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テーマある植物選びですてきな庭づくり

お気に入りの花ばかり集めてしまってどうもすてきな庭にならない、という方に向けて植物選びのポイントをアドバイス。来年の庭にバラを咲かせたいと考えている場合、植え付けは冬の間。そこで、今回はバラの品種選びについてご紹介します。

来年の庭で咲かせたいバラはこれ!5つのキーワードから欲しいバラを見つけよう!

大苗のバラを植え付けるなら11月〜翌年2月が適期

バラは苗の状態によって、植え付け適期が異なります。春に若苗を畑に植え付け、秋まで育てた苗を「大苗」、または「2年生苗」といいます。この大苗の植え付け適期は11月〜翌年2月。苗が休眠している間、花芽が出る前に植え付けると、傷める心配が少なく、しっかり根付いてよく生長します。大苗は株が充実しているので、植え付けから2〜3年で大株に育ち、見応えのある花姿を見せてくれます。来年はぜひバラを咲かせたい、新しい品種を加えたい、と考えていらっしゃる方は、今、お気に入りの品種をみつけて大苗を入手するのがおすすめです。

どんな品種を選んでもバラがもつ「特別感」に変わりはない!

バラの育種技術が確立されたのは、18世紀後半のヨーロッパといわれています。それを契機に世界中に育種が広がり、今やバラの品種は2万種を超えると言われています。そんなにたくさんのバラの中からお気に入りを見つけるのは大変なこと。バラには多くの品種があり、系統別に分かれていますが、バラのカタログを見ているだけでは、あれもこれも欲しくなって決めきれないことも多いのでは…。
そこで、今回は5つのキーワードに絞り、各々5〜6種を厳選してご紹介します。初めてバラを育てる方なら、まずは「病気に強く育てやすい」というキーワードからお気に入りの品種を見つけてみてください。現在もたくさんのバラを育てていらっしゃる方なら「注目の花色」というキーワードから、今の庭にない新鮮な印象のバラをセレクトしてみるのもよいでしょう。また、目指す庭のテイストがナチュラルガーデンの方向けに、それに似合うバラもピックアップしました。
どんな花色でも、花サイズが小さくてもバラはバラ。バラだけがもつ存在感と気品の高さに変わりはありません。上手に育てれば、何年も花咲き楽しませてくれるバラ。ぜひお気に入りを見つけ出してください。

病気に強く育てやすい

ここ数年、バラの育種現場で最も重要視されているのがこのキーワードです。バラがかかりやすい病気にうどんこ病、黒星病があり、またハダニやバラゾウムシなどの害虫にも注意が必要です。きれいな花を咲かすためには病害虫への対処も必要で、そのために「バラの栽培は難しい」と思われがちです。誰にでも容易にバラを栽培してもらいたい、という思いが育種の現場にもあるのでしょう。また、最近の世界的な傾向として、できるだけ農薬を使わずに植物を栽培したい、という園芸愛好家が増え、それもまた耐病性の強いバラの育種に力を注ぐ理由となっています。
今回は耐病性に優れ、初めてバラを栽培する方でも手軽に管理ができる品種を6種セレクトしました。初夏の庭の主役にすえても、花が咲かなかったら台無しです。「病気に負けずに咲く」というのは、ガーデン計画においてもとても重要なポイントです。

