切り花に向く秋植え小球根
「Andean Glory of the Sun Lily」という英名をもつリューココリーネは、その名の通り、輝くような色彩とすばらしい芳香が魅力の花です。凛とした佇まいは、まさにアンデスを代表する球根植物といえるでしょう。また、その繊細な花姿からは想像もできないほど花もちもよく、花弁が透き通るように枯れていくので、散り際まで楽しめます。切り花はもちろんですが、軸も細くしっかりしているので鉢花にしても楽しめます。
耐寒性は多少ありますが、暖地以外では鉢植えにして室内の暖房のない場所や軒下などで凍結を防ぎます。鉢植えは2〜3年据え置き栽培ができます。暖地では地植えの場合も2〜3年据え置き栽培が可能です。
ブルーから白へのやわらかいグラデーションを描く花は、太陽の光を浴びると輝くような色彩を放ちます。そして、この花の魅力は花姿だけではなく、香りにもあります。甘く軽やかな香りは、一度かぐと虜になってしまいます。この香りは、この花を手に入れた人でなければ味わえない特権です。ぜひ切り花にして間近で堪能してみてください。
南米チリ原産で、現地でも入手は困難といわれている大変珍しい原種ですが、ポイントさえ押さえれば、栽培は思いのほか簡単です。弱アルカリ性土壌を好むので、市販の培養土を使用する際は、1ℓにつき苦土石灰を2〜2・5g施します。また、夏季休眠中、土壌温度が上がりすぎるのを好まないため、球根を掘り上げて軒下か室内の涼しい場所で管理します。あまり分球はしない性質なので、3〜4年は据え置き栽培が可能です。
グラジオラスというと夏の花という印象がありますが、春に咲く早咲き種(春咲き種)もあります。実際は春咲き種の方が品種は多く、南アフリカのケープ地方を中心に、およそ300種が知られています。春咲き種は、花姿が繊細でしなやかなので、切り花としても人気です。
南アフリカ原産の原種で、ユリに似た花弁には反りが入り、さわやかな芳香があります。原種でありながらイエロー、ブロンズ、灰色など多彩な花色をもつ珍品です。その中から当園で長年かけてイエロー系とブロンズ系を選抜しました。
関東以西の平野部なら越冬可能です。生育中に花芽をつけるため、鉢植えの場合は水切れに注意してください。春咲き系のグラジオラスも、どちらかというとアルカリ性を好むため、培養土1ℓにつき苦土石灰を2〜2・5g施すとよいでしょう。
ラケナリアには、ない色はないといわれるほど豊富な色彩をもち、精妙に造形されたガラス細工のような花々が楽しめる、魅力が尽きない植物です。また開花期も、晩秋から咲き始める早生種から晩春に咲く晩生種まで幅広く揃えられるので、品種を選べば半年近く楽しめるのも魅力です。切り花としても優秀で、特に花もちは冬場なら2カ月近くもちます。アレンジしなくても、コップに数本飾っておくだけでも様になり、家庭で切り花を楽しむうえで、これ以上優秀な植物はないと思います。
栽培は容易ですが、植え付け直後の根が動き出す前に過湿にすると根腐れを起こしやすいので、この時期の水やりには注意が必要です。また、強い霜でダメージを受けやすいので、鉢植えにして厳寒期の夜間は室内に取り込むとよいでしょう。
バルビネラは、英名を「キャットテール」といい、その名の通り、花が咲き進むと猫のしっぽのように咲き上がるのが特徴の植物です。今回は、従来のオレンジ、イエローに加え、当園で育種したホワイトからピーチ色へとグラデーションで咲き進む最新品種「あけぼの」を紹介します。
耐寒性、耐暑性ともに高く、耐陰性も併せもち、栽培の手間はかからず、数年据え置き栽培も可能なので、じつは花壇で栽培するのにはうってつけの植物です。ただし、鉢で栽培する場合は乾燥に注意してください。
切り花としても、ラインがきれいな植物なので、人気があります。特に生け花での人気が高まっています。
南アフリカ南部の西海岸、いわゆる冬雨地区(冬に雨が多い地域)が原産地の珍しい植物で、今回のように品種別で流通するケースはあまり多くありません。ゲイソリーザは、日差しのない時間帯は花が閉じ、日の差す日中に開花します。暖かい日差しの中で一斉に開花した姿は圧巻です。耐寒性はそれほど期待できませんが、鉢栽培にとても適した品種です。切り花としても、小さいながら存在感があり、思いのほか花もちもよいので驚くと思います。
栽培についてはあまり難しいことはありませんが、耐寒性がそれほどないので、鉢栽培がおすすめです。冬に雨が多い地域の植物ということもあり、生育中、特に蕾の上がる時期は大変よく乾くので、水を切らさないように注意してください。球根自体がとても小さいので、数年据え置き栽培が可能です。あまりに込みすぎてきたら、その時が植え替えのタイミングです。
- 大学卒業後は出版印刷会社でDTP(デスクトップパブリッシング)オペレーターとして勤務。
25歳の時に家業を継ぐため退社。その後、オランダ研修を経て㈲三宅花卉園へ入社。
現在に至る。