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初夏から秋まで楽しめる庭をつくろう!

初夏から秋まで楽しめる庭をつくろう!

春の花壇が一段落したら、次は初夏から先の庭づくりです。暑い夏の間も、そして秋深くなっても楽しめるようにするには、どんな種類を選んだらよいか、おすすめの草花をご紹介します。
人目につきやすい小径沿いは、常に開花するベゴニアやトレニア、ペンタスを植えるのがおすすめ。左端から中央にかけて咲くピンクのかわいい花はベゴニア「ボンボリーナ キャンディピンク」。くっきりとしたコリウスのレッドリーフや風に揺れるぺニセタムがアクセントに。/初夏から秋の花へ植え替え中!まず、ポットのまま配置してバランスを見て。
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ポイントは暑さに強い植物選びと植え付けのタイミング

月は、春から季節が移り変わるころです。初夏といえども、温暖地では日中は夏日が続くことも多く、強い日差しを感じるようになります。ビオラなどの冬から咲き続ける草花も、だんだん蕾よりもタネが多く見られ、株姿も乱れてきます。これから始まる夏に向けて、草花の植え替えを行いましょう!
ポイントは暑さに強い草花選びと、植え替えのタイミングです。初夏は草花が豊富に見られる季節ですが、長く花を楽しむには暑さに耐える植物を選ぶことが大切です。秋まで咲く開花期の長いベゴニアやコレオプシスなどを選べば、花を楽しむ庭のベースをつくることができます。花の少なくなる夏の間も、キク科のコレオプシスやルドべキアは花を休まず咲かせてくれるので、夏の庭には欠かせません。
ただし、どんなに暑さに強い草花でも、小さなポット苗の状態では、その植物のもつ本来のよさがまだ発揮されていません。本格的な暑さがくる前の5〜6月に植え付け、しっかり根づかせて株に力をつけておくことが大切になります。夏の暑さに強い植物は、生育旺盛なものが多いので、生長した時の草丈や株張りをイメージして、株間をしっかりとるようにしましょう。色鮮やかな花色を取り入れると夏の強い日差しにも色あせず、元気な印象に映ります。
盛夏期は花の種類も限られるので、カラーリーフも積極的に取り入れてみましょう。明暗のコントラストをつけると全体がより鮮やかになるだけでなく、花がら摘みの手間も減って、ローメンテナンスな庭にもなります。

ベゴニア【シュウカイドウ科】

初夏から秋の定番花、ベゴニアも品種が充実しています。スペースや庭の雰囲気にあわせて品種を選ぶことが大切です。小さなスペースを花でいっぱいにしたい時は、まとまりのよい「ボンボリーナ」がおすすめです。ボリュームよく空間を花で埋めたい時は、「ワッパー」を選ぶとよいでしょう。

  • レッドがテーマカラーのコーナー。「ボンボリーナ・チェリーレッド」の後方に大型で銅葉の「ワッパー」、手前に斑入り葉のペンタス「サマースター」を加えて葉色でメリハリをつけて。
  • 長い帯状の花壇の中ほどに入れたベゴニア「ワッパー」がポイントに。カラーリーフのコリウスは、小型の小葉やライムイエローなどを選んで、葉の形や色の対比を楽しんで。

ワッパー

膝丈ほどの草丈に花径4〜7pの大きな花を房にして咲かせるのでボリューム感がある。つやのある葉も美しく、カラーリーフとしても楽しめ、花壇の中〜後方に取り入れると、背景となって手前の草花を引き立てる効果も。

  • レッドブロンズリーフ
  • レッドグリーンリーフ
  • ローズブロンズリーフ

ボンボリーナ

八重咲きの小さなボール状の花はとてもかわいらしく、ベゴニアとは違う花のよう。こんもりと株姿よく茂って、草姿が乱れにくいのもうれしい。夏の間も休まず咲くので、長く花を楽しみたいスペースに最適。

  • ボンボリーナ
  • チェリーレッド
  • ホワイトブラッシュ

コレオプシス【キク科】

丈夫で、日当たりと水はけのよい場所を選べば小花を次々と咲かせ、花色も豊富なのが魅力。初夏の花後に切り戻すと、よく枝分かれして、花の少なくなる夏から秋にかけて長く花を楽しめます。葉が細く繊細な印象なのでナチュラルガーデンによく似合います。

淡いブルーのサルビア ファリナセアやピンクのネコノヒゲの中で、白色に中心が赤色の花弁のコレオプシス「カオス」がポイントに。手前に銅葉のリシマキア「ミッドナイトサン」で引き締め、後方でシルバーリーフのラゴディアで明るく、とカラーリーフを効果的に使って。