「クロード モネ」   「ナエマ」
フランスのデルバール社作出のシュラブローズ。ピンクに黄色が混じる絞り模様のロゼット咲きで、個性的な美しさがあります。うどんこ病、黒星病ともに強く、花が揃ってよく咲き、株がコンパクトにまとまる特長があります。四季咲き性で香りもすばらしく、長いシーズン楽しめるのも魅力です。   こちらもデルバール社の作出。ナエマというと思い出すのはゲランを代表する香水。ナエマというのはアラビアンナイトに登場する王女の名前です。この品種は非常に香りがよいことから、香水の名にちなんで王女の名前が付けられたそうです。淡いピンクの花色も気品のある優雅なカップ咲きの花形も魅力的。耐病性に優れているので、初心者でも手軽に咲かすことができます。枝を伸長させてアーチなどに絡めることも、またコンパクトなブッシュ仕立てにすることも可能。四季咲き性です。
「ルージュ ピエール ドゥ ロンサール」   「アイスバーグ」
フランスのメイアン社作出の銘花「ピエール ドゥ ロンサール」の赤花品種。印象的なクリムゾンレッドのロゼット咲きの大輪花で、ゴージャスな印象が楽しめるバラです。「ピエール ドゥ ロンサール」の病気に強い性質を受け継ぎ、大輪花でも育てやすいのが魅力。ややスパイシーなダマスク系の香りも楽しめます。つる性なので、アーチやフェンスを彩るバラにおすすめ。   ドイツのコルデス社作出のフロリバンダの銘花。作出は1958年ですが、白花でこれを超えるほど強健な品種は未だに登場していないともいわれ、変わらぬ人気を誇っています。白花といってもややアイボリーがかる甘い花色で、半八重咲きの花形も優しい印象。世界バラ会の殿堂入り品種。初めてバラを育てる方にもおすすめの品種です。
「金蓮歩(きんれんぽ)」   「ビブ ラ マリエ!」
日本でのバラの育種の草分け的存在、京成バラ園芸の故・鈴木省三氏の教えを授かった若手ブリーダー、竹内俊介氏作出のバラ。黄花では数少ない強健種で、うどんこ病、黒星病ともに耐病性があります。フロリバンダの一重咲きで、ひらひらした花びらが優雅な印象。花つきがよく、一斉に花咲くとまぶしいくらい美しい黄色が楽しめます。   フランスのメイアン社作出で、京成バラ園芸との友好50周年を記念して名付けられたバラです。オフホワイトの花色は中心に近づくとわずかにクリーム色を帯び、その優しいグラデーションが豊かな表情を生み出します。丸弁のロゼット咲きで、ボリューム感も楽しめます。うどんこ病、黒星病に強い品種。

新鮮な印象の花色

すでに何種か庭でバラを咲かせている方なら、今までにない花色の品種を加えて新鮮な印象を楽しむのもおすすめです。白、ピンク、赤という定番の花色に加え、最近ではアプリコット色や青みを含んだパープル系のバラが多く登場しています。どれも中間色ならではの優しい雰囲気が魅力。また、濃いパープルや今までにない黄緑色のバラなど、庭に訪れるお客様を驚かせるような花色のバラも加えてみたいところです。花色が変化していく品種も多く登場しているので、ぜひ美しい表情の移り変わりを愛でてみてください。

「杏(あん)」   「ディスタントドラムス」
國枝啓司氏作出で、アプリコット色の人気品種「茜」から派生した美しいシャクヤク咲きのバラ。透明感のあるアプリコット色は咲き進むと桃色へと変化します。ややフリルがかった花形には軽快さがあり、花つき、花もちともによい品種です。2015年作出の新顔なので、新鮮な印象が楽しめます。   アメリカで育種されたバラで、アプリコット、ラズベリー、ラベンダーグレーの3色からなるニュアンスのある色合いが非常におしゃれな印象を与えます。クラシカルな丸弁平咲きで、花つきがよいのも特長。作出者のG.J Buck氏が耐病性、耐寒性にこだわった育種をしていただけに、この品種にもその性質が備わっています。
「イーハトーブの香」   「ダフネ」
吉池貞藏氏作出のフロリバンダ。2014年に「国際香りのバラ新品種コンクール」でフロリバンダ部門の金賞、及び最高得点に与えられる国土交通大臣賞を受賞した品種です。アプリコット色から濃ピンクまで変化するさまがとても美しく、また華やかで甘さのある強い芳香も魅力。カップ咲きの花がたくさん咲き、散り際まで花形が崩れずに楽しめます。   木村卓巧氏作出のシュラブローズ。花名はギリシャ神話の悲しき恋の物語に登場する主人公の女神の名前。ひらひらと軽やかな花形で、姫を想像させるスイートなピンクの花色は、時に淡いグリーンへと変化します。ピンクと淡いグリーンが混じりあって咲く姿は、さわやかでナチュラル! 2014年に登場した新顔品種です。
「ミステリューズ」   「わかな」
フランスのドリュ社作出のシュラブローズで、鮮やかな紫にうっすら絞りが入る花色が名前通りミステリアスで魅力的。半八重〜カップ咲きで、花つきがよく、芳香も楽しめます。しなやかな枝に房咲きになる姿はとても優雅で、樹形もきれい。この個性的な花色は庭のアクセントとしても効果を発揮します。   木村卓巧氏作出のハイブリッドティーローズ。クリーム色を帯びた白花の花弁が淡いグリーンに染まり、上から見るとまるでグリーンのバラのように見えます。珍しい花色がとても新鮮で、ナチュラルガーデンにもよく似合います。花もちがよいので、切り花でブーケにしても美しい!

