ソラマメ、エンドウよくある失敗と栽培のコツQ&A
- エダマメと、ソラマメ・エンドウは同じ科(マメ科)なので、連作(同じ科の野菜を同じ場所で続けて栽培すること)による障害が起きたのかもしれません。連作障害は、根から出る有害物質が畑に残っていることや、病原菌やセンチュウの増加などが原因で起こる生育障害だと考えられています。マメ科野菜を育てる場合は、4〜5年は同じ科の野菜を育てていない畑を選ぶことが大切です。
また、ソラマメとエンドウの根は呼吸が盛んなため、酸素が不足すると、根傷みを起こす場合があります。通気性があり、水はけのよい畑をつくるために、日頃から堆肥などの有機物を入れて土づくりを行っておくことも大切です。
- ソラマメとエンドウは、10月中旬〜11月上旬(中間地)にタネまきするのが一般的。その後、小さい株で越冬し、低温に当てることにより花芽が形成されて春に開花します。そのため、気温が上がり始める春まきでは、低温を受ける期間が短く、花芽の分化が不十分で花が咲かなかったと考えられます。
春先にタネをまく場合は、中間地ではハウス内で育てたポット苗を若苗で定植し、その後の低温に当てることで花芽ができます。直まきでは温度が不足して発芽までに日数がかかるため、育苗にはハウスを利用します。越冬栽培が困難な冷涼地では、3月ごろに同様の方法でタネまきし、定植します。
- ソラマメは春になると急に生長が進み、枝が茂ります。そこで実つきをよくするために、枝の整理をして株の中心部に日光を十分に当てることが大切です。生育が旺盛な場合は、1株から枝が10本以上出ますが、弱い枝を付け根から切り、強い枝を6〜7本残します。その後、株元に土寄せをしておくと、後から発生してくる枝を抑え、倒伏防止にもなり、莢がたくさんつくようになります。
- アブラムシは茎葉を吸汁して、生育を弱らせるばかりでなく、ソラマメの大敵であるウイルス病を媒介するので、予防が大切です。対策としては、白マルチやシルバーストライプマルチを張る方法が有効です。これは、キラキラする光が苦手なアブラムシの飛来を防ぎ、忌避する効果があるからです。また、春先にアブラムシのつきやすい茎葉の先端を摘芯すると飛来予防にもなります。防除法は見つけ次第手でつぶすほか、被害がひどければ、オレイン酸ナトリウム液剤(オレート液剤)などを散布します。
- ソラマメのタネは大きく、発芽するときは十分な酸素が必要です。深くまくと酸素不足で発芽しにくいので、「おはぐろ」と呼ばれる黒い筋の部分を斜め下向きにして、縦に浅く埋め込むのがポイントです。タネの先端が土の上にギリギリ出ない程度の浅さがよいでしょう。畑に直接まくと、発芽の不揃いや鳥害などが起きるので、ポリポットに1〜2粒ずつタネをまいて20日ほど育苗し、この間に生育の弱い株を間引いて1本にし、本葉2〜3枚のころに定植するとよいでしょう。
- ソラマメはその名の通り、空に向かって斜め上方向に実を結びます。莢の中のマメが太ってくると重みでだんだんと下に下がってくるので、そのころに収穫します。見た目としては、莢に光沢が出て黒い斑点が現れ、背筋が黒く変色していたら収穫適期。莢をむくと、中のマメの「おはぐろ」(芽と根の出る部分)が黒褐色に色づいていたらとり頃です。
- ハモグリバエの幼虫による食害です。ハモグリバエは体長2〜3mmで、この虫が葉に卵を産みつけ、ふ化した幼虫が葉の中でトンネルを掘りながら移動します。その食害の跡が白い筋となって見えるのです。これが多発すると葉全体が白く枯れ上がり、生育不良になってしまいます。幼虫は葉の内部にいて、農薬による防除は難しいため、発生の初期に筋の先に潜む幼虫を指で押してつぶします。
- エンドウは、タネまきが早くても遅くてもうまく育たないので、時期を守ってタネをまくことが肝心です。中間地では10月中旬〜11月上旬、冷涼地では3月ごろがタネまきの適期です。
エンドウは低温でも日数はかかりますがよく発芽します。また、若い苗は低温にも強く、本葉2〜3枚のころが最も耐寒性が強くなります。しかし、生育が進むにしたがって耐寒性が弱まり、花の咲くころは最も寒害を受けやすくなります。そのため、タネを早くまきすぎると株が大きく育ちすぎて、冬の寒さで枯れることもあります。
- 莢エンドウは、子実の肥大が始まるころで、開花後15日前後となります。スナップエンドウは莢が鮮緑色で断面が円形となり、マメが肥大して莢の色が鮮緑色のうちに収穫します。開花後25日前後が目安です。実エンドウ(グリーンピース)は、莢にしわが現われるころが収穫適期。熟しすぎると全体が白くなり、甘みがなくなるのでタイミングよく収穫します。
-
マメ科野菜の根には根粒菌が共生し、この菌は根から養分をもらいながら、空気中のチッソを固定して、マメ科植物にチッソを与えています。そのため、マメ科野菜は肥料の少ない土でもチッソをもらって育つことができます。逆に肥料を与えすぎると葉が茂りすぎて、実のつきが悪くなってしまいますので気をつけましょう。
-
ソラマメのことをイタリア語で「ファーベ」といいます。イタリアのファーベは20〜25cmと長い莢の中に5〜7粒の小型のマメが入っていて、生でも食べられるのが特徴。ローマやシチリア島では、チーズやワインに相性がいいことでも知られています。
ファーベを日本へもたらしたのは、築地青果市場で「西洋野菜の伝道師」として活躍した、故大木健二さん。1991年にイタリアから取り寄せたタネを鹿児島県や千葉県で栽培したのが始まりです。タキイ種苗からはファーベタイプの品種で「福ならび」を販売しています。
- 神奈川県農業総合研究所、同農業技術センターなどで野菜の研究と技術指導に従事。
現在、園芸研究家、野菜ソムリエ。