品種を使い分けてエダマメを夏じゅう楽しもう
昔からビールのお供として定番的存在のエダマメですが、最近では“子どもが好きな野菜”にもランクインし、小さな子どもから大人まで幅広く人気を得ています。
大豆を若どりしたもので栄養価が高いため、健康野菜としても親しまれています。
今年の夏は畑で育てて、栄養豊富なとれたてエダマメを満喫しましょう!
ポイントは播種期、収穫期!目的にあった品種を育てよう
エダマメは、品種の早晩性によって播種期、収穫期が異なるので、収穫時期を考慮して品種を選択しましょう。
播種期は早生、中早生、中生種の場合、一般平坦地では遅霜の心配がなくなる4月下旬〜6月中旬まで、晩生種は7月です。
収穫期は播種からの日数が目安となります。早生種は70〜78日程度、中早生種は80日程度、中生種は85日程度、晩生種は110〜120日程度が収穫期となります。
とれたてのエダマメは、ビールのおつまみに、子どもたちの夏休みのおやつにと大活躍しますから、夏の楽しみとして植える方もたくさんいらっしゃると思います。夏の間、エダマメを長く楽しみたい場合は、5月上旬に早生種、中旬に中早生種、下旬に中生種を播種するのがおすすめです。7月中旬〜8月下旬まで連続して収穫することができますよ。
作りやすくておいしい定番品種!
普通エダマメの早生種「あじみのり」がおすすめです。普通エダマメの中では甘みが強く、エダマメ独特の風味が特徴のおいしい品種です。
中早生種では「富貴」がおすすめ。草勢が強く耐暑性に優れるので、環境変化に左右されにくく、安定して莢がつきます。
中生種では「福獅子」が人気です。しっかりとした株ができるので、分枝が多く、着莢の多さが特徴で多収です。
コクのある深い味わい品種
食味重視の場合は、茶豆、黒豆といった色豆の品種がおすすめです。中早生種の「快豆黒頭巾」は、黒豆特有の甘さとコクが特徴です。2粒莢が多いですが、しっかりとした株で莢つきがよいため収量が高いです。
茶豆特有の豊かな風味を楽しむなら、中早生種の「福成」です。株がコンパクトで作りやすいため、家庭菜園向けとしておすすめです。
これらの品種は収穫適期が3日程度と短く、収穫後の食味低下も早いので、収穫のタイミングを逃さないように注意しましょう。
一般的に色豆品種は晩生で、栽培に時間や手間が掛かるものが多いですが、この二つは熟期を中早生に改良しているため、栽培がより容易です。味わいは格別ですから、ぜひ家庭菜園でチャレンジしてみてください。
快豆黒頭巾かいとうくろずきん
黒エダマメ<農水省登録品種>
食味は黒マメ特有の、甘みが際立つおいしさ。播種後80日程度で収穫できる中早生種。白花の薄茶毛。低節位からの莢つきが優れているため、ボリューム感がある。草丈は低く作りやすいため、家庭菜園に向く。良食味を生かして直売所にもおすすめ。
福成ふくなり
茶エダマメ<品種名:滝姫>
茶マメ特有の風味豊かな味わいが楽しめる。播種後80日程度で収穫ができる中早生種。莢の大きさは中程度で、莢つきがよい。作りやすいため、直売所や家庭菜園にも向く。
秋までどっさり収穫できる!
晩生種は「獅子王」がおすすめです。大莢で粒が大きく、株が旺盛なため多収です。本葉5〜6枚の時に摘芯すると、草丈が抑えられて倒伏防止になり、側枝発生を促され収量を増やすことができます。
獅子王ししおう
茶毛の大莢で、生育日数が110〜120日程度の晩生種。草丈は高く、横張り型。
- 圃場づくり
- 圃場は、日当たりがよく、保水性に優れたやや粘質な重い土が適します。肥料はあまり多く必要としません。
元肥は1m2当たり成分量でチッソ7g、リン酸12g、カリ10gを基準に施してください。
- 播種(タネまき)
- 最低地温が15℃以上(適温は25〜30℃)になるころに播種します。マルチは生育初期の地温を高め、水分と肥料分を保持する働きがあるのでぜひ利用するようにしましょう。1穴3〜4粒まきとし、発芽後は本葉が1〜2枚のころに間引いて1〜2本立ちにします。播種時の水やりはしっかりと行い、その後は過湿が続かないよう注意します。
- 1穴に3〜4粒まき、本葉1〜2枚で1〜2本に間引く。
- 潅水管理
- エダマメは乾燥を嫌うので、特に開花以降は適度な水やりで土壌水分を適湿に保ち、落花や落莢、空莢を防ぎます。
- 土寄せと追肥
- ■土寄せ 間引きした後は、根元に土寄せをして風に耐えられるようにします。草丈30cmぐらいになった時も土寄せするとよいでしょう。
- ■追肥 開花期から子実肥大期に肥料切れすると落蕾や落下が多くなるとともに子実の肥大が悪くなり、莢色も低下します。生育状況を見て草勢が弱い場合はチッソ成分で10m2当たり20〜30g追肥します。また潅水を兼ねて、液肥を施用すると効果が高くなります。
- 収穫
- 開花後30〜40日ごろに子実の糖含量が最大となり、最もおいしい時期を迎えます。莢の大部分が肥大して未熟莢がわずかに残るころが収穫の目安です。茶豆や黒豆は試しむきをして、豆に赤い斑が出始めていれば食べ頃です。
エダマメ栽培の失敗としてよくあるのが、開花不良、落莢、空莢による収穫量の減少です。うまく育てるためには、次のポイントに注意しましょう。
- ■播種期の注意
- 早生〜中生種の4月上中旬での播種は、低温による発芽不良、霜害を受ける恐れがあります。早まきの場合はマルチ、トンネルを用いて地温の確保、霜よけをしてください。
晩生種の場合は、4〜5月に播種すると木ボケしてしまいます。また、早生〜中生種の7月中旬以降の遅まきは秋の気温低下により10月中の収穫が難しくなり、霜害の恐れがあるため避けてください。
エダマメは直根性なので直まきが適します。移植する場合は、初生葉が開き切る前の若い苗を使用し、移植後はごく薄めの液肥を施肥してスムーズな活着を促してください。
- ■施肥のコツ
- チッソ肥料が効きすぎると、木ボケ(茎葉だけが繁茂し着莢が悪くなる)になります。前作の残肥に注意し、播種の直前に元肥を入れ、畝を立てるようにします。あまり早く畝を立てると肥料が溶けてしまい、効きすぎて木ボケを招きます。
- ■夏期の水不足
- 開花着莢時期の水不足も、減収の要因となります。ちょうど気温が高く乾燥しやすい時期のため、圃場水分の適湿維持を心掛けましょう。
- 開花初期の水分不足には特に注意します。