実のなる木・実のなる花 おすすめ20選
果樹以外にも実が魅力的な木はたくさんある
実をつけない植物もまれにありますが、一般的に身近にある多くの植物は花を咲かせ実をつけて子孫を残します。でも、例えばケヤキの花や実は頭に思い浮かべられますが、巨木の代表格であるクスノキは花は小さくあまり目立たないなど、花や実の大きさには大小の差はあります。そのような中、賞味できる実をつけるといえば果樹で、日本にはモモをはじめナシ、カキ、カンキツ類、ブドウなど形、色、食味ともに世界に誇れるものがたくさんあります。これらは長い年月をかけて人の手が加えられ、現在のおいしくて美しい果実としてできあがったわけです。いってみればこのような果実をつける木は、実のなる木の優等生です。アケビやムベ、イチゴノキ、サネカズラといった種類は、実を食べるためにおいてはまだ人の手を加える余地があり、今後、立派な「果樹」に生まれ変わる日がくることも期待できます。
そんな優等生の果樹以外にも、私たちの健康を維持するものや、増進に役立つ成分を含んだ実をつける花木もたくさんあります。そこで今回は、果樹のくくりには入らないけれど、かわいらしくて賞味できる実をつける花木を中心にご紹介します。実を観賞し、さらに食べられる花木は、家族や友人とも楽しめるのが何よりの魅力でしょう。
1 遠くまで薫る芳香と真っ赤な実が魅力 ゲッキツ
●ミカン科の常緑小低木
お届け規格:高さ約40cm2年生12〜15cmポット苗
6〜9月ごろに小枝の先に白い5弁の小花をたくさん咲かせ、その強い芳香から「七里香」「九里香」などの別名もあり、英名の「シルクジャスミン」でも知られます。東京以北では冬季の保護が必要です。秋から冬に真っ赤に熟した実は生食できるほか、ジャムにも利用できます。
2 栄養をたっぷり含む実は漢方でもおなじみ! クコ「千成」
●ナス科の落葉低木
お届け規格:高さ5〜10cm2年生9cmポット苗
自生種は雑木林や堤防などに広く分布し、枝条を時につる状に伸ばしトゲ状の小枝を生じます。しかし昭和40年代にクコ茶の大ブームが起こり、当時は野生のクコは完全に姿を消してしまうほど乱掘されました。葉、赤熟した実、幹皮、根皮などに薬効成分が含まれるとされ、果実酒や料理にもよく利用されます。
3 まんまるの赤い実がとても愛らしい 峨眉山イヌビワ
●クワ科の落葉低木
お届け規格:高さ約60cm3〜4年生12cmポット苗
珍しい植物の宝庫として知られる中国の峨眉山で発見されたイヌビワ。4〜5月に葉腋(ようえき)に小さな花を咲かせ、花後にダイズよりやや大きい丸い実が枝にびっしりつき、赤色に美しく熟します。生食のほかジャムや果実酒でも楽しめます。日本に自生するイヌビワより矮性(わいせい)で実つきもよいのが特長です。
4 実も葉もハーブとして利用できる ミルタス
●フトモモ科の常緑低木
お届け規格:高さ10cm〜20cm2年生10.5cmポット苗
- 「ギンバイカ」の和名でも知られ、5〜7月に咲く純白5弁の小花は清楚で美しく、花後につく小さな実は秋になると黒青色に熟します。実も香りのある葉もハーブとして古くから利用され、別名の「マートル」でも親しまれています。実には甘みとスパイシーな風味があり、乾燥させて肉料理の臭い消しなどに使われます。
5 グミに似たつややかな赤い実が美しい サンシュユ「金時」
●ミズキ科の落葉低木
お届け規格:高さ30cm〜40cm3年生15cmポット苗
朝鮮半島原産で、日本には江戸中期に薬用植物として渡来した花木です。3月に小さい4個の総苞片(そうほうへん)をもつ黄色の小花を咲かせ、10月ごろに楕円形の小さな実が紅熟します。この実を35度の焼酎に漬けたものは強壮や疲労回復等に効果があるとされます。「金時」は実つきがとてもよい品種です。
