます。植え付け後は、土が落ち着く程度に控えめに潅水します。そうすると、地温があまり下がらないので活着が早くなります。
植え付けは、午前中の暖かい時間帯に行います。強風や低温などで苗がダメージを受けないように、植え付け後に「あんどん」(右図参照)または「ホットキャップ」で保温するとよいでしょう。
キュウリはつる性で草丈が大きくなるので、支柱は合掌仕立てにするのが一般的。つるは麻ひもなどで支柱に誘引します。本数が多い場合は、支柱にキュウリ用のネットを張ると、つる先をネットにくぐらせるだけで誘引できるので、手間が省けます。
敷きわらは、雨滴による土のはね返りで発生する「べと病」などを防ぐ効果があります。梅雨明け後の地温上昇を抑え、キュウリの生育を促進する効果や、土の乾燥防止効果もあります。気温が高くなり、草勢が盛んになるころにわらを敷きます。わらがない場合は、枯れ草や腐葉土のほか、敷きわら代わりになる資材なども販売されています。
キュウリは主枝が背丈ほどに伸びた所(25節くらい)で芯を止めます。そのころになると、雌花(写真)がついていない節や果実を収穫し終わった節から、側枝が伸びてきます。側枝はそのまま放置すると茎葉が込みあって風通しが悪くなるばかりでなく、果実の生長も悪くなります。そこで、2節(葉2枚目の先)で芯を止めると1節目に着いた果実が収穫できます。(右図参照)
なお、7節目辺りの子づるの1〜2本は芯を摘まないでおくと、株全体の生育がよくなります。
老化して黄色くなった葉はハサミを使って適宜摘みとります。また、病気などでひどく傷んだ葉は早めに葉柄の根元から切りとり、処分します。
生育期間中は肥料切れしないように定期的に追肥します。1回目の追肥は植え付け1カ月後に1m2当たり化成肥料30g程度、2回目以降は1カ月に1回のペースで同量を追肥します。1回目は株の周りに、2回目以降は条間や畝の肩に施し、中耕、土寄せをします。
マルチングしている場合は、株が小さいうちは苗の株元から手を差し入れてまきます。株が大きくなってからはマルチのすそを上げてまくか、棒などでマルチに穴をあけて肥料を落とし込みます。
土の過乾燥、肥料の過不足、幼果に人の手や葉が触れる、アザミウマやカメムシ類などによる果実への虫害などが原因と考えられます。また、葉が病害虫や風などで傷んだ時、一度にたくさんの葉を摘んだ時、つるをまき直した時などにも曲がりやすくなります。
まっすぐなキュウリを作るには、できるだけ株にストレスを与えないことがコツです。
ネギをキュウリの苗と一緒に植えると「つる割病」にかかりにくくなります。また、前年の秋に周囲にバンカープランツ(障壁作物、例:ムギ類)のタネをまいておくと害虫の天敵を呼び寄せ、キュウリにつく害虫の発生が少なくなります。
本当です。生育がよいときには、つるの先端(生長点)近くから出る巻きひげがピーンと勢いよく伸びています。巻きひげの勢いが弱い時は、水や肥料の不足などが考えられます。
千葉大学園芸学部卒業後、農業高校で園芸や生物工学などを指導する。退職後は、書籍の執筆や監修などをするかたわら、家庭菜園を楽しむ。生け花や絵画、写真など多彩な趣味をもつ。著書に「だれでもできる ベランダで野菜づくり」(家の光協会)などがある。
ブログ(ポタジェ)http://potager.jp/