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ヘデラの楽しみ方

主役として活用できるグリーン ヘデラの楽しみ方

ヘデラ(アイビー)の特長は品種の豊富さと丈夫さで、初めて植物を育てる方に、まずおすすめする植物です。斑入り品種は一見弱そうな印象ですが、環境に慣れると庭植えでもきれいな葉色を見せてくれます。コレクターも多い、珍しいヘデラの楽しみ方と栽培ポイントをご紹介します。

ヘデラは500種以上の品種があるとされ、当園だけでもオリジナル品種が10種あります。当園で特に人気があるのがヘデラ「白雪姫」から広がったシリーズで、葉色が変化することが最大の特徴です。元は緑葉なのが夜温が低くなる10月下旬ごろから、新葉がクリーム色を帯びた白斑となり、緑葉とのコントラストがとてもきれいです。5月中下旬からは徐々に新葉が緑色になり、すでに出ている白斑は薄緑がかったゴマ斑へ変化します。気温により色が移り、一年中観賞できます。
当園で提案している寄せ植えは「ギャザリング」という手法を用いています。通常の寄せ植えでは苗をポットから取り出してそのまま植えるのに対し、ギャザリングでは数種類の根付き植物を花束のように束ねてから植えます。そうすることで植え付けた時から調和し、それぞれの植物を引き立てあうのが大きな魅力です。作業中に気をつけたいことは、ポットから株を出す時に水を与えてから取り出すことです。乾いたまま動かすと根を傷める恐れがあるからです。

ヘデラだけの寄せ植え

品種を多く盛り込むより、3〜4品種までに厳選する方がおしゃれになります。斑入り葉と緑葉をあわせるのが簡単な組みあわせで、斑入り同士の場合は葉姿が違う品種を選ぶとよいでしょう。

  • 丸みを帯びた「雪ほたる」を中心に、「モコモコ」や緑葉タイプのヘデラをアンティーク調の鉢にふんわりと植え込むと、さわやかな色あいに。

  • 葉にウェーブがある「雪まつり」を手前に、「雪の妖精」「モコモコ」などで動きを出した寄せ植え。青い鉢でカジュアルな雰囲気に。

  • ライムグリーン色の「モコモコ」と緑葉タイプのヘデラとの、個性を引き立てあう寄せ植え。ガラスのボトルにヤシの実チップを入れたもので、どこででも観賞できる。

  • 「雪ほたる」と緑葉タイプのヘデラとの寄せ植え。園芸用鳥カゴにヤシ繊維を敷いたハンギングで、土が乾きやすいため水やりに注意して管理する。

ヘデラと葉ものの寄せ植え

ヘデラと同じように乾燥ぎみを好む植物であれば、どんな葉ものでもOKです。葉色の濃淡を生かすとバランスよくまとまります。

  • 濃緑色の葉をもつベロニカを中央に、周りに「雪まつり」「雪の妖精」と緑葉タイプのヘデラなどをふんだんに使った寄せ植え。緑の濃淡を生かすと、ヘデラの斑がよく映える。

  • ハートのワイヤーにつるを這わせたアレンジ。左側に「白雪姫」、中心付近に「雪ほたる」ほか緑葉タイプのヘデラなどと、中央から後ろにフィットニアを植え、奥行きを演出。

ヘデラと花材の寄せ植え

ヘデラと同じく乾燥ぎみを好む植物を選ぶことと、花はいずれ散るので花後の姿を思い浮かべながら作ると長く楽しめます。

  • 白斑がきれいな「白雪姫」とパンジー、エレモフィラをアンティーク樽に寄せ植え。縦、横ともにボリュームが出てお正月の飾りにも向く。

  • 「白雪姫」「雪の妖精」「雪ほたる」と斑入りブルーデージー、オレガノの寄せ植え。中央が高くなるように植え込むとバランスよくまとまる。

ルーティーブーケ(根付きブーケ)

土の代わりに糸ゴケ(アート水ゴケ)を用いる、長期間もつブーケです。ルーティーブーケを作るには、まず根についた土を優しく洗い落とします。根が詰まっている時は水につけて洗うと土を落としやすいです。根が見えなくなるように、糸ゴケを巻き付けてしっかり水を吸わせ、好きな器に入れて観賞します。
適度に水気を切った状態の方が元気に育つので、水につけっ放しにはしません。コケが乾き始めたら水の中へ入れてしっかり水を含ませます。葉水もお忘れなく。つるして飾ることもできます。

  • 「白雪姫」「雪の妖精」などを、額のように飾れる器に入れてインテリアのアクセントに。つるの動きを生かすと立体感が出せる。

  • 「白雪姫」「雪の妖精」をふんだんにあわせたブーケ。つるの長短を組みあわせると、シンプルながらもエレガントな印象に仕上がる。

  • 「モコモコ」と「雪の妖精」などを糸ゴケで巻き包み、帽子に飾ったルーティーブーケ。ブーケやコサージュ、ヘアアクセサリーと幅広く活用できる。

  • ルーティーブーケの土台。

ヘデラの栽培ポイント

明るく風通しのよい場所を好むので、真夏以外は日当たりのよい場所で管理しましょう。
真夏は葉焼けを防ぐため明るい半日陰が適します。
年間を通して過湿と多肥は避けましょう。