6 熟した実が食べられる珍しいツタ トムソンヅダ
●ブドウ科の落葉つる性樹
お届け規格:高さ30cm〜60cm3年生12cmポット苗
ガーデニング材料としてよく使われる中国原産の「ヘンリーヅタ」や北米原産の「バージニアヅタ」によく似ていますが、「トムソンヅタ」は実を食べることができるのが特徴です。葉腋にアズキ大の赤い実を3〜5個つけ、熟してくると黒青色に変わります。
7 黒豆によく似た実は優しい甘さ クロマメノキ
●ツツジ科の落葉低木
お届け規格:高さ5cm〜15cm2年生9cmポット苗
6〜7月に咲く白い釣り鐘状の花がとても愛らしく、花後には1cmほどの実をつけ、やがて黒紫色に熟します。白い粉をふいた実が黒豆に似ていることから「黒豆の木」の名前に。実は生食すると優しい甘みで、ジャムやジュース、果実酒などに利用できます。長野県と群馬県にまたがる地域に群落地があります。
8 輝くような橙色の実が美しい キンズ
●ミカン科の常緑小低木
お届け規格:高さ10cm〜20cm2年生10.5cmポット苗
中国南部〜台湾、香港島などに自生が見られ、「マメキンカン」の別名でも知られます。1cm程度の小さな実は「金豆(キンズ)」という名前通り美しい橙色をしています。ただ、実の中はほとんどが小さな種子で満たされているため、食用には適さず、鉢植えや盆栽として楽しむのがおすすめです。
9 花も実も古くからハーブとして利用 エルダーフラワー
●スイカズラ科の落葉中木
お届け規格:高さ約20cm2年生12cm深ポット苗
- セイヨウニワトコの別称。花や実にさまざまな効用があることから、ハーブとして「エルダーフラワー」の名前で知られています。5月ごろにクリーム色の小さな花を咲かせ、夏の終わりから実が熟し始めます。花は乾燥させてハーブティーに、甘酸っぱい実はジャムにして食します。葉色が黄金色のように明るい黄緑色の「オーレア」や、スマートな印象の細葉品種に人気があります。
10 甘酸っぱい実はスイーツに利用したい! サンザシ「北京」
●バラ科の落葉低木
お届け規格:高さ20cm接ぎ木1年生地掘り苗
中国原産で、日本にも薬用植物として古くに導入されました。5月には白い花を咲かせ、9〜10月には実が熟して真っ赤に色づきます。甘酸っぱい実は、ドライフルーツにしたり、果実酒として楽しめます。寒さに強く、栽培が比較的手軽にできるので、もっと普及が期待される花木です。
11 色が変化する花と生食できる実が楽しめる 常緑ヤマボウシ「マウンテンムーン」
●ミズキ科の常緑高木
お届け規格:高さ約30cm3年生10.5cmポット苗
- 中国南部〜ヒマラヤにかけて自生するヒマラヤヤマボウシの園芸品種。6月ごろに咲く丸弁の花は淡黄緑色から白へと変化します。秋に橙色に色づく実は、イチゴに似ていることから英名で「ヒマラヤンストロベリーツリー」と呼ばれます。大きな実は生食でき、ジャムにも利用できます。
12 花期に葉色が白くなる姿も美しい マタタビ
●マタタビ科の落葉つる性樹
お届け規格:長さ約30cm2年生12cmポット苗
北海道から九州の山地の谷沿いの平地部から標高1000mくらいの高い所まで自生しています。不完全な雌雄異株で、5〜7月に新梢の中ほどに2〜2.5cmの白いウメの花に似た5弁花を数個つけます。実は先の尖った長楕円形で、生食すると舌に刺激が残るため、果実酒などにして楽しみます。
13 イチゴに似た実が木になる姿が新鮮! 姫イチゴの木・白花
●ツツジ科の常緑中木
お届け規格:高さ約25cm4年生12cmポット苗
