1短い栽培期間で収穫できる
平均気温が20℃前後で推移する適温下での栽培では、タネまき後55〜65日という短期間で収穫が可能です。
つるなしインゲンは、タネまきから収穫までが短期間で済むほか、栽培適期も比較的広く、手間を掛けずにいつでも作れる魅力的な野菜です。その特長をうまく活用して、家庭菜園の一品目として組み込んでみてはいかがでしょうか。
平均気温が20℃前後で推移する適温下での栽培では、タネまき後55〜65日という短期間で収穫が可能です。
マメ科作物の多くは、誘引ネットなどの資材を仕立て、つるを誘引しながら栽培する必要があります。しかし、つるなしインゲンの場合は、草丈が80cm程度と比較的低いこともあって、フラワーネットや誘引ひもを使って株を支えるなど、簡単な誘引で十分対応できるため、管理に手間が掛かりません。
つるなしインゲンは、マメ科の中でも栽培可能な気温帯が広い作物です。気温が30℃以上になると、落花や落莢が多発して収量が著しく低下してしまうため、収穫期が盛夏期にかからないようにしなければなりませんが、それを除けばどんな時期でも栽培が可能です。ただし、霜に弱いという特性をもつことから、栽培が厳寒期にかかる場合は、ハウスやビニール資材などを使って保温し、降霜を避ける必要があります。
したがって手軽に栽培するには、一般地で3〜5月に播種を行う春まき栽培と、8〜9月に播種を行う抑制栽培をおすすめします。
例えば、冬作でタマネギなどを栽培した後や、夏作で果菜類を栽培した後には、前作で使用したマルチや被覆資材をそのまま活用してインゲンを栽培することで、効率的に圃場を利用できるようになります。ほかの作物を栽培しているかたわらで、圃場の空きスペースなどを利用して簡単に栽培できるので、輪作体系への組み込みも容易で、栽培品目のバラエティーを増やすことにもつながります。
ほかのマメ科植物と同様、インゲンは連作障害が出やすい作物です。したがって、少なくとも3〜4年はインゲンを栽培していない圃場を選ぶことが重要です。また、多湿に弱いという特徴があることから、比較的水はけのよい場所を選んで栽培しましょう。
過度な密植は光不足による落花や莢色の悪化の原因となり、減収につながります。畝幅約150cm、株間約25cmで2条植え程度とし、株全体に日光が当たるようにしましょう。
インゲンの発芽最適地温は、20〜25℃です。地温が13℃以下や30℃以上になると、発芽率が著しく低下してしまうため、マルチ資材などを用いて適温保持に努めることが重要です。また、この時期は根傷みの原因となる水分過多は避けなければいけませんが、逆に土壌が乾燥しすぎると、順調な生育が抑えられてしまうため、土壌水分保持という目的でも、マルチの使用をおすすめします。
発芽が揃い、本葉が2〜3枚のころに、生育のよい株を2本残してほかは取り除き、初期生育を早めます。同時に、乾燥や雑草発生防止のため、株元に土寄せを行います。
強風による倒伏を防止するため、畝に平行に誘引ひもを張って株をはさみこみます。
開花着莢時期は、水分が不足すると莢の曲がりや短莢の原因となるため、多めの水やりで適湿を保つことが上作のポイントです。
つるなしインゲンは、栽培が短期間ですみますが、株全体にほとんど一斉に着莢する特性があることから、収穫も短期間に集中してしまいます。収穫後、鮮度の低下が急速に起こるインゲンは、一度に大量に収穫しても、保存中に本来の風味を失ってしまうことから、すぐに消費できる量を分けて長期間に収穫したいものです。そこでおすすめなのが「段まき栽培」です。播種を約1週間おきに少量ずつ、数回に分けて行うことで、必要量を長期間にわたって収穫できるようになります。
つるなしインゲンは通常の栽培条件下ではつるが出ませんが、インゲン元来の性質上、栽培環境によっては少しつるが出る場合があります。例えば、低温や日照不足が長期間続いたことで生育や開花が順調に行われなかった場合や、圃場のチッソ成分が過剰だった場合などです。発生したつるは早めに摘みとり、草勢を整えましょう。
「つるなしインゲン」は「つるありインゲン」とは違い、支柱が不要で栽培期間も短く基本的に追肥は行いません。収量はつるあり種に比べて少なくなりますが、1作が短いため、他の作物との輪作体系を組みやすい利点もあります。「つるありインゲン」は摘心しなければ、2〜3m伸長します。そのため、支柱やキュウリネットなどを用いて誘引が必要です。また、高温に強いので、4月下旬から5月下旬までまくことができ、5月上旬まきなら、7月上旬から30日以上収穫を続けることができます。