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金稜辺(キンリョウヘン)の育て方・栽培方法を解説!

金稜辺(キンリョウヘン)の育て方・栽培方法を解説!金稜辺(キンリョウヘン)の育て方・栽培方法を解説!

最近、趣味でニホンミツバチの養蜂をしている方が増えています。その養蜂に欠かせないのがキンリョウヘン。シンビジュームの一種で、花が発するフェロモンがニホンミツバチを呼び寄せるのです。そこで、キンリョウヘンの上手な栽培方法、開花調整の方法を詳しくご紹介します。

花が発するフェロモンがニホンミツバチを呼び集める

キンリョウヘンは中国原産のランで、小型のシンビジュームの一種です。キンリョウヘンが注目されているのは、花が発するフェロモンがニホンミツバチを呼び集めるためです。そのため「ミツバチラン」とも呼ばれています。なぜ、ニホンミツバチの養蜂にそのフェロモンが必要なのか、それはもともと帰巣本能が強く、家畜として飼育しやすいように改良されてきたセイヨウミツバチと異なり、ニホンミツバチは野生種で、ハチそのものは販売されることがなく、巣箱に誘導する手段がどうしても必要となるためです。ニホンミツバチは毎年春に群れが2群に分かれ、1群は新しい巣を見つけて移動します。これを分蜂といい、この新しい巣へと飛び立った群れを捕獲します。その誘導に必要なのがキンリョウヘンです。ちなみにキンリョウヘンは中国原産なので、ニホンミツバチを含むトウヨウミツバチは、そのフェロモンに誘われて集合しますが、セイヨウミツバチには効果はないそうです。

キンリョウヘンの管理は過保護にしないことが大切

シンビジュームはランの中では栽培しやすい種類で、特に小型のキンリョウヘンは耐寒性もあり、初心者でも手軽に栽培できます。性質も丈夫なので、むしろ手を掛けすぎず、過保護にしない方がよく育ちます。基本的な管理方法を下の表にまとめましたのでご参照ください。

キンリョウヘンのフェロモンに誘われて群がるニホンミツバチ。

キンリョウヘンのフェロモンに誘われて群がるニホンミツバチ。

管理ポイント1

よく日光に当てる

日光の当たらない室内や狭い温室などで栽培すると、葉が伸びすぎて見苦しくなるだけで、肝心の花つきが悪くなってしまいます。また、蕾は日光に当てないと開花せずに落ちてしまうこともあります。冬の間は、室内の窓ガラス越しで、日中に十分日差しが注ぐ場所で管理し、5月以降は屋外に出し、木陰などの葉焼けしない程度に日光が当たる場所で管理するか、遮光ネットを利用して30〜50%の遮光で管理するとよいでしょう。

管理ポイント2

水やりと施肥はメリハリを効かせる

水やりは初夏〜夏の間はたっぷりと与え、春と秋は表土が乾いたら与える程度にし、冬の休眠期は1週間に1回程度に控えます。また、肥料も11月以降はまったく与えなくてかまいません。つい過保護になりがちですが、このメリハリある水やり、施肥が株を健やかに成長させるポイントです。

管理ポイント3

病害虫の防除

風通しが悪く乾燥した環境では、ハダニが発生しやすくなります。葉の裏側をチェックしてみて、全体に白っぽくなっていたらよく観察してみてください。小さな赤いダニが見つかります。その場合は殺ダニ剤を使用して除去します。ナメクジやアブラムシがつくこともあるので、よく観察して見つけたらすぐに取り除いてください。蕾がベトベトしていることがありますが、これは蜜を分泌しているためで病気ではありません。ただし、この蜜にアブラムシが集まりやすいので、特に蕾はよくチェックしましょう。

管理ポイント4

株が鉢いっぱいに育ったら植え替えを

植え替えは花が咲き終わったらできるだけ早く行います。5月下旬までに終わらせるようにしましょう。古いバルブ(葉の付け根にある球根のような塊)が多く、草姿が悪い場合は、3〜5バルブに株分けして植え付けます。その際、古く腐った根は取り除き、葉のないバルブも整理しておくとよいでしょう。

分蜂の時期にタイミングよく花を咲かせるには…

ニホンミツバチの分蜂は地域によって異なり、九州の暖地などでは3月中旬から始まります。4月上旬に分蜂する地域が多いのですが、キンリョウヘンの開花時期は4〜5月。分蜂の時期に花が咲いていなかったら効果を発揮することができません。開花調整のポイントを紹介しますので、試してみてください。

Point1寒さにしっかり当てる

キンリョウヘンの花芽は11月くらいにはすでに発生しています。その開花を促すには、一度寒さに当てる必要があります。11月初め〜中旬、霜が降りるぎりぎり前までは屋外で管理して寒さを体験させることが大切です。この時期に室内の温かい環境にあると、株が冬の到来を感知せず、開花のメカニズムにスイッチが入らないため、開花が遅くなりがちです。逆に開花を遅くしたい場合には、早めに室内に取り込むとよいでしょう。

Point2室内の温度が高く
なりすぎないようにする

屋外で寒さに当てたあとは、室内の窓辺など日当たりのいい場所で管理します。この時に気をつけたいのが室温。温かくなりすぎると蕾が咲かずに落ちてしまうことがあります。最低気温が14〜15℃くらいまで下がるような環境で管理してください。キンリョウヘンは基本的に寒さには弱くないので、玄関などの夜間は冷える場所でもかまいません。ただし乾燥には弱いので、暖房器具からの温風が直接当たらないよう注意しましょう。

Point3花数を欲張らない

9〜10月には新芽がたくさん伸びてきます。伸びた新芽をそのまま成長させると、花はたくさん咲きますが、栄養が分散して芽の充実が遅れるため開花時期も遅くなりがちです。4月上旬に咲かせたいなら、1バルブにつき1芽を残し、あとは取り除く「芽かき」の作業をしてください。花芽が伸びてきたら、支柱を添えて補強しておくと、誤って折ってしまう心配がありません。

芽かきの方法

キンリョウヘンの年間管理表

キンリョウヘンの年間管理表
みつばち蘭(キンリョウヘン)

みつばち蘭(キンリョウヘン)

下平 剛徳(しもひら たかのり)

下平 剛徳(しもひら たかのり)

洋ラン生産者。日本洋蘭農業組合理事。20数年前からキンリョウヘンの生産を手掛ける。洋ランの栽培方法、また、コロンビア、エクアドルなど中南米のランの産地を訪ねて得た情報などを講演活動で普及している。

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