ソラマメ(そら豆)・エンドウの栽培方法や追肥時期について解説
ソラマメ、エンドウは初夏の味覚として人気の野菜。いずれも新鮮であるほど豊かなコクと甘みが感じられ、自家栽培の醍醐味を味わうことができます。秋に種をまいて冬越しさせて育成し、初夏に収穫するのが、おおまかなスケジュール。スタートとなるタネまきは、10月下旬〜11月上旬が適期です。
ソラマメ
寒さ対策をしっかり行い幼苗を守るのがコツ
初夏の味覚の代表野菜であるソラマメは、莢が上を向いていることからソラマメ(空豆)と呼ばれます。栽培期間は10月中旬から翌年5月と長いですが、それだけに収穫の喜びはひとしおです。ソラマメの本当においしい時期は、収穫してから3日間といわれているほどデリケートな野菜ですから、自家栽培はなんといっても収穫したてのソラマメをすぐに食べられるのも魅力的です。
まず、栽培の前に品種選びですが、最近は大粒系の‘仁徳一寸’や長莢系の‘福ならび’が人気です。栽培期間が短い早生種の‘早生そらまめ’や中早生種の‘三連’なども初心者にはおすすめです。
栽培のポイントは、まず輪作を心掛けること。そして、株が高さ30cmを超えると耐寒性が弱くなる性質があるので、種まきや植え付けの栽培適期をしっかり守ってください。寒さが厳しい時には、マルチングをしてタネまきをします。また、鳥害を防ぐために寒冷紗のトンネルがけをして保護します。5月に入ると莢が空に向かって伸び始めます。莢が次第に下に垂れてきたら収穫の時期です。
とても鮮度が落ちやすい野菜なので、収穫したらキッチンに直行して塩ゆでにしましょう。ソラマメは、タンパク質、ビタミンB群、ビタミンC、鉄分が豊富に含まれている栄養満点の野菜です。
連作を嫌うので、マメ科の野菜を作っていない場所で育てます。また酸性土壌を嫌うので、石灰を用いて酸度調整を行います。日当たりがよく、強風が吹かない場所を選び、10m²当たり1〜1.2kgの苦土石灰をまいて耕し、幅60〜70cmの畝を作ります。畝の中央に深さ20〜30cmの溝を掘り、元肥として10m²当たり堆肥20kgと、化成肥料(8ー8ー8)1kgを溝施肥し、埋め戻します。
直まきする場合 株間30cm間隔で1カ所に2粒ずつまきます。「おはぐろ」という種の黒い部分を下に向け、深さ2〜3cmまで差し込みます。タネまき後はしっかりと水をやり、鳥に食べられないように不織布で覆うか、寒冷紗のトンネルがけをしましょう。発芽したら、間引いて1本残します。
育苗する場合 培養土を入れた9cmのポリポットに、「おはぐろ」を下に向けて土に押し込み、頭が少し見えるぐらいに浅く2粒まきます。発芽までは乾燥に注意し、発芽したら元気な苗を1本残し、1本は間引きます。草丈7〜8cmになったころにポットから引き抜き、根を軽くほぐしてから定植します。
年を越し、1月までに1回、追肥を施します。株の周りを軽く耕した後、周囲に化成肥料を10m²当たり300gまきます。株が倒れないようにしっかりと土寄せをします。
ソラマメの病害虫対策
実がつき始めてふくらんでくるころ、アブラムシなどの害虫がはびこってくるので、見つけ次第捕殺するか、農薬を散布します。また、葉の葉脈に沿って白い細かな斑点を見つけたら、アザミウマの被害なので、初期の段階で適用のある殺虫剤を散布し退治しましょう。赤褐色の斑点が特徴の赤色斑点病が見つかったら、適用のある殺菌剤を散布してください。
草丈30〜40cmの時、太い枝を6〜8本残し、細い枝や徒長した枝を付け根から除去して風通しをよくします。次に株の周囲に化成肥料を10m²当たり300g追肥し、株元に厚さ5〜6cmの土を入れます。 その後、草丈70cm程度のころに枝の先端をハサミで切り取り、実を充実させます。また、倒伏を防ぐため、畝の両端の中央に支柱を1本ずつ立て、麻ひもで囲い込みましょう。
莢がふくらんで下へ垂れて光沢が出始め、筋部分が黒くなってきたら収穫の適期です。品種によっては収穫日数が前後するので、種袋などを見て確認しましょう。くれぐれも収穫適期は逃さないように。収穫後は急速に鮮度が落ちるので、すぐに塩ゆでなどにして食べましょう。
エンドウ
タイミングを逃さず早め早めの収穫を
エンドウは大きく3種類に分けられます。莢がかたく実だけを食べる「実エンドウ」、エンドウを若どりして莢を食べる「サヤエンドウ」、莢と未熟な豆の両方を食べる「スナップエンドウ」です。そして、エンドウの若い芽や葉を摘んだものが「豆苗」です。
