「YRくらま」は、肉質が特に優れる秋どり品種で、9月中下旬まきがおすすめです。この品種のファンという方も多く、発売以来長くご愛用いただいているロングセラー品種となっています。そんな人気の高い肉質は、生で食べると歯切れがよくみずみずしさがあり、煮大根にすればとろけるような食感がお楽しみいただけます。ぜひ、一度体感してみてください。
生育はやや旺盛で、無理な早まきをすると葉がちになったり、割れる原因にもなりますので、9月中下旬まきでお使いください。また、みずみずしい肉質であるがゆえに、過剰肥大すると割れることもあります。抽根部7pごろを目安に、適期収穫を心掛けましょう。
野菜のプロ・タキイブリーダーおすすめ!今年の夏秋イチオシ品種!
「ケルたま」は機能性成分ケルセチンを秋まき従来品種の約2倍含むタマネギです。ケルセチンはポリフェノールの一種で、抗酸化作用、血小板凝集の抑制効果(いわゆる血液サラサラ)、動脈硬化予防などの効果があるといわれています。
熟期はネオアースよりもやや遅い晩生で、玉のしまりがよく、長期貯蔵に向きます。皮は密着性に優れており、濃赤褐色で従来の秋まき品種よりも一段と美しく仕上がります。草姿は立性で葉折れしにくいため、除草などの管理作業が容易です。また、晩抽性も高いため、安心して栽培いただけます。
スムーズに活着させるため、播種・定植は中生の作型に準じ、9月中下旬に播種、11月中下旬に定植を行います(中間地標準)。遅植えになると活着が順調にいかず、生育不良や肥大不足になる可能性があるため避けます。
通常のハクサイの下降気温下の栽培となる冬どり作型で、順調に生育と結球を進めるためには、中間地では盆明けから9月初めに播種し、遅くても9月いっぱいに定植を行う必要があります。定植遅れは、不結球の発生が懸念されるためですが、今回ご紹介する「ほまれの極み」は生育旺盛で低温結球性が特に優れるため、これまでの品種ではできなかった遅まき・遅植えが可能で、遅まき栽培で起こりやすい不結球のリスクが低い品種です。遅まきできることで、高温期に問題となる害虫による食害や病害の発生が少なくなる利点もあります。
また、晩抽性にも優れるため、冬どり品種が寒傷み、芯伸びや過熟によって品質低下を招きやすい早春の時期にも、新鮮球の収穫が可能です。
遅まきの限界は、1〜2月の平均気温が4℃以上で強い霜の降りない暖地で10月1〜10日まき、中間地で9月20〜25日まきを目安とし、極端な早まき・早植えは避けてください。越年時は結球初期を目安に、年末からはベタかけ資材を利用し、結球肥大を進めてください。
同じく秋まきには、赤カラシナの「コーラルリーフフェザー」「コーラルリーフプルーム」をおすすめします。どちらも機能性成分アントシアニンを豊富に含むファイトリッチシリーズの品種です。この赤カラシナは、草丈が小さい20p程度まではサラダなどの生食用に、大きくしてからは炒め物や漬け物にお使いいただける葉物野菜です。赤紫色の葉を生かし、「紅法師」と同様、サラダの彩りとして最適な品種です。
また、ピリッとしたほどよい辛みがあり、シャキシャキと歯応えがあるため、味や食感のアクセントにもなります。ギザギザが深い切葉の「コーラルリーフフェザー」と、やや広葉で葉軸が太くボリュームのある「コーラルリーフプルーム」は、どちらの品種も秋冬の冷涼な作型で旨みや辛みが増し、より一層味わい深くなります。