花も個性的な葉も見どころ
ベゴニアの原生地は世界中の赤道を取り巻く帯状に存在し、実にさまざまな葉の形・質感・模様があります。花の美しさはもとより、ユニークな葉姿は観葉植物としても楽しむことができます。ベゴニアの花言葉は「片思い」。これは、葉脈を中心として左右が重なりあわない、アシンメトリーな葉の形からきています。茎や根の形態により、三つのタイプに分類されます。
@木立性ベゴニア…茎が直立し、立ち上がって伸びる。花はシャンデリア咲きが多い。
A根茎性ベゴニア…茎が横に這って伸びる。レックスベゴニアグループを含む、主に葉を観賞するものが多い。
B球根性ベゴニア…根に球根を携える。茎の基部が太くなり、水分を地下茎に貯蔵するものもある。大輪の華やかな花が特徴。
室内で栽培できる根茎性ベゴニア
ベゴニアの原生地は熱帯・亜熱帯の気候地域ですが、決して暑さに強い植物ではありません。栽培管理に一番好ましい温度は15〜25℃です。35℃以上になると生長はやや停滞ぎみになり、5℃以下になると小休止をし、中には枯れるものもあります。生長期は春先から晩秋までと考えてください。
ベゴニアは半日陰を好みます。生長期は戸外でも管理ができますが、より弱光線でも栽培可能な根茎性ベゴニアは明るい窓辺など、室内でも十分生育します。原生地は木漏れ日が差し込む程度の密林の林床で滝や小川が流れ、湿度もあるような環境です。今回主にご紹介する根茎性ベゴニアはあまり草丈が高くならず、株が横に張るタイプなので小さめに仕立て、ガラス容器を用いたテラリウム栽培にも向きます。簡単に始められるテラリウムは、おしゃれなインテリアのオブジェとしてもおすすめです。
人の快適な環境があう
ベゴニアは雄花と雌花が同一の株に存在する雌雄異花同株です。最初にハート形の雄花が咲き、その後、茎が二またに分かれ、さらに雄花が咲きます。これを品種によっては6〜7回繰り返し、最終的に雌花がフィナーレを飾り、シャンデリアのように咲き誇ります。雄花の開花から咲き終わりまでは1カ月以上に及び、これが長く花を楽しめる所以です。上手に育てるポイントは、次の3点です。
@乾燥に比較的強いため、水をやりすぎない。
A半日陰を好むため、直射日光を避ける。
B15〜25℃の、人が過ごしやすい環境がベゴニアにとっても好ましい気候なので、できるだけ適温に近づける。
以上を心掛けて栽培するとよいでしょう。
1年に1〜2回花が咲き、種類によっては四季に楽しめる花期の長いベゴニア。花がない時期には芸術的な葉模様を愛で、1年を通じて観賞できるのも大きな魅力です。
栽培管理
◆置き場所◆
平均気温が15℃以上になる春先から戸外で管理をします。強光線を嫌うので、日差しが強まるとともに遮光下に置きます。気温が10℃を下回る晩秋には室内に取り込み、5℃以上で越冬させます。根茎性ベゴニアは弱光線下での栽培に十分耐えるので、年間を通し明るい窓辺のカーテン越しに置き、夏は極力涼しく管理します。水やりの際は戸外に出し、時折株に微風を当て、十分な日光も与えるようにしましょう。
◆植え替え・植え付け◆
根張りがよくなったら、生長期の春先から初夏、または秋に植え替えを行います。購入したポット苗を植え付けるのも同じ時期に行います。根茎性ベゴニアは頻繁な植え替えは不要ですが、根詰まりを起こしている場合は古い用土を3分の1ほど落とし、新しい用土とともに植え替えます。根茎性ベゴニアは根茎が横に広がる性質のため、浅く口径の広い鉢が適しています。
◆用土◆
水はけがよく、通気性と保水性のある用土が適します。市販の草花用培養土でもかまいません。自分で配合する場合の目安は、赤玉土小粒4:バーミキュライト3:ピートモス1:鹿沼土1:ベラボン1がよいでしょう。
◆水やり◆
ベゴニアは茎質に水分を保有し、乾燥に比較的強いため水をやりすぎないようにします。表土が乾いた翌日ごろに、たっぷりと水をあげます。とりわけ根茎性ベゴニアは空中湿度を好むものが多いので、時折葉面に霧吹きをします。生長が衰える猛暑の時季や5℃以下になる冬季にも、控えめに水をやります。
◆肥料◆
植え替え用土には緩効性の元肥を混ぜておきます。生長期に当たる4〜11月(猛暑の8月は除く)は、置き肥を与えるとともに、液体肥料を適宜施します。生長期の根茎性ベゴニアには湿度と鮮やかな葉色を保つため、1週間に1回ほど活性剤を葉面散布します。
◆切り戻し◆
木立性ベゴニアは、よく分岐した形のよい樹姿にするために、下から2番目ほどの葉芽の上を切り、整枝を行います。古株になり、根茎が匍匐し始めた根茎性ベゴニアは、鉢より徒長した根茎部分を切り、乱れた株を整えます。
◆病害虫防除◆
6月ごろ〜9月まで、夏季は葉ダニの発生に留意します。ダニは目に見えにくいですが水に弱いので、葉裏を中心に葉水をすると効果的です。梅雨や長雨が続く秋口にはうどんこ病や灰色かび病が発生することもあります。対策は枯れ葉や花がらをこまめに除いて株元を清潔に保つとともに、予防として殺菌剤を散布します。