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タネまきから始めよう ハボタン作りは楽しい!

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季節でダイナミックな変化を見せる

冬中きれいな姿を保つ

日本の冬を彩る花の代表格、ハボタン。寒さで多くの植物たちが枯れたり休んだりする冬の間中、私たちの目を楽しませてくれるのが絶大な人気を誇る理由でしょう。しかも、飾る場所を選ばないのも優れた点です。一度きれいに色づいたハボタンは、連日凍結するような場所でも、また1日ほとんど日が差さない場所でもその美しさを長く保ちます。
ハボタンの祖先が日本に伝来したのは江戸時代。ケールとして伝わったものの中で中心部が赤く色づくものを選抜していくうちに現代の多様な姿になったとされています。伝来の後、日本の風土の中で長年かけて育て上げられたその姿と性質は、まさに日本の花であり、日本の風景に無理なく調和するわけです。

多様な品種は和にも洋にも

古くからあるハボタンの葉の形には、地方ごとの名前がつけられています。すっきりとした丸葉系は「東京丸葉」、ゴージャスなちりめん系は「名古屋ちりめん」、丈夫さを目指して作られた半ちりめん系は「大阪丸葉」とも呼ばれ、和にも洋にも飾る場所の雰囲気に応じて使い分けができるのもハボタンの大きな魅力でしょう。
ここ10年ほどのハボタンの品種改良は特に目覚ましく、毎年新品種が世に送り出され、その度に新しい表情を見せてくれます。ちなみに切れ葉の「さんご系」品種は1977年にタキイ種苗から発表されましたが、私の生まれた年なので、なんとなく愛着が湧いてしまいます。そんな思い入れも私にとってはハボタンの楽しみ方の一つです。

季節の移ろいが楽しめる

さらに、育つ過程に合わせて季節の移ろいが楽しめるのもハボタンの醍醐味です。夏に茶色い小さなタネをまくことから始まるその栽培過程には、かわいい双葉の登場、のびのびと葉を広げる命あふれる様子、秋のある日急に葉が色づき始めることの驚き、秋の深まりとともに急速に華やかになる興奮と、ハボタンがダイナミックにその姿を変えていく様子を目の当たりにできるのです。
今まで完成品の色づいた苗しか植えたことがない方も、今年はタネから育ててこの感動を味わってみませんか。きっと私のようにその虜になってしまうと思います。

ハボタン栽培のコツ

ポイント1タネまきは覆土しすぎず、48時間後に日なたへ

高温期になってしまうハボタンのタネまきを成功させるには、覆土しすぎないことが重要。タネが見えるか見えないかのぎりぎりが適量です。土をかけすぎたうえに乾かしてはいけないとたっぷり水を与えると、タネが酸欠を起こし発芽不良を招きます。タネまき直後48時間は日陰に置き、その後すぐ日なたに移して徒長を防ぎます。

遅れずに日なたに出した苗。

遅れずに日なたに出した苗。

日なたに出すのが1日遅れた苗。

日なたに出すのが1日遅れた苗。

ポイント2害虫には効き目のある殺虫剤を

キャベツの仲間でもあるハボタンには、アオムシ、コナガ、ヨトウムシなどイモムシと呼ばれる害虫の発生がつきもの。見つけ次第、手で取り除くのが簡単ですが、多発すると殺虫剤を散布したくなります。私の経験上、効果が高く天敵にも優しいのはヨトウムシに登録のあるアファーム乳剤や、ハスモンヨトウに登録のあるプレオフロアブルです。どちらも使用の際は展着剤を加え、葉の表裏にしっかり付着するよう、ていねいに散布します。アブラムシにはベストガード粒剤を株元にまいておくとよいでしょう。

ポイント3カルシウム入り液肥を試してみる

ハボタンは特にカルシウムをたくさん必要とする植物です。長年植物を栽培してこまめに有機物を投入しているような畑の土で育てる場合は、カルシウム不足の心配は少ないかと思いますが、培養土やピートモスを主成分とする土ではカルシウム欠乏による生育不良がしばしば起こります。チッソ、リン酸、カリは袋の指示通り十分与えているはずなのにイマイチ元気がないと感じたら、トマトの尻腐れ予防剤やカルシウム液肥を複数回たっぷり散布してみましょう。

