デルバールのフレンチローズ
デルバールのバラは、香りへの強いこだわりをもとに作出されています。その表れの1つが、まるでパルファム(=香水)のように表現されている「香りのピラミッド」。フランスで一流の調香師に与えられる「Nez(ネ=鼻)」の称号を持つ、モニーク・シリンガー氏の協力のもと作成されています。各品種ごとのピラミッドと比較しながら、香りを楽しむ…というのはいかがでしょうか?
南仏グラースの香水会社「モリナール社」に捧げられたバラ。その香りはフレッシュなグレープフルーツ、甘く香るメイローズやアイリス、スミレ。そして最後にさわやかにライムが香ると表現されている。第8回ぎふ国際ローズコンテストでは、銀賞とともにベスト・フレグランス賞を受賞した。
- 香り豊かでロマンティックなコレクション。
- カップ咲き、ロゼット咲きなどクラシカルな花形と艶やかな花色に加え、豊かな香りが魅力。
- デルバールのガーデンローズを代表するシリーズ。
- 四季咲き性、ブッシュタイプからシュラブタイプ。
- 切り花育種で絞りに定評のあるデルバール社が、印象派の画家たちへのオマージュとして作出したガーデンローズ。
- 鮮やかな絞りは印象派の絵画の筆のタッチを思い起こさせる。加えて香りのよさも魅力。
- 四季咲き性、ブッシュタイプで八重から半八重咲き。
- フランスを代表する三ツ星レストランのシェフの名前を冠したガーデンローズシリーズ。
- 半八重の花が房咲きで咲き誇るさまは見事。香りのよさも魅力。
- 半八重咲き、シュラブタイプ。
- 香り豊かなハイブリッド・ティー系品種のコレクション。
- エレガントな花形と花色、芳醇な香りはガーデンローズの永遠のあこがれ。香りのよさも魅力。
- 四季咲き性のブッシュタイプ。
- 耐病性に優れ、生育旺盛なバラのコレクション。
- 個性豊かな花形、鮮やかな花色で、壁面やアーチいっぱいに花を咲かせ庭を効果的に彩ってくれる。
- 繰り返し咲き、返り咲きのクライマー。
- 四季咲き性の強いフロリバンダとシュラブローズのコレクション。
- 耐病性に優れ、ローメンテナンスでも春から秋まで繰り返し枝いっぱいに花をつける。
- 小〜中輪房咲きのシュラブタイプ、または四季咲き性に優れたブッシュタイプ。
デルバールの品種だけでなく、近年のガーデンローズは、かつての一般的な系統分類の「オールドローズ」「HT(ハイブリッド・ティー)」「FL(フロリバンダ)」「CL(クライマー)」などの垣根を越えて交配が進み、型にはまらない品種が新鮮に感じられ人気を博しています。
フレンチローズのデルバール社のバラもまさしくその典型で、フレンチテイスト溢れた、バリエーション豊かなシリーズになっています。花色・花形、樹形など多様化する中で、デルバールのバラには、たくさんの情報が盛り込まれたカラーラベルがついていますので、とても参考になります。
デルバールのガーデン品種の中には、もちろん「HT」や「FL」に分類されるものもありますが、最近の人気品種の多くは従来の分類でいえば「S(シュラブ)」というカテゴリーに属するものが中心になります。ただ、シュラブの性質(樹高)はさまざまで、コンパクトなものから、つるバラのように大きくなるものがあります。
大型のシュラブには、つるバラにない、よい特長があります。デルバール社の大型シュラブには四季咲き性がよく、香りもとてもよい品種がたくさんあります。このタイプを、「ショートクライマー(半つる)」と呼んでいます。
名は「羅針盤」を意味する。非常に重ねの多いたっぷりとしたロゼット咲き。濃赤の花は、夏でも色あせることなく、独特の深みを増して繰り返しよく咲く。
ショートクライマーはアーチやオベリスクで使う以外にも、鉢で育てることや、庭では植える場所によって大きさを自由にすることができるなど、いろいろな使い方ができる重宝な品種です。
