牡丹特集!植え付け方法についても解説

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『立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花』と詠われるボタンは、百花の王としても知られます。中国から薬用植物として奈良時代には渡来していたと思われますが、正式な記録としては平安時代の『蜻蛉日記』や『枕草子』の中に記述があります。江戸時代には数百品種が登場し、現在に至っています。 |
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文化や歴史などの違いからくる好みの差のためか、日本の品種と中国の品種は明らかに異なります。多くの植物に共通しているように、日本では一重や清楚な雰囲気の花が多く、中国では欧米と同様に八重や千重といった派手な花が多く見られます。 |
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暑さや寒さに強い、丈夫な植物です。日なたを好み、日陰では花がつかなかったり、カミキリムシの幼虫(テッポウムシ)による食害が多くだんだんと衰えてきたりします。西日に弱いといわれるため、日陰に植えてしまう人を見かけますが、西日でもいいので日光の当たる場所に植え付けましょう。西日が当たるとよくないのは株元から地面にかけてなので、株元にわらなどを敷き詰めてください。 |
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植え付け適期は9月中旬〜10月で、その後も12月下旬まで行えます。昔、まだ現在のようにポット栽培のなかったころは、春に花を見て決めておいた株を、秋に掘り上げて販売していました。現在ではポット苗が普通なので、開花期に求めることが当たりまえになりましたが、植え付けや植え替えはすぐに行わず、必ず秋まで待ちます。
庭植えは、なるべく大きめに穴を掘り、掘り上げた土に腐葉土を3〜5割と多めに混ぜ、接ぎ木部分が完全に埋まるように植え付け、植えた所が小山のようになるように土を盛ってください。ボタンの苗は大半がシャクヤクの根に接がれたものです。ボタンの自根を発生させるように必ず接ぎ木部分を埋めましょう。また、重い土を嫌うので、普通に植えたり、深植えにするとよく育ちません。鉢植えの場合は、なるべく大きめの鉢に植えます。


水やりは、植え付け時に十分行えれば、あとはほとんど必要ありません。ただし、夏に暑く乾燥している場合、週1回くらいの間隔で十分与えてください。
華奢な樹姿で豪華な花を咲かせるため、肥料を好みます。寒肥とお礼肥を十分に施し、さらに3月に芽出し肥、9月に秋肥として少量施すとよいでしょう。

病気では、炭そ病に注意します。葉、茎に紫褐色の斑点を生じ、ひどくなると葉の枯れ上がりが早くなり、株の充実を妨げます。6月ごろに発生するので殺菌剤を2〜3回散布して防除します。
害虫では、カミキリムシの幼虫(テッポウムシ)が幹の中を食害します。食い入った穴から外側に木屑が出るので発見できます。木屑を取り除き、穴の中に殺虫剤を注入して、ガムテープなどで密封します。カイガラムシは、少ない場合は歯ブラシなどで擦り取り、多い場合は殺虫剤を散布して駆除します。


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海峰 | 大松山 | 白鵬 |
淡桃色の千重咲き大輪花。年数が経つと獅子咲きになることがある。樹勢は強い。 | 丸みを帯びたボリュームある花弁の、淡赤色千重咲き大輪花。花つきがよい。 | 純白の千重咲き大輪花。花弁基部にほのかな赤紫が入る。 |
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薄雲錦 | 浪花錦 | 写楽 |
やや青みがかる桃色に白色絞りとなる八重咲き花。「鎌田藤」を母本とする改良種。 | 桃赤色の八重咲き中輪花。外側の花弁縁に白斑が入ることがある。 | やや青みがかる珍しい紫花。豪華な万重盛り上がり咲き大輪花。 |
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島錦 | 八千代椿 | 島大臣 |
絞り咲きの代表品種。赤白の絞りには色幅があり、表情豊かに楽しめる。 | 淡赤紫色の千重咲き中輪花。葉に若葉と同じ赤みが残る。 | これぞ「牡丹色」という赤紫色の千重咲き大輪花。 |
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五大州 | 緋扇 | 七福神 |
白花系の代表品種。幅広い花弁の千重咲き大輪花。樹勢は強い。 | 緋赤色の八重咲き大輪花。樹勢は強い。 | 淡赤紫色にぼかしの千重咲き大輪花。 |
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大株 赤花系 | 大株 黄花系 | 大株 桃花系 |
赤花。 | 黄花。 | 桃花。 |
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大株 白花系 | 大株 紫花系 | 大株 セット |
白花。 | 紫花。 | 【セット内容】…5種各1本 計5本1組 ■ボタン大株:赤花系(※赤に白となることがあります。)、黄花系、桃花系、白花系、紫花系 |

茨城県牛久市で大正6年創業の園芸店を運営。学芸員。
(社)日本植木協会会員。自社の園内には1800種類5000品種の植物が見学できる『カワラダボタニカルガーデン』がある。「NHK趣味の園芸」にて執筆のほか、庭木・花木に関する著書多数。