メリクロン苗って?クリスマスローズの魅力もご紹介



メリクロン苗とは生長点培養によって作られた苗のことで、クリスマスローズ以外でも、洋ランをはじめ、さまざまな花でメリクロン苗が作られています。品質や効率をよくするため、野菜や果樹でも行われていて、じつは案外と身近なものです。
クリスマスローズの増殖法としては株分けもありますが、年数がかかってなかなか殖えません。また、病気などの感染の恐れもあります。クリスマスローズは挿し芽ができないため、殖やすにはタネをまく以外、方法がありませんでした。しかし、タネから殖やすと個体差があり、交配種ではもとの株と同じ花が咲かないことも多いものです。クリスマスローズの場合、同じ株を短期間に殖やすには、メリクロンが確実なのです。
メリクロン苗の一番の利点はもとの親と同じ花が咲く形質の揃った苗であること。そのため、開花前の小さな苗の段階でも、どんな花が咲くかがはっきり分かり、確実にお気に入りの花を咲かせることができます。しかも、病気にかかっていないので、生育もスムーズです。選び抜かれた優良品種から増殖した豊富なバリエーションが揃っているので、お好みの花を見つけて、ぜひ冬から春の庭で咲かせてみてください。

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麗(うらら) | アシュード ローズリップホワイト | ルーセブラック | ||
原種交配系の小輪多花性種。デュメトラムの形質を受け継ぎ、小ぶりだが株を覆うようににぎやかに咲く。花色はサクラピンクで、咲き進むとグリーンになる。 |
英国のアシュードナーセリーの育成品種。丸弁のカップ咲きで、弁の縁が赤紫色、糸状のピコティー咲きとなる。半アネモネ咲きのダークネクタリーで愛敬たっぷり。 |
花色の安定した黒の定番品種。丸弁カップ咲きの均整のとれた花で、白い雄しべとのコントラストも美しい。ガーデンで咲く姿はとても美しく目をひく。 |
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八重フローレンスピーチ | アシュード プリマドンナ | 八重ライムイエロー | ||
大輪の八重咲き品種。明るく鮮明なピンクがとても優雅で、弁幅も広く豪華な花容となる。淡紫桃色の繊細な模様がネット状に入る。性質は強健で栽培しやすい。 |
英国アシュードナーセリーの育成品種。花つきのよい強健種。弁数が多く、淡桃色のほかに濃桃色の細かいベインが入り、縁も濃色。弁先がやや尖り、シャープな印象。 |
斑点(スポット)の入らないすっきりとした花色がとてもさわやかで魅力的。コンパクトな草姿でバランスがよく、花立ちの多い優雅な品種。イエロー系の一押し品種。 |

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冬から春の開花期には日光がよく当たり、開花後から夏の間は日陰か、木もれ日程度の明るい半日陰になる場所が理想です。日当たりが悪くても育ちますが、花をたくさん咲かせるには、夏の暑い時以外は日照が必要です。クリスマスローズは性質が強いので、時間をかけてじっくりと育てれば、幅広い日照条件のもとで開花は可能です。水はけをよくしておくことが大切で、根が深く張れるよう、最初の土づくりをしっかり行っておけば、何年も植えっ放しで毎年花を咲かせてくれます。鉢植えでは、開花後から9月ごろまで明るい日陰に置き、秋涼しくなったら日当たりのよい所に移動します。
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適期は10〜11月と3〜4月で、庭植えの場合、寒地でなければ冬の間も植え付けできます。植え場所には腐葉土を混ぜ、深さ30cmくらいまでよく耕しておきます。緩効性の元肥と苦土石灰を軽くひとつかみほど混ぜておきましょう。根鉢は3分の1くらい崩して植え付けます。深植えは禁物で、芽の部分が地表すれすれか少し上に出るようにしておき、土がかぶらないよう、バークチップなどでマルチングをしておくと根の張りがよく生育が促進されます。小苗の場合は、鉢で1年養生してから植え付けるとよいでしょう。
鉢植えも同様で、3〜4号くらいのポット苗なら6号鉢に植え付けます。用土の一例としては、赤玉土4、鹿沼土3、腐葉土3の割合など、水はけのよいものを使用します。 |
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肥料は秋から春の生長期に与え、夏の高温期には、肥料分が残らないようにしておきます。



種苗会社に勤務し、主に宿根草の導入、試作に携わる。一般公開している宿根草ガーデン(山梨県北杜市)の管理を担当。日本における宿根草研究の第一人者で、宿根草全般の栽培特性に造詣が深い。テレビや園芸雑誌で宿根草の魅力を紹介。日々の細やかな観察からのアドバイスが好評。