例えば鉢植えで、できるだけコンパクトに仕立てたい場合、通常のブッシュタイプのバラの剪定と同じ要領で、管理することができます。冬剪定時に、太く伸びたシュートを株元から30cm前後を目安にばっさりと切り戻し、大きくなりすぎないようにコンパクトに仕立てて管理します。
庭では、花を咲かせる位置を考えて剪定してください。
一方、オベリスク仕立ては、冬剪定の時に古い枝や細く短い枝のみを剪定し、若く勢いよく伸びたシュートは深く剪定せずに残し、オベリスクにらせん状に巻きつけて誘引しておきます。巻きつける時、一度に巻くと枝が折れることがあります。かたい枝は曲がる所まで曲げ、仮止めして、7〜10日後に再度巻くようにしてください。
ほかにもアーチやトレリス、フェンスなどを利用して上手に仕立てると、1株でもより豪華で存在感たっぷりに庭を彩ってくれるのがショートクライマーの魅力です。
バラアーチへの誘引は、長い枝はS字状に止めて行きますと花が密に咲きます。立ち上がりの部分は、低い位置から段差をつけて剪定しますと、開花の時、アーチ全体に花が咲くようになります。
例えばデルバールを代表する人気品種の1つ’シャンテ・ロゼ・ミサト‘は生育も旺盛で強健。勢いのよいシュートが何本も出るので仕立ても容易です。そのうえ、香りもよく、四季咲き性も強く1本の花枝からスプレー状にいくつもの大輪の花を次々と咲かせるため、春だけでなく夏から秋まで長く花を楽しむことができるのも、ショートクライマーの魅力です。
ほかにもショートクライマーだけでなく、’ナエマ‘のようなつるバラもありますが、どの品種も四季咲き性に優れているため、強剪定をしても来春の花が咲かなくなるようなことはありません。「クラシックタイプのモダンローズ」には、夏以降は四季咲き性が弱くなる性質の品種が意外と多い中で、デルバールは、より四季咲き性が強い品種が多く、花後の切り戻しや剪定を適切に行うことでその魅力を引き出すことができるのです。また特筆すべきは、耐暑性に優れ、日本の暑い夏でも綺麗な花を咲かせるタフなところもあります。
「バラ色の歌、ミサト」歌手・渡辺美里さんに捧げられたバラ。直立性ですっきりとした株立ち。深紅に近い蕾から、開花につれライラックピンクからやさしいピンクへと変化する花弁が現れるさまは、深い緑の葉によく映える。耐病性もあり育てやすい。アニス、バジル、ウイキョウ、ラベンダーの花束を思わせる強香。
デルバールのバラを十分に楽しんでいただくために、管理のポイントを強いてあげるのなら「目的に合った適切な剪定」を行うことです。
剪定は慣れると何でもないことですが、切る場所がわからなかったり、剪定で失敗することを恐れ、思い切ってできない方がいます。デルバールのバラは強健で樹勢が強い品種が多いので、恐れることなく剪定していただいて大丈夫です。
剪定は葉を何枚の所で切るのではなく、どこまで枝を伸ばして、どこで咲かせたいかをイメージしながらハサミを入れることです。そうすれば自然に剪定も上達していくと、気楽に考えていただければと思います。
鮮やかな黄色の大輪花。時折花弁の縁に、やわらかなピンクのグラデーションが入る。フランスで最初の24時間ラジオ情報番組の、15周年記念に命名。ミカン、ミント、カシス、マンゴーなど、さわやかなフルーツのような香り。コンパクトで鉢栽培にも向く。
近年、ヨーロッパでは、ガーデンローズの耐病性に対する認識が高まっていて、その基準も非常に厳しく求められるようになってきています。
特にデルバール社では病気に弱い品種、無農薬での生育テストをクリアーできない品種は、たとえすばらしい花形・色・香りがあっても、選抜されることはありません。
毎年二十万粒のタネ(=すべて異なる特性を持った品種)の中から、8年前後もの歳月をかけて選び抜かれた後に発表されるわずかな品種は、確実に強健で、しかもすばらしい花形、花色、香りを持っている選び抜かれた品種といえます。
現在、日本で流通しているデルバールの苗はすべて、デルバール社ガーデンローズの総代理店である岐阜県の河本バラ園で生産されているのですが、実際、岐阜の農場での生育結果を見ても従来の国内外のガーデン品種と比較して、耐病性や耐暑性、強健性が優れているという結果が出ています。