おすすめの品種は、実エンドウでは‘ウスイ’や早生種の‘南海緑’‘久留米豊’、サヤエンドウでは肉質がやわらかい‘シャンパーニュ’や早生種の‘成駒三十日’、スナップエンドウでは莢が長く甘みのある‘グルメ’などです。
エンドウはソラマメ同様に連作を嫌うので、最低でも3〜5年は同じ場所で栽培せず輪作を心掛けてください。また、酸性土壌も嫌うので石灰を散布し、土壌の酸度を調整します。
栽培のポイントは、10月中旬から種をまき、翌4〜5月に収穫する越冬野菜なので、寒さに強いとはいえタネまき後は不織布や寒冷紗のトンネルをするなど防寒対策をします。春になってくると生育が旺盛になるので、つるあり品種なら密集を避けるためにも支柱を立ててつるもの用ネットを張り、つるを広げます。実エンドウは実がつき始めてふくらんだころ、スナップエンドウは太ってきた莢の色が鮮やかなうち、サヤエンドウは実が丸みを帯びないうちが収穫適期です。早め早めに収穫し、収穫後は鮮度が落ちやすいので早めに食べましょう。
3種に分けられるエンドウ
実エンドウ
莢がかたいため、丸々と太った実だけを取り出して食べる。莢がパンパンにふくらんでから収穫。
サヤエンドウ
若くてやわらかい莢を食べる。キヌサヤとも呼ばれる。莢が平たく、中の実がまだ若いうちに収穫。
スナップエンドウ
莢と未熟な実を食べる。莢はやわらかく肉厚で、甘みがある。莢が太ってきたころに収穫。
連作を嫌うので、マメ科の野菜を作っていない場所で育てます。また酸性土壌を嫌うので、石灰を用いて酸度調整を行います。日当たりがよく、強風が吹かない場所を選び、10m²当たり1〜1.2kgの苦土石灰をまいて耕し、幅60〜70cmの畝を作ります。畝の中央に深さ20〜30cmの溝を掘り、元肥として10m²当たり堆肥20kgと、化成肥料(8ー8ー8)1kgを溝施肥し、埋め戻します。
直まきする場合 畝を立てて(2週間前)マルチングをした後、30cm間隔の株間で1カ所に深さ2cmの穴をあけ3粒ずつまきます。タネまき後はしっかりと水をやり、鳥害と防寒対策として不織布で覆うか、寒冷紗のトンネルがけをします。また、寒風が強いようなら、笹の枝やヨシズを立てて防ぎましょう。
本葉4〜5枚のころ、元気な株を残して1本間引き、2本残します。 越年して3月になったらまた間引き、1本立ちにします。
育苗する場合 培養土を入れた9cmのポリポットに、深さ2cmの穴をあけ3粒ずつまきます。発芽までは乾燥に注意します。間引きはせずにそのまま定植まで育てます。
本葉が3〜4枚になったころ、本格的な寒さが来る前の11月中下旬にマルチングをした畝に定植します。定植後は、不織布や寒冷紗のトンネルをかけます。 越年して3月ごろに間引き、勢いのよい苗を1本残します。
暖かくなってくると勢いよく生育し始めます。つるあり品種は草丈が20〜30cmになったら、高さ2mの支柱を立てて、つるもの用ネットを張ります。伸びたつるは、ひもなどでネットに誘引して這わせます。つるなし品種には仮支柱を立て、麻ひもで囲いこんで倒伏を防ぎます。
エンドウの病害虫対策
葉が茂るころになると、ハモグリバエの食害により、絵を描いたような葉が出てくるので、葉の裏を見て白い道の先端にいる黒いハモグリバエを指でつぶすか、適用のある殺虫剤を散布しましょう。また、アブラムシが発生したら見つけ次第捕殺するか、農薬を散布します。葉やつるが密集すると風通しが悪くなり、うどんこ病になりやすいので気をつけます。
年を越し、3月に入ったら追肥します。株の周りを軽く耕した後、周囲に化成肥料を10m²当たり300gまき、しっかりと土寄せをします。その後、2週間に1回のペースで追肥を施します。
品種や種類によって多少異なりますが、開花後20〜30日ぐらいで収穫を迎えます。収穫適期は、「実エンドウ」「サヤエンドウ」「スナップエンドウ」など、種類によって変わってきます。収穫の仕方は、いずれもヘタの上の茎をハサミなどで切り取ります。
1961年東京都生まれ。練馬区農業体験農園「百匁の里」園主。野菜ソムリエ・ジュニアマイスター。野菜づくりのノウハウとおいしい食べ方を一般に紹介している。NHK「趣味の園芸・やさいの時間」をはじめ、テレビ出演、講演多数。