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果菜類の上手な育苗管理

果菜類の上手な育苗管理

春が近づき、待ちに待った夏野菜のタネまきシーズン到来ですね!
トマトやナス、ピーマン、キュウリといった定番の夏野菜の場合、苗を購入するのは簡単ですが、タネから苗を育てる方法(育苗)にもメリットと楽しみがあります。今回は大事な三つのコツをご紹介しますのでぜひ果菜類をタネから育ててみてください。

夏野菜育苗のコツ

好みの品種を選んでたくさん作れる!タネから苗作りをしてみよう!

タネから苗を作れば、園芸店にはない品種やお気に入りの品種・新しい品種などを栽培できます。また、安価でたくさんの苗を作ることができるし、多くできたらご近所の人に苗を分けて一緒に育てる楽しみも広がります。少々手間は掛かりますが、タネから育てた野菜を収穫する喜びは格別です!
果菜類の育苗は難しいと思われがちですが、ポイントをおさえれば大丈夫。苗作りを成功させる三つのコツをご紹介しますので、今年はぜひ作りたかった品種の栽培にチャレンジしてください。

まき時期を守る!

果菜類のタネまきをいつ行うかは、まず定植を行う時期から逆算して考える必要があります。一般に果菜類は高温を好むため、一般平坦地での家庭菜園では5月上旬ごろから多くの果菜類の植え付けを始めます(下図2)。そこから考えると、2月下旬〜3月ごろのまだまだ寒い時期にタネまきをするため、その間の栽培では保温・加温用資材の育苗器が必要となります。

果菜類のタネの発芽温度・発芽適温   露地早熟栽培のタネまき〜植え付け期の目安

必要な資材を使う!

果菜類の育苗には、タネ、培土、タネをまく容器、鉢上げするポリポット、ジョウロ、気温と地温を測定する温度計、トンネル資材や保温用資材などを用意します。タネをまく容器は、作る苗の数が多い場合は播種箱に、数十株程度であればセルトレイに、数株でしたらポットに直接タネをまくのがよいでしょう。2月下旬から3月はまだ寒く、この時期に育苗を行う場合はハウスやトンネルなどの防寒対策が欠かせず、3月中旬以前のタネまきでは温床装置(保温マット、サーモなど)もあると便利です。家庭菜園用の簡易な保温用資材が市販されていますので、利用するとよいでしょう。

育苗に便利/タネまきに便利
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育苗手順にならう!

タネをていねいにまき、加温機や発芽・育苗資材を使って野菜にあった発芽適温と生育適温を保つのが、上手に苗を育てるコツです。またタネまき前の培土の準備は、すべての果菜類に共通のプロセスなので必ず行いましょう。

タネまき前の準備タネまき〜育苗(例:ナスの苗作り)

育苗のお悩み

適期表の通り1月にタネをまきましたが発芽しません。どうしてでしょうか?
おそらく1月の温度の低さが原因です。

タネが発芽するために必要な条件が揃っていないため、芽が出ていないと思われます。発芽には、(1)温度、(2)酸素、(3)水分、(4)光の4条件が必要となりますが、ご質問のタネまきが1月ということなので、温度が低すぎたことが第一の原因に考えられます。野菜ごとに最適な発芽温度があり、愛菜花などの育苗器を使って加温してタネをまいてあげる必要があります。
また、加温による土の乾燥からくる水不足も考えられますので、水もちのよい培土を使用し、発芽するまでは毎日しっかりと水やりをしましょう。

冬にタネをまくので育苗資材を使ったのですが、苗が貧弱で徒長してしまいます。徒長させないポイントは?
温度、湿度、光に注意しましょう。

発芽後に高温・過湿・光不足になると、苗がひょろひょろと徒長しやすくなります。使用している育苗資材が温度設定できるものであれば、昼と夜で温度を変えましょう。昼は発芽適温に近い温度設定にし、夜温は15℃程度に設定します。夜間の生育を抑制することで、徒長しにくくすることができます。温度調節機能がない場合は場所の移動や保温用のカバーをあけるなどのこまめな調整をしてください。
水のやりすぎもよくありませんので、発芽したら水やりを控え、やや乾燥ぎみに管理します。

タネをまいて発芽もしたのに急に枯れてきてしまいました。
さまざまな原因が考えられます。

温度不足や水の過不足、培土の不良などさまざまな原因が考えられます。まず温度不足にならないよう、寒い時期の育苗は加温保温用の育苗資材を利用してください。次に、発芽したばかりの苗はまだ根量が少なく、土壌中の水分の過不足の影響を受けやすいので、毎日苗の様子をチェックし、土の表面が乾いているようなら水を与えるようにしてください。
また、苗を育てる培土は、たねまき培土や育苗培土などの清潔で水はけ・水もち・通気性のよいものを使いましょう。水はけや通気性の悪いものは根腐れを起こしやすく、清潔でないものは病原菌が原因で立枯れを起こす危険があります。