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クリスマスローズのニゲル種と交配種について魅力や育て方・栽培方法を解説

クリスマスローズ・ニゲル種と交配種の魅力クリスマスローズ・ニゲル種と交配種の魅力

冬に開花するクリスマスローズは、庭に開花株が少なくなるこの時期、とても重宝する花です。
情趣漂うニュアンスカラーの花色は、和洋の庭のスタイルを問わず、よく馴染みます。
クリスマスやお正月に、彩りを添えるのもすてきです。

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クリスマスローズとは、本来、ヘレボルス属の中でも冬咲きするニゲル種のことを指します。クリスマスのころから咲くことから、そう呼ばれていました。日本では現在、オリエンタリス(ガーデンハイブリッド)を含むヘレボルス属を総称してクリスマスローズと呼ばれています。冬咲きのニゲル種に対して、春咲きのオリエンタリス、フェチダスをはじめ原種を含め約20種がヘレボルス属として確認されています。ヘレボルス属は中央ヨーロッパを中心とした低地、中山間地を原産とする宿根草で、夏は涼しく冬はよく日の当たる肥沃な広葉樹林を好みます。

暑い大阪でも群生しているニゲル種 'ジョセフレンパー'(大阪府立花の文化園)。

暑い大阪でも群生しているニゲル種 'ジョセフレンパー'(大阪府立花の文化園)。

クリスマスデコレーションのヒイラギ、モミの木を背景に、ニゲル種が美しく咲く。

クリスマスデコレーションのヒイラギ、モミの木を背景に、ニゲル種が美しく咲く。

クリスマスローズニゲル種の栽培方法

ニゲル種の魅力

時代を超えた純白花の美しさと力強さは、ニゲル種最大の魅力です。植物の多くが枯れた冬の山林や野に唯一凛として咲く姿は、何千年もの間、多くの人々を勇気づけてきたことでしょう。ニゲル種は神話としてキリスト降誕の象徴とされてきました。このような歴史からもヨーロッパでの特殊性を垣間見ることができます。多くの伝説と話題を現代まで伝える背景もこの花の魅力の1つです。
日本ではクリスマスの装飾にはポインセチアが思い浮かべられますが、ヨーロッパでは屋外の装飾にはニゲル種が多く使われるようになりました。これまでの歴史や、育種の進歩により、クリスマスに咲く美しい品種が続々と生まれてきたからでしょう。また、ニゲル種とほかの原種を交配して生まれた異種間交配種も、新しい品種が作出されています。庭や花壇で見せる圧倒的な美しさと強健さは、皆様を驚かせることでしょう。

ニゲル種と異種間交配種の使い方

オリエンタリス(ガーデンハイブリッド)は春咲きのクリスマスローズ。欧州では四旬節(日本の2月ごろ)を意味するレンテンローズと呼ばれている。この数十年の間で多くの美しい色合いが育種により生み出されている。

オリエンタリス(ガーデンハイブリッド)は春咲きのクリスマスローズ。欧州では四旬節(日本の2月ごろ)を意味するレンテンローズと呼ばれている。この数十年の間で多くの美しい色合いが育種により生み出されている。

ヘレボルス属は宿根草なので毎年花を咲かせてくれます。また常緑なので、冬だけでなく、春、夏、秋と四季を通じて、鉢植えや花壇で楽しむことができます。11月から1月にかけて咲き始める季節感のあるニゲル種は、クリスマスやお正月の装飾として人気があります。12月から2月にかけて咲き始める異種間交配種は、オリエンタリスが咲く前の庭やベランダを美しくさせてくれます。
また、水揚げがよく、切り花としても長期間楽しめるのもこの種の特徴です。

クリスマスローズ・ニゲル種を上手に咲かせよう!