ナチュラルガーデンに似合う

バラが咲く5〜6月は、ちょうど初夏の宿根草や一年草の開花時期でもあります。草丈が高い花ではジギタリス、デルフィニウム、ペンステモン、カンパニュラなどがあり、草丈が低めのものではヤグルマソウやゲラニューム、ラベンダー、スカビオサなどが咲きます。そんな草花とバラを調和させるには、バラの品種選びにもこだわりが必要です。バラは圧倒的に美しく気品高さがあり、どこに植えても存在感を発揮します。逆にその強さが目立ちすぎると、ナチュラルガーデンとしてのバランスが崩れてしまうことも…。そこでおすすめなのが、ひらひらした花形のバラです。ボリューム感がですぎず、軽やかな印象なので、ほかの草花ともあわせやすく、かつ、アーチ仕立てにしたり、フェンスに絡めれば、庭を立体的に演出してくれます。美しいウエーブをもつバラも数多くあるので、今回は厳選5品種をご紹介します。

「サイレントラブ」   「ラ ベル ポー」
河本バラ園作出のハイブリッドティーローズ。透明感のある淡いピンク色の花は、花びらがひらひらと美しく波打ち、風になびくかのような軽やかな花姿。花つきがとてもよく、株が充実してくると房咲きになります。四季咲きで、やや濃い色になる秋の花も季節の空気感によく似合います。育てやすいバラなので初心者にもおすすめ。   細かく波打つ花びらと、黄色からアプリコット色へのグラデーションが優しくナチュラルな印象のバラです。品種名はフランス語で「美しい肌」。透明感のある花色はまさに名前通り。この色調ならどんな草花とも調和しやすく、庭を明るく演出してくれます。河本バラ園作出、まつおえんげい選抜のシュラブローズで2015年登場の新品種。しなやかな枝がよく伸びるので、アーチやフェンス仕立てにも最適です。
「ムーディーブルー」   「レスポワール」   「オデュッセイア」
イギリスのフライヤー社作出のハイブリッドティーローズ。ラベンダー色の花がすがすがしく、ゆったり波打つ花びらがとても上品。丸弁平咲きで、花弁が厚いため雨に濡れても傷みにくい特長があります。強健でうどんこ病にも強く、とても栽培しやすいバラです。   フランスのギヨー社作出のシュラブローズ。花名は「希望」を意味するフランス語で、東日本大震災の復興支援にちなんで命名されました。やや赤みが混じるパープルの花色がとても上品で、深く波打つ花びらが表情豊かなバラです。樹形も美しく、四季咲きで繰り返しよく咲き、耐病性にも優れています。なお、売り上げの一部は日本赤十字社に寄付されます。   紫がかった黒赤の花びらが波打つさまが本当に美しく個性的なバラです。ニュアンスのある花色、花姿の美しさ、これが庭に咲いていたら自慢したくなります。ミステリアスな花色を生み出すことでは定評のある木村卓巧氏作出のシュラブローズ。黒星病に強く、育てやすい品種です。

ボリューム感のある房咲き

「バラの季節にはあふれるほどに花咲いて欲しい」。そんなボリューム感を望むのなら、まずは1枝に数輪がまとまって咲く房咲き品種を加えてみてはいかがでしょう。1輪ずつ凜と咲く姿もバラなら、重なり合うようにたわわに咲く姿もまたバラの魅力です。アーチやフェンス仕立てにすれば、空間を彩る効果は抜群。より立体的な庭の景色が楽しめます。房咲き品種は花つきがよいものが多いので、たくさん咲いたらカットしてアレンジメントとして飾るのもおすすめです。1枝挿しただけでブーケのようなかわいらしいアレンジメントになります。

「アンジェラ」   「ヨハンナ レプケ」
あふれるほどに花が咲く、その望みを叶えてくれるのがこのつるバラ。スイートなピンク色の丸みのあるカップ咲きがアーチやフェンスなどの構造物を覆い隠すほどに咲きます。生育力が旺盛で多花性、そのうえ黒星病、うどんこ病にも耐性があり、初心者でも容易に栽培できます。ドイツのコルデス社作出の人気品種です。   ドイツのタンタウ社作出のつるバラ。濃淡のピンクのカップ咲きの花が株一面を覆うように咲き、優雅で優しい景色を生み出します。トゲが少ないので手入れがしやすく、枝が垂直に伸びるため誘引などの管理もしやすい品種です。古くからある品種ですが、花の美しさ、育てやすさで変わらぬ人気を誇っています。
「レイニーブルー」   「イージータイム」   「ヴァグレット」
淡いパープル系のつるバラで、これほど花つきのよい品種はないでしょう。ドイツのタンタウ社作出で、2012年のデビュー以来、バラ愛好家を魅了し続けているバラです。花弁数が多いロゼット咲きの花が房咲きになり、なんともロマンチックな景色を生み出します。樹勢がよく、丈夫で育てやすいバラです。   イギリスのハークネス社作出のフロリバンダ。スカーレットからオレンジ、アプリコット、ラズベリーへと変化する花色が魅力的で、房咲きになると華やかなグラデーションが楽しめます。花弁の先に切れ込みが入る場合もあり、軽快な表情に。黒星病に強く、初心者でも栽培しやすい品種です。   河本バラ園作出のフロリバンダ。マゼンダがかる濃淡パープルの半剣弁咲きで、エレガントな雰囲気。房咲きになるとグラデーションがより美しく映えます。樹形がコンパクトなので鉢栽培にも向きます。品種名は「さざ波」を意味し、その名の通り細かく波打つ花びらが繊細で美しい品種です。