また、現在は販売前の新品種や選抜途中の品種を、必ず岐阜の農場で試験栽培しています。
日本での生育結果をも参考にして、国内でリリースする品種をデルバール社と共同で決めているのです。
いくら選び抜かれた品種だからといって、無農薬で年間通じて栽培が可能かといえば、やはりそれは困難といえます。せっかくの四季咲き性の高い品種ですが、病害虫で葉っぱがなくなってしまっては十分な栄養を蓄えることができず、結果、秋の開花に大きく影響してしまいます。
しかし、もともと耐病性の強い品種の多いデルバールなら、病害虫の発生時期を抑えた予防的な管理で、薬剤散布を最小限に減らすことが可能です。
まずは病害虫の発生に気づくことが大切!
1日1分でもよいので、毎日観察してあげましょう。
病気には、特に予防消毒が大切です。
それにプラスして、株元を木のチップなどでマルチングして、土の跳ね返りを防ぐことで、病気の発生がグンと抑えられます。
観察を続けていれば、
おのずと病害虫の発生時期もつかめてきます。
余程のことがない限り、バラが病害虫で枯れてしまうことはありません。
手をかけすぎず、放置しすぎず上手につきあいましょう。
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アプリコットに黄色がかる温かい花色で、開くと花弁の重ねの多いオールドローズのタイプの大輪系つるバラ。名はデルバール社の創始者、ジョルジュ・デルバールにちなむ。
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鮮やかな黄色の大輪花。多花性で繰り返しよく咲く。コンパクトな樹形は鉢栽培に向く。名は名作「失われた時を求めて」の作者マルセル・プルーストにちなんで。
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薄紫色のフリル状の花弁が愛らしさと高貴さを兼ね備える。生育強健で育てやすい。越後丘陵公園香りのバラ新品種コンクールで金賞受賞。
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明るくエレガントに咲くソフトピンクのディープカップ咲き。生育強健。名は同名のゲランの香水にちなんで。ぎふ国際ローズコンテストでベストフレグランス賞受賞。
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名は「白い滝」という意味。小輪の白に淡いピンクがかったかわいらしい花が、しなやかな枝にたわわに咲く。非常にコンパクトなグランドカバーで耐病性も極めて強い。フルーティーで甘い香りが、ほのかに漂う。
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フリルのついたディープカップからクォーター咲きになる大輪で濃いピンクが美しい。四季咲き性が強く花つきがよい。 名は「星の王子様」の作者名。
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明るい黄色にしっとりとしたピンク色の美しい絞りと、かわいらしいカップ咲きの花が明るい葉の色に映えて印象的。中型のシュラブで鉢栽培にも向く。
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生育強健で大株に育てることもできるショートクライマー。可憐なサーモンピンクの花は香りもよい。ロワール河畔に立つシュノンソー城の名を冠し、「シュノンソー城の貴婦人」の意。
三越日本橋本店チェルシーガーデンにバラ栽培アドバイザーとして勤務。バラ関連の著書多数。写真は、2009年7月フランス・デルバール社視察の際立ち寄った、ロワール河畔に佇むシュノンソー城にて‘ダム・ドゥ・シュノンソー’の花束とともに。