キャベツのリレー収穫栽培・前作・後作のポイントは?おすすめ品種も紹介
日本国内で栽培されるキャベツは、「良質系」と「寒玉系」の2タイプが9割以上を占めています。
良質系は甲高な形状で、照りのある鮮緑の葉色が特長です。水分を多く含み、やわらかい肉質のため、ジューシーな食感で生食に特に適しています。
寒玉系は扁平な形状で、水分が少なく、味が濃く、葉質がかたいことが特長です。炒め物やお好み焼き、煮物などの加熱調理に適しています。
ここで紹介する家庭菜園向けのリレー収穫では、年間を通して作りやすく、畑での日もちもよい寒玉系をメインに栽培し、寒さや暑さに弱い良質系は年内と翌年春に栽培するという栽培体系をおすすめします。2タイプの収穫により、料理のレパートリーが広がり、生育の違いも観察でき、より家庭菜園を楽しめます。
各品種ともに栽培安定化のために播種適期を守ることが大切です。年内どり・冬どり栽培では下降気温での栽培となるため、遅まきは肥大不足としまり不足につながります。春どり栽培では、早まきで年内に生育を進めすぎると、冬の低温により春先のトウ立ちの原因になります。キャベツの発芽適温は15〜20℃です。発芽適温を超える夏まきでは播種後2日程度、セルトレイやポットを直射日光の当たらない倉庫等に移し、発芽を促します。地床育苗の場合、遮光資材などを使って温度上昇を防ぎます。
茎が太く、葉の厚いガッチリとした健苗が理想です。夕方までに培土の表面が乾く量を目安に午前中に潅水します。またセルトレイを地面から30cm以上浮かせ、排水と通気をよくします。夜間に余分な水分が残ると軟弱徒長の原因になります。定植の7〜10日前には、苗を外気で慣らして葉質をかたくして、しっかりした苗に仕上げます。
施肥量は、10−10−10の化成肥料(チッソ成分10%)であれば、1m2あたり200〜250gを基本に施肥し、前作の残留肥料や土壌の肥沃度により調整します。
年内どり栽培は、初期生育をスムーズに進めることがポイントです。そのため、全施肥量の3分の2を元肥とし、定植から1週間後と2週間後を目安に、残りを追肥として施します。
冬どり栽培は生育期間が長いため、安定した肥効を保つことがポイントです。全施肥量の2分の1を元肥とし、生育を見ながら2〜3回に分けて追肥を施します。
春どり栽培では温度の上昇とともに生育を促すことがポイントです。全施肥量の2分の1を元肥とし、気温の上昇するころから生育を見ながら追肥を施します。追肥では速効性のものを使用します。生育後半に余分な肥効が残ると、玉の腐敗と裂球の原因になります。
キャベツは過湿を嫌うため、畝幅は120cm前後とし、排水を図ります。株間は30〜40cmの2条植えとします。夏の定植は夕方に行い、活着を促すため定植後すぐに潅水します。近年は、猛暑で活着不良の発生が危惧されるので、特に注意が必要です。
キャベツの栽培では、虫害がよく問題になります。定植の際に、植え穴に粒剤を施用することで、初期の虫害を防ぐことができます。最近では苗に潅注して使う、効果が長期間持続する殺虫剤があり、虫害に対してとても効果的です。無農薬・減農薬で作る場合は、定植後すぐに防虫ネットのトンネルをかけることで虫害を防ぎます。
手でキャベツの頭を押して、弾力を感じる程度が収穫適期です。
秋や春〜初夏ではキャベツの温度が上がっている状態で収穫すると、日もちが悪くなります。朝や夕方の気温が低い時に収穫します。
一方、冬の収穫では、凍っているキャベツを収穫すると、凍霜害からの回復が悪く、傷みやすくなります。霜が溶けて、葉のしおれが回復する昼以降に収穫します。