◎株の植え付け

適期は10月〜翌年4月のうち、土が凍結しない時期。本州全土で植え付けが可能です。夏は半日陰の風通しのよい場所で、春、秋、冬は風通しと日当たりのよい場所が適しています。用土は、排水がよく、肥料もちのよい肥えた土を好みます。地植えする場合、ニゲル種は40〜50cm、異種間交配種は50〜60cmの株間を取って植え付けます。鉢植えする場合、市販の草花用培養土に腐葉土を3割程度増量するのがおすすめです。毎年植え替えが必要で、鉢増しすれば最大直径40cmの大鉢まで大きく育てることができます。

'ピンクフロスト'の庭植え。夏にチラチラと木漏れ日が当たる程度の、落葉樹の足元などが適している。不要な下葉はとり、蒸れないように管理(ドイツ)。

◎水やりと追肥

水やりは、乾いたらたっぷり与えるのが原則です。夏は少し控えめにして、葉水や打ち水などで蒸散を防ぎ、涼しい環境を作りましょう。追肥は10月〜 翌年4月に1000倍に薄めた液肥を週に1回、またはプロミックなどの固形肥料を2カ月に1回与えます。

◎花後のケア

ニゲル種、異種間交配種は株の大きさ以上にたくさんの花をつけます。開花してから、1カ月間程度楽しんだ後、切り花として2度楽しめます。多くの花を長期間残したままにしておくと、病気の原因にもなります。春、夏に向かって、株が蒸れないように不要な葉(古葉)、下葉を取り除き、旺盛に生育する手助けをしましょう。

◎鉢栽培の植え替え

毎年植え替えることで、株が活性され、美しい花を楽しめます。1年目は、4・5号から6号へ、2年目は6号から8号へ、3年目は8号から10号へと少しずつ鉢増しします。大きくなりすぎた場合は、株分けするのもよいでしょう。植え替えは10〜11月か3〜4月、株分けは10〜11月が適しています。

鉢栽培の夏の管理。素焼き鉢を軽石に埋め込んでいる様子。根をできるだけ涼しく管理することが重要。

◎気をつけたい病害虫

病気は低温期に灰色かび病、高温期に軟腐病にかかりやすくなります。害虫は、開花期にアブラムシ、アザミウマ、生育期にハマキムシ、アブラムシの蔓延に注意しましょう。

アブラムシに侵された花。 黒くシミが入ったようになる。

お気に入りのニゲル種、交配種を手に入れよう!

しっかり育種されたニゲル種を選ぼう

交配をしていない原種そのもののニゲル種は夏に弱く貧弱なものが多いため、ここで紹介の品種のようなしっかり育種されたニゲル種を選ぶのが安心です。

育てて納得、異種間交配種の圧倒的な美しさと強健さ

欧州では、オリエンタリス以上にすっかり一般的となった異種間交配種の魅力はどこにあるのでしょうか? 異種間交配種のよさは、育てて初めてわかることがたくさんあります。オリエンタリスにはない豪華さ、ニゲルにはない強健さ、上向きに多くの花を姿勢よく咲かせる品種は育種の極みです。玄関先のウェルカムガーデンに最適な植物です。

モミの木、ニゲル種(白花)、異種間交配種'アイスブレーカーマキシー'(緑花)、カルーナ・ブルガリス、チェッカーベリー、ノシメランを植栽した、豪華なクリスマスの寄せ植え。

モミの木、ニゲル種(白花)、異種間交配種'アイスブレーカーマキシー'(緑花)、カルーナ・ブルガリス、チェッカーベリー、ノシメランを植栽した、豪華なクリスマスの寄せ植え。

ニゲル種の楽しみ方

開花する植物が少なくなる冬のさなか、ニゲル種は元気いっぱいに咲くので、たくさんの品種を育てて、冬のウェルカムガーデンや寄せ植えの主役に用いましょう。切り花にして、水が下がってしおれてきても、40℃のお湯に浸ければ復活します。室内に飾っても長く楽しめ、冬の彩りに重宝します。また、常緑なので夏場はカラーリーフとして活用できます。

夏のクリスマスローズガーデン。常緑なので、カラーリーフプランツとして利用できる。

夏のクリスマスローズガーデン。常緑なので、カラーリーフプランツとして利用できる。

藤田善敬

藤田ふじた善敬よしのり

大阪府八尾市出身。東京農業大学農学科卒業後、米国ガーデンセンターにて研鑽。帰国し、苗木生産会社に入社。
10年前にドイツにあるクリスマスローズの育種家に師事し、日本でのクリスマスローズの普及に努める。

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