クッキングハーブをタネから育てよう!
ハーブはもともと広く草を示す言葉でしたが、今では心や体の治療に使われる薬草、料理の香りづけや味つけなど、私たちの生活に役立つ植物を指すようになりました。ハーブには香りのよいものが多く、ハーブティーや料理、お菓子などに利用したり、入浴剤やポプリにしたりとさまざまな方法で楽しむことができます。ほかにも染料や薬用として利用される種類も多くあります。最も手軽な楽しみ方のハーブティーでは、使用する種類によって、心を落ち着かせたり、気持ちをすっきりさせるなどの作用があります。ただし、体質や体調によって控えた方がよいものもあるので、ハーブを利用する時には、用途や分量に注意し、香りも味も心地よく感じるものを選びましょう。
今回は、コーンサラダやロケットのように葉を丸ごと利用できるものや、チャイブやイタリアンパセリのように薬味や彩りに使いやすい食用のハーブをご紹介します。タネから育てると、育苗から定植まで環境をあまり変えずに管理できるので、生育がよいというメリットがあります。ぜひタネから育てておいしい葉をたくさん収穫してください。育てる種類を選ぶ時は、イタリアンパセリ、バジル、チャイブなどいろいろな料理に使いやすいものや、口にしたことのあるおなじみの種類を加えておくと、食卓に上がる回数が多くなり育てる楽しさも増します。もちろん「一度は食べてみたいハーブ」にもぜひチャレンジしてください。両方育てていると、お腹も心もさらに満足度がアップします。
ほとんどのハーブは日当たりがよく、温暖な気候を好みます。バジル以外の一年草は花が咲いたら真夏を迎える前に生育を終えますが、ウォータークレスやタイムは、暑さで枯れないように植える場所や土の状態に気をつけます。鉢植えなどで移動できる場合は風通しのよい涼しい場所に移すとよいでしょう。肥料は、植え付け時に化成または有機質の緩効性肥料を土に混ぜ込みます。葉をよく収穫するものには、生長期にのみ2週間に1度ほど液肥を与えます。ただし、アブラムシが発生するので多肥になりすぎないように注意してください。
ポットにタネをまく方法は幼苗期の管理がしやすく、手軽に苗を作ることができます。タネをまく場所の準備が整っていない時や、タイムやイタリアンパセリなど初期生育がゆっくりなもの、ボリジ、コリアンダー、ディルなどの根が直根で移植しにくいものを育てる時におすすめです。苗を作ると好きな場所に植えられるので、寄せ植えなどにも使えます。
6〜7.5pのポットに土を3分の2ほど入れる。ハス口のジョウロで上から水をかけ、微塵を抜く。 | タネを3〜5粒ほどまき、タネがうっすら隠れるくらいに軽く土をかぶせる。 | |||
大きめの鉢皿やトレイにポットを並べて水を注ぎ入れ、上部の土の色が変わるまでしっかりとポットの底から水を吸わせる(腰水)。 | トレイに残った水を捨て、ベランダや軒下など強い雨が当たらない所に置き、土の表面が乾いたら霧吹き、もしくは腰水をする。 |
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発芽後は、日光の当たる所に移し、土の表面が乾いたらハス口のジョウロで水やりする。 | ||||
葉が開いてきたら、重なりあった芽や軟弱な芽を地際で切り、最終的に1ポットあたり1〜2株にする。このころにハーブまたは野菜用の液肥を与える。 | 本葉が数枚展開し、ポットの中を白い根がうっすらと張ったら花壇や大きな鉢に定植する。 | |||
苗を作らず、育てたい場所にタネを直接まく方法です。
どのハーブも適温下では直まきで育ちます。タネの大きさや生育速度、利用の仕方などにより、タネのまき方を変えると効率よく栽培、収穫ができます。
タネをまく前に、堆肥や少量の元肥を混ぜて土をよく耕しておく。 | |
タネをまいたら軽く土をかけ、細かなタネが流れないように注意しながら ハス口のジョウロでそっと水をかける。 |
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発芽後、葉が開いてきたら葉が重なり合わないように間引く。数回間引いて、株間を確保する。よく収穫するものは、2週間に1度ほどハーブまたは野菜用の液肥を与える。 | |
間引きや土寄せがしやすく、葉を収穫するものに向く。割りばしなどで軽く条を入れて列になるようにまく。
プランターや小さなスペースなど限られた場所に向く。タネが重ならないように全体にまんべんなくまく。広い場所でのバラまきは、管理がしにくいにで避ける。
タネが大きいものや数の少ないもの、株が大きくなるものに向く。植物の生長にあった株間をとってまく。タネをまいた場所がわかるように印をつけておくとよい。
大阪生まれ。西宮市北山緑化植物園にて、キッチンガーデンや薬草園、花壇の植栽計画、管理を担当。野菜やハーブを混植し、無農薬で栽培する「キッチンガーデン」を実践中。 |