北米、カナリア諸島、地中海沿岸に自生していますが、日本に導入されているのは南ヨーロッパやアイルランド原産の「コンパクト」(ヒメイチゴノキ)と呼ばれているタイプです。10〜12月にスズラン状の白い花を咲かせ、実は翌年10月ごろから紅熟します。実は生食には向かず、ジャムや果実酒におすすめです。
14 白い優雅な花と染料として活躍する実が魅力 実なりクチナシ・一重咲き
●アカネ科の常緑低木
お届け規格:高さ約20cm実生3年生10.5cmポット苗
- 本州中部以西の太平洋岸沿い〜亜熱帯に分布し、径5〜8cm、6〜7弁の純白で香りのよい花を6〜7月に咲かせます。秋には長卵形の実が黄紅色に熟し、昔から染料として布、食品、口紅などに広く利用されてきました。おせち料理の栗きんとんを美しい黄色に染めるのにもクチナシの実は欠かせません。
15 一口で食べられるかわいい甘柿 四川トキワ柿
●カキノキ科の常緑低木〜小高木
お届け規格:高さ30cm以上接ぎ木3年生12cmポット苗
16 素朴なブドウのおいしさを堪能 一才ヤマブドウ
●ブドウ科の落葉つる性樹
お届け規格:高さ15cm〜20cm2年生9cmポット苗
若木のうちから実をつける一才性の品種。5〜6月に花が咲き、8〜10月には小振りの実が房になって実ります。成熟した実は、ジュースやジャム、果実酒にして味わうのがおすすめ。生長の早いつる性なので、棚作りにしたり、フェンスやトレリスに絡ませて栽培するとよいでしょう。
17 小さくてかわいらしく、味も美味! イエローグァバ
●フトモモ科の常緑低木
お届け規格:高さ0.8〜1m実生5年生12cmポット苗
グァバの中でも温帯で栽培可能なのが「イエローグァバ」です。なめらかでつやのある楕円状の葉はやや革質で対生し、秋にピンポン玉よりやや小さい球形の果実が黄色に熟します。完熟してから食べるととても甘く、ジャムやジュースでも楽しめます。熟した実は傷みやすいので流通には向かず、完熟のおいしさは庭で育てたからこそ出あえるものでしょう。
18 枝垂れた枝に実がびっしりつく シダレガキ
●カキノキ科の落葉大低木〜小高木
お届け規格:高さ0.6〜1m接ぎ木1年生地掘り苗
カキノキの仲間では唯一きれいに枝垂れる品種で、実は先の尖った楕円形をしています。これは1本でも結実します。渋柿ですが、収穫後に脱渋すると、とろけるような食感と濃厚な甘みを味わえます。収穫期は11月上旬。早めに収穫して干柿にもできますが、霜が降りるまで木にならせておくのがおすすめです。
19 不思議な形の果柄は見ているだけでも楽しい ケンポナシ
●クロウメモドキ科の落葉高木
お届け規格:高さ約80cm実生2年生地掘り苗
- 本州〜九州の山地に自生する花木で、果柄の先に紫褐色のつやのある実が1個つき、果柄は細長く凹凸に曲がって肥大し、ユニークな形になります。霜に当たると甘くシャキシャキとしたナシのような食感になり、中国では好んでよく食べられています。
20 長い莢果が垂れ下がる姿が個性的 キササゲ
●ノウゼンカズラ科の落葉高木
お届け規格:高さ約20cm実生1年生9cm深ポット苗
明るい緑色の大きな葉をつけ、6〜7月には直径2cmほどの花を咲かせます。花後に急速に実が生長し、長さ30cmくらいのササゲに似た莢果をたくさん下げます。莢果には利尿作用成分が含まれることが知られています。10〜15号のプラ鉢でも栽培できます。
1934年埼玉県生まれ。1957年東京農業大学農学部造園学科卒業。埼玉県農業大学校、埼玉県住宅都市部公園緑地課長、大宮公園事務所長等を歴任。現在は(財)さいたま市公園緑地協会理事、専門学校中央工学校(土木測量系・造園デザイン科)講師等を務める。