※文中に記述のある薬剤の登録内容は2018年5月時点のものです。
ご使用に際しては、必ず登録の有無をご確認ください。

ミニに仕立てる

園芸店に並んでいるような小さくかわいい姿に育てるには専用の「矮化剤」と呼ばれる薬剤の使用が欠かせません。溶かす手間は掛かりますが、家庭では、1gの小袋入りで使いやすい「ビーナイン水溶剤」がよいでしょう。8月上旬からお盆までにタネをまき、双葉が展開したらすぐに散布して徒長を防ぎ、その後も数回散布して大きくなるのを防ぎます。
小さく育てるには3号程度の小鉢に鉢上げするのがおすすめです。肥料が不足すると葉の枚数が少なくなり発色も悪くなりますので、チッソ−リン酸−カリ=10−10−10の緩効性肥料を、植え付け後2週目に1回と、10月上中旬に最後の追肥として与えましょう。

ビーナイン®水溶剤

ビーナイン®水溶剤

1g×5袋入り。双葉の展開後〜鉢上げ後、200〜400倍に希釈して茎葉に数回散布。希釈後は一両日中に使いきる。100円ショップなど市販のスプレーボトル(霧吹き)を利用するとよい。

切り花に仕立てる

切り花栽培のコツは密植です。8月上旬からお盆までにタネをまき、本葉が4〜5枚になったら、苗を3株まとめて約15p間隔で4列程度の碁盤目状に植え付けます。植え付けたら畝の両側に丈夫な支柱を立て、つる植物用の栽培ネットを水平に張り、苗の倒伏を防ぎます。ネットは生長に合わせて高くずらしていきます。
草丈が約30pになったら、上部3分の1ほどを残し葉をかき取ります。こうすることで通気性をよくして病害虫の発生を防ぎ、茎を細く育てることができます。

切り花に仕立てる
‘F1フレアホワイト’の切り花。

‘F1フレアホワイト’の切り花。

大きく作る

大きく育ったハボタンの迫力はすばらしいものです。大きく育てるにはとにかく早めに6月末から7月中旬にはタネまきします。
本葉4〜5枚で、チッソとカリが多め(チッソ−リン酸−カリ=14−10−13など)の化成肥料を施した畑に40〜50p間隔で1株ずつ定植しましょう。生育が停滞するようであれば1株当たりペットボトルのキャップすりきり2〜3杯程度の追肥を行いますが、畑で育てる場合、着色時期の追肥は着色不良を招きますので9月中旬までに施しましょう。
8号以上の鉢で大きく育てることもできますが、追肥はペットボトルのキャップすりきり1杯程度を、10月中旬まで3週に1回ずつ施す方がボリュームのある株に仕上がります。

大きく育った‘F1くじゃく’

大きく育った‘F1くじゃく’

ずらし植えで大きさを調整

元肥の入った土でタネまきをして本葉4〜5枚に育った苗は、一度も追肥せずにそのまま置いておくと、肥料不足により下葉が黄化して落ちてしまいますが、水だけ与えておけば葉が少しグレーがかってきて生育が止まってきます。その後は水をやるだけで2〜3カ月はほぼそのままの株姿を保ちます。
ハボタンは植え付けの時期を遅くすればするほど小さく育てられる植物です。7月上中旬にタネまきした場合、大きく育てる時は、苗を速やかに広い場所に植え付けて育てます。小さく育てる時は、追肥せず水だけで生育を止めておいた苗を、9月中旬までだんだんと時期をずらして徐々に小さな鉢に植え付けていきます。

ずらし植えした‘F1白かもめ’。

ずらし植えした‘F1白かもめ’。

新しいハボタン誕生

ハボタンは、アブラナ科の他の野菜と交配が可能です。
ハボタンと非常に近縁のキャベツとハクサイが交配されてハクランという野菜が生まれたのをヒントに、ハクサイと近縁のタアツァイをハボタンと交配してみました。できた姿はなんとタアツァイのようにさじ型の葉で地面に張り付くような、それまでのハボタンにはなかったもので、しかも葉にはつやつやと輝く光沢があったのでした。これはおもしろいと思ったのですが、残念なことに赤や白に発色する部分がとても少なく観賞には不向きでした。
植物の品種改良はこうした挑戦と失敗の連続で、今普通に見られるハボタンも、過去にどんなドラマを経て作られてきたのかと思うと、いとおしく見えてきます。

タアツァイとの交配でできたハボタン(中央)。右がハボタン、左がタアツァイ。

タアツァイとの交配でできたハボタン(中央)。右がハボタン、左がタアツァイ。

ブロッコリーと交配?したのかも。

ブロッコリーと交配?したのかも。

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奥 隆善(おく たかよし)

奥 隆善(おく たかよし)

1977年生まれ。三重県伊賀市在住の園芸研究家。千葉大学園芸学部自然科学研究科卒、植物細胞工学(植物バイオテクノロジー)専攻。チョコレートコスモスの交配種開発に世界で初めて成功した。初めてハボタンを育てたのは小学5年生の時。以来29年ほぼ毎年欠かさずハボタンの栽培を続けている。

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