麻生 健洲 (あそう けんしゅう)
千葉大学園芸学部卒業後、農業高校で園芸や生物工学などを指導する。退職後は、書籍の執筆や監修などをするかたわら、家庭菜園を楽しむ。生け花や絵画、写真など多彩な趣味を持つ。著書に「だれでもできる ベランダで野菜づくり」(家の光協会)などがある。
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秋冬野菜のタネまきシーズンが近づいています。今回は、花の蕾を食べるブロッコリーとカリフラワーのおすすめ品種と作り方を紹介します。どちらもバラエティー豊かなラインアップなので、選ぶ楽しみもいっぱい。好みのものを選んで、さっそく栽培してみましょう。
ブロッコリーやカリフラワーは、キャベツや赤キャベツ、芽キャベツ、コールラビなどとともに、ヨーロッパ地方に野生しているケールの仲間が起源とされています。ブロッコリーやカリフラワーは冷涼な気候を好むので、家庭菜園では生育期間が涼しくなる夏まき栽培が作りやすく、おすすめです。食用部分である花蕾は、苗が一定の大きさになった時に、一定の低温に、一定期間あうことによってできます。花蕾のできる時期は品種によって違い、早生品種ほど短い期間で花芽ができるという性質があります。ブロッコリーはビタミンCや葉酸などを豊富に含みます。また、カリフラワーは加熱してもビタミンCが損なわれにくいといわれています。どちらも体によい栄養素がたっぷり含まれているので、作付計画のラインアップにぜひ加えてみてください。
ブロッコリーとカリフラワーの発芽適温は20〜25℃。真夏の育苗では気温が高すぎて発芽や生長が悪くなるため、寒冷紗などで覆って強い日ざしを遮り育苗するとよいでしょう。また、品種によってタネまき適期が違うので、しっかりと守ることが大切です。
栽培のポイントは、タネのまき時や施肥の量・時期を守って土壌管理をしっかり行うこと。こうすることで、花蕾が小さいまま育たなかったり、花蕾に小葉が混じったり(リーフィー)、蕾が黄化するなどの生理障害が発生するのを防ぐことができます。
アオムシやヨトウムシ類、コナガの幼虫などがつきやすいので、定植時から防虫ネットのトンネルがけで防ぎます。連作によって発生しやすくなる根こぶ病や軟腐病は、輪作を取り入れた作付けを心掛けます。
頂花蕾を収穫後、側枝が出やすい「頂花蕾側花蕾兼用品種」を選ぶと収穫を長く楽しむことができます。また、ブロッコリーと介藍の交配種である「茎ブロッコリー」は、伸長する茎と花蕾が収穫できる人気の野菜です。
カリフラワーといえば「白」が定番でしたが、最近では緑色、紫色、黄色、オレンジ色などカラフルな品種が続々と登場。白い花蕾は日光に当たると黄ばむため葉で覆う作業が必要ですが、カラフルな品種はその必要がないので、作業の手間が少なくてすみます。
タネまき用培養土を入れた育苗箱に、板切れなどで5〜6p間隔にまき溝をつける。2〜3p間隔にタネをまき、覆土して水やりする。夏まきは高温期の育苗になるので、寒冷紗などで遮光して地温を下げる。
ブロッコリーは本葉5〜6枚、カリフラワーは本葉4〜6枚になったら畑に定植する。
下記の施肥量を参考に土づくりをする。ブロッコリーは、1条植えでベッド幅60〜70p、2条植えで幅120p、高さ20pほどの畝を立てる。カリフラワーは、1条植えでベッド幅60〜80p、2条植えで幅120〜150p、高さ20pほどの畝を立てる。
定植の2週間前に苦土石灰、1週間前に堆肥と化成肥料をまき、よく耕す。
苦土石灰=100〜150g/u
堆肥約2s
化成肥料(チッソ、リン酸、カリの比率が各10%のもの)100g/u
1条植えの場合は株間40〜45p、2条植えの場合は株間40p、条間45pで苗を植え付ける。
根鉢を崩さないように、根鉢の上面と畝の表面が同じ高さになるように苗を植える。定植の2〜3時間前に、植え穴と苗にたっぷり水やりをし、定植は夕方涼しくなってから行う。定植後も水やりをし、苗のしおれが回復するまで寒冷紗または不織布でトンネルがけする。
定植2週間後に1u当たり化成肥料70〜90gを株の周囲にまき、土寄せをする。さらに、花蕾が見え始めたころに、1回目と同量の追肥を畝の肩に施し、その後は土寄せをする。
花蕾が大きくなり蕾の形がはっきり分かるようになったら、蕾と蕾の間にすき間ができる前に茎を長めにつけて収穫する。その後に伸びてくる側花蕾は、大きくなったものから収穫する。
茎ブロッコリーは、主に花蕾のついた茎を食べるので、頂花蕾は小さめ(直径が10円玉大)の時にハサミで摘芯収穫し、側花蕾の発生を促す。
1条植えの場合は株間40〜45p、2条植えの場合は株間40〜50p、条間45〜50pで苗を植え付ける。株間は早生品種で狭めに、晩生品種では広めにする。
根鉢を崩さないように、子葉が埋まらない程度に深めに植える。定植の2〜3時間前に植え穴と苗に水やりしておく。定植は夕方に行い、定植後も水やりをする。活着まで寒冷紗または不織布でトンネルがけする。
早生品種では、定植2週間後に1u当たり化成肥料20〜30gを株の周囲にまき、土寄せをする。さらに、花蕾が見え始めたころに、1回目と同量の追肥を畝の肩に施し、その後は土寄せをする。晩生品種では花蕾形成期までに3〜4回に分けて追肥をする。
花蕾の直径が15〜20cmになり、厚みが増してきたら収穫する。花蕾の表面が滑らかな時が収穫適期。
白い花蕾の品種は、日光が当たると色が黄化する。そこで、花蕾の直径が5cmくらいになったら縛葉(数枚の外葉を縛る)するか、外葉を折ったもので花蕾を覆うとよい。
一方、有色種は結束せず、光を当てることで着色がよくなる。
千葉大学園芸学部卒業後、農業高校で園芸や生物工学などを指導する。退職後は、書籍の執筆や監修などをするかたわら、家庭菜園を楽しむ。生け花や絵画、写真など多彩な趣味を持つ。著書に「だれでもできる ベランダで野菜づくり」(家の光協会)などがある。
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