  • 水やり

    ヘデラは乾燥ぎみを好みます。庭植えのものは、根づいた後は適度に雨が降れば特に水やりは必要ありません。鉢植えやコンテナガーデンでは水やりが必要です。土が乾いてから鉢穴から水が流れ出るくらいたっぷり与えます。
    土の表面が乾いていても中では湿っている場合があり、確認してから与えましょう。置き場所により土の乾き具合が異なるので注意します。土が湿っているうちに水をやると根腐れの原因となります。

  • 室内での管理ポイント

    ヘデラは明るい場所が大好きです。明るく風通しのよい場所であれば元気に育ちます。どうしても光の少ない場所に飾りたい場合は、ほかの植物とローテーションを組んで、順番に日光に当ててあげましょう。室内では乾燥しがちなので、適度に葉水をやるとダニが発生しにくくなります。

  • 斑入り品種のポイント

    風通しよく蒸れないように管理します。もし茶色く傷み出した葉を見つけたら取り除きます。肥料が切れると葉が色あせてきます。苦手な暑い時期には根の傷みを軽減させるため肥料を与えないので、どうしても色あせてしまいます。ただ、この時期に肥料を与えてしまうと傷むケースが多いので、涼しくなる秋を待ちましょう。
    9月中旬以降に緩効性肥料を与えれば、白雪姫シリーズは10月下旬ごろから新しく白斑が楽しめます。

  • 栽培環境

    室内でも屋外でも楽しめます。室内では明るく風通しのよい場所が適します。屋外の場合は、購入後すぐに直射日光が常に当たる所に出すと葉が傷んでしまいますので、まず軒下など半日陰になる場所で管理し、徐々に外の環境に慣らすと、屋外で庭植えもできます。重要なのは日当たりです。日当たりが悪いと葉が傷み出したり、葉色があせてきたりするので気をつけましょう。真夏の強光は避けます。

  • 植え付け・植え替え時期

    4月上旬〜5月上旬と9月中旬〜11月上旬が最も適しています。ほかの時期でも可能ですが、夏は暑さで根が弱っている場合があるので、なるべく避けます。市販の園芸用培土を使いましょう。

  • 肥料

    年に2度、4月中旬と9月中旬に置き肥の緩効性肥料を与えます。目安として4号鉢で4〜5粒くらいです。肥料が足りないと、葉色があせたり葉の形が変わったりします。注意したいのは初夏から初秋にかけてです。暑い時期に与えると、暑さで根が弱っていることが多く、根腐れしてしまうので適期に行いましょう。

  • 病虫害防除

    病気はほとんどありません。高温乾燥の環境にあると、虫害として葉色が変わるハダニと、葉が縮れるホコリダニ、アブラムシが発生しやすいです。いずれも専用の殺虫剤を散布します。

ヘデラ(ウコギ科)

「雪ほたる」を除く白雪姫シリーズの5品種は季節により葉色が変化します。

ヘデラ3種A セット

  • 白雪姫<農水省登録品種>

    発売当初から大人気のロングセラー品種。株姿が美しくまとまり、雪が降り積もったようにも花が咲いたようにも見える。

  • モコモコ<農水省登録品種>

    「白雪姫」の枝変わり品種。かわいい葉でボリュームが出る。ライムグリーンとクリーム色をあわせたような葉色になる。

  • 雪の妖精<農水省登録品種>

    「白雪姫」の枝変わり品種。波打つような細葉が個性的で、寄せ植えのポイントに好適。ヘデラだけの寄せ植えにも向く。

ヘデラ3種B セット

  • 雪まつり<農水省品種登録出願中>

    「白雪姫」の枝変わり品種。葉の切れ込みが深く、ウェーブが入っているので躍動感がある。動きのある寄せ植えになる。

  • 雪の華<農水省品種登録出願中>

    「白雪姫」の枝変わり品種。「白雪姫」より少し小さめで葉が三つに分かれ、華やかな印象になり寄せ植えにおすすめ。

  • 雪ほたる<農水省登録品種>

    葉物の中では特に珍しい、ホタルが舞っているような丸葉の希少品種。寄せ植えに入れるとかわいらしさが際立つ。

廣野 有香
廣野 有香農業学校を卒業後、愛知県の広野園芸へUターン就農。珍しい新品種を数多く発表しているヘデラ育種家の父のもとで育種・栽培に携わる。ヘデラを中心としたグリーンの楽しみ方や、植物と暮らすライフスタイルを幅広く提案している。