  • ホワイトグレース
  • スイートマーマレード
  • クランベリーアイス
  • グレースフルドリーム
  • クレムデブルリ

サルビア【シソ科】

種類豊富なサルビアは、花色や草丈のほかに開花期にも違いがあります。花を楽しみたい時期や、あわせる周囲の草花を踏まえて品種を選びましょう。ボリュームある大型種はナチュラルな印象に、小型のタイプは狭い場所にも向いています。品種によって耐寒性のあるもの、常緑するものや落葉するものなどさまざまなので、花のないシーズンは周りの植物でカバーすると、長く楽しめるコーナーになります。

ワインレッドのサルビア「バンホーティ」にダリアやガーデンアルストロメリアが加わり、鮮やかながら深みのある花色が秋らしい印象。足元にアルテルナンテラの銅葉を加えると花壇が引き締まる。

  • ゴールデンデリシャス
  • ネモローサ カラドンナ
  • カマエドリオイデス
  • メドーセージ

アスチルベ【ユキノシタ科】

花房の形や花色も豊富に見られ、カラーリーフとしても楽しめる品種も充実しています。シェードガーデンを代表する宿根草ですが、暗すぎると花つきが悪くなるので、明るい半日陰に植えるとよいでしょう。水切れを起こすと葉やけしやすくなるので、初夏以降の乾燥に注意してください。

アスチルべ「カラーフラッシュ」は新芽の緑から赤く色づき、美しい葉で開花前後も楽しむことができる。足元に細い銅葉のアルテルナンテラを加えて対比を楽しんで。

  • エリー
  • ルックアットミー

ルドベキア【キク科】

花の少ない季節も休まず咲き続け、とても頼りになる宿根草です。イエロー系の花は明るく、遠くからも目を引くので夏から秋にかけてのガーデンの主役に最適。草丈も高いものから矮性種までさまざまあるので、スペースにあわせて品種選びをしましょう。

  • よく枝分かれしてこんもりと茂る「タイガーアイ」のゴールデンイエローの花と、アカバセンニチコウの銅葉との対比が鮮やか。間に小花のコレオプシスでボリュームを出しながらまとめている。
  • リトルゴールドスター

ジギタリス「イルミネーション」【ゴマノハグサ科】

ジギタリスの近縁種との交配によって誕生したハイブリッドジギタリス。今までにない鮮やかなピンク系のリバーシブルの花色で、よく枝分かれして、一番花後も次々と咲いてくれます。花後にタネができないため花期が長いのが特長。とても丈夫で、暖地でも夏越ししやすい品種です。

フジバカマ【キク科】 花びらの外側が鮮やかなピンクで、内側がアプリコットの複色が華やか。花弁の先が少しとがっていてインパクトがあるので、宿根リナリアやオルラヤのような小花でよく枝分かれする草花とあわせるとバランスがとりやすい。

  • ラズベリーインプ
  • アプリコットインプ

秋の七草の一つで、ふんわりとした小花と背の高い草姿がナチュラルな印象の宿根草です。地下茎を伸ばして旺盛に生育するので、広がりすぎたものはその都度抜きとるようにします。「チョコラータ」はユーパトリウムの品目名でも流通しています。

白がテーマカラーの花壇に「チョコラータ」を加えて。初夏に切り戻すと秋の開花時にコンパクトな姿に。開花期の長いベゴニアをあわせ、手前にリシマキア「ミッドナイトサン」の銅葉を加え白花をより明るく見せている。

  • チョコラータ
  • 濃色フジバカマ(濃桃色花)
  • 白花フジバカマ
  • ピンクフロスト(斑入り葉に淡桃色花)

プレクトランサス「モナ ラベンダー」【シソ科】

表が緑で、裏が黒みがかった紫のシックな葉とラベンダー色の花との対比が美しい宿根草です。水はけがよく直射日光の当たらない場所を選ぶと夏越しもしやすくなります。耐寒性がないので冬は室内に取り込むとよいでしょう。

  • ブルーがテーマカラーのシェードガーデン。プレクトランサスとアキギリの青花を、ライム葉のホスタが鮮やかに見せる。メタリックな色あいのヘミグラフィス「アルテルナータ」がポイントに。

フィゲリウス「レモンスプリッター」【ゴマノハグサ科】

明るい黄斑の入ったリーフが魅力的で、朱赤の花とのコントラストも鮮やかです。細長い筒状の先端が星型の花をつり下げて咲く姿も個性的で、ほかの花とあわせると花形がより際立ちます。

  • フィゲリウスをまとめて植えるとつり下がる花がより印象的に見える。朱赤が引き立つよう、後方にペチュニアやアンゲロニア、ダリアなどパープル系の花色で引き締め、落ち着いた印象に。
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天野 麻里絵
天野 麻里絵東京農業大学地域環境科学部造園科学科卒業後、愛知県豊田市にある「ガーデニングミュージアム 花遊庭」のヘッドガーデナーとして、植栽・メンテナンスを担当するほか、個人邸の植栽デザインも担当。NHK「趣味の園芸」講師など、テレビや雑誌などでも活躍中。今年2月に新著「広い庭がなくても大丈夫! 小さくても素敵な花壇づくり」を発刊。