「初神楽」と「春神楽」「つや風」「トップランナー」との使い分け

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根長に育ちにくい栽培時期(年内まきトンネル栽培)においても短根になりにくい品種です。従来の根の伸びがよい品種は収穫作業が大変でしたが、この品種は尻づまりがよく、収穫作業が容易です。
春どり栽培において問題になる"トウ立ち"は「春神楽」同様に遅い品種です。
肉質は緻密でス入りが遅く、食味がよい品種です。
春どり栽培で最も注意すべき点は、低温によるトウ立ちをさせないことです。次の点に注意してタネまきし、トンネル+マルチ栽培を行いましょう。
(1)日当たりのよい場所を選ぶ。
(2)タネをまく数日前にマルチを張って、地温を上げておく。
(3)タネをまく日は、その日から数日間は晴天が見込める日をねらう。
(4)発芽直後の低温を回避するため、覆土はやや厚め(約2p)にする。
また、むやみな早まきや遅まきは根形の乱れにつながるので適期播種を心掛けましょう。さらに、この時期の播種は低温や乾燥により発芽がばらつく可能性があるため、1株3粒まきとし、間引きにより株を揃えることをおすすめします。
土壌が乾燥しすぎると発芽に不揃いが生じ、収穫物の不揃いにつながります。また、生育初期に水分が不足するとヒゲ根の発生が多くなり、収穫物の見た目が悪くなりますので、マルチの中が乾いているようなら潅水しましょう。
10月下旬〜11月中旬に播種した場合、蒸し込みすぎによる胚軸徒長を防ぐため、12月上旬まではトンネルビニールの裾をすかしぎみに管理します。11月下旬〜12月中旬まきの場合は、タネまき直後から低温による花芽分化が起きやすい時期になるため、トンネルビニールを密閉し、保温に努めます。また、播種後〜間引きの時期(本葉4〜5枚)までは、生育の促進とトウ立ちの危険を回避するため、ベタがけ資材の利用をおすすめします。
生育中期(抽根部が見え始めるころ)から後期においては、蒸し込みすぎると葉がちになり根の肥大が遅れるので、換気が遅れないように注意しましょう。
春どりでは、「トンネル栽培の温度管理」のほか、品種選定が良作のポイントになります。品種選定においては栽培する時期の根の伸び方が重要です。
「初神楽」は「春神楽」よりも低温下での根の伸びがよい品種ですので、一般地や、暖地のトンネル+マルチ栽培においては、3月下旬〜4月上旬どりなら「初神楽」が、4月中下旬どりなら「春神楽」が適します。また、下表(表1)の通り4月下旬以降は「つや風」、「トップランナー」が適しますので、栽培時期によって品種を使い分けてください。