長い期間、花を楽しめる

庭を楽しみ、美しく管理していくうえで、重要なポイントの一つが「ローメンテナンス」です。管理の手間をできるだけ少なくし、かつ美しさを保つためには、植物選びの段階から病気に強い品種、剪定などの手間が少ない品種などを組み込んでおく必要があります。そしてもう一つ、花が長く楽しめるという条件も欠かせません。花が長く咲いてくれれば、季節の植え替えの手間が省けるのでかなりのローメンテナンス、ローコストとなるからです。バラには初夏だけに咲く一季咲きのほか、返り咲き、四季咲きの性質をもっている品種も多くあります。返り咲きは初夏の開花以降、不定期に花を咲かせるタイプ、四季咲きは、開花後に切り戻すと次に伸びる枝にも花をつけ、初夏から秋まで開花を繰り返すタイプをいいます。よく昔から「5月のバラ、10月のバラ」とその美しさが賞されますが、秋の澄んだ空気感の中で凜と咲くバラはには、初夏の花とは異なる大人っぽいエレガントな魅力があります。ぜひ庭に四季咲きのバラを加え、秋にもバラを楽しんでみてください。

「ディズニーランド ローズ」   「パパメイアン」
ジャクソン&パーキンス社とディズニー社の協力から生まれたフロリバンダで、鮮やかなオレンジ色の半剣弁咲きの花は、咲き進むにつれピンクがのってきます。オレンジからピンクのグラデーションになると、華やかで楽しげで、まさにディズニーランドで味わうようなうきうきした気分になります。コンパクトな樹形で、初夏の花後に切り戻すと繰り返しよく咲きます。ちなみにカリフォルニアにあるディズニーランドにはこのバラが植えられ、毎年、華やかな景色を楽しませてくれます。   フランスのメイアン社を代表する品種で、1988年に世界バラ会の殿堂入り品種になった銘花です。黒バラと呼ばれる黒みがかった赤の花色はゴージャスな印象で、剣弁高芯咲きの花形は絵に描いたような美しさ。ダマスク系の芳香も楽しめ、花色、花形、香りと3拍子揃った完成度の高いバラです。こんなに美しいバラが繰り返し楽しめるのは大きな魅力。
「ブルームーン」   「レディ マーマレード」   「アレゴリー」
明るい藤色の半剣弁咲きで、幻想的な印象を与えるバラです。ドイツのタンタウ社作出のハイブリッドティーローズで、ブルーローズの銘花ともいわれ、ブルーローズ特有のさわやかな香りが楽しめます。ブルーローズは樹勢が弱いのが弱点でしたが、この品種の誕生により改善されています。強健でトゲも少なく管理しやすいのも特長で、巨大輪ながら花つきもよく繰り返し開花が楽しめます。   イギリスのハークネスローズ社作出のフロリバンダで、濃淡のアプリコットが絶妙のバランスで入り交じります。四季咲きの中輪房咲きで、ふっくらした愛らしいカップ状の花が途切れることなく晩秋まで繰り返し咲きます。コンパクトな樹形なので、鉢植えにも最適。2014年作出の新顔で、同年にイギリスで「ローズ オブ イヤー」を受賞しています。   深い色みのクリムゾンレッドが魅力の品種で、ロゼット咲きの花が1輪、もしくは房咲きとなります。葉脈がしっかり浮き出る明るい葉色とのコントラストも見事。ダマスク系の強い香りも楽しめます。花つきがよく、初夏から秋まで繰り返し開花します。コンパクトにまとまる樹形なので、鉢植えにもおすすめ。フランスのデルバール社作出で、2015年デビューの新顔品種です。