上弁がブルー、下弁が黄色の花は、厳寒期には黄色が優しいクリーム色に変化します。黄色の時のメリハリのある印象と、クリーム色の時の優しさあふれる印象、その違いを楽しんで。花径4〜4.5cm。
パンジー、ビオラといえば春の花壇に欠かせない花。冬の間に選んで早春に植え付けるというのがかつてのスケジュールでしたが、どんどん改良が進み、今では晩秋から咲き始め、冬の間も咲き続ける品種が増えてきました。今ではパンジー&ビオラは彩りの少なくなる晩秋から冬、そして春まで楽しめる花に進化しています。その特長を生かすためには、植え付け時期も早める必要があり、当然、苗の出回り時期も早くなってきています。年が明けてからお気に入りの品種を探しても入手できないことも多く、特に最近人気の個性派品種は流通量も少ないので、品種選びと苗の入手は今のうちにしておくのがおすすめです。
ごく淡いパステルカラーから鮮やかな原色、そして漆黒まで揃うパンジー&ビオラは、園芸植物の中でも最も花色が豊富といえます。今までは「新色」がトレンドの傾向となってきましたが、最近では個性的な花色、花形などの品種がより注目を集めるようになっています。個人育種家が生み出した個性的な品種が以前より手軽に入手できるようになったことも「個性派人気」を高めている理由でしょう。
定番品種か個性派か、どちらを選ぶかで悩む必要などありません。それぞれに適した使い方があるので、どちらもお気に入り品種を手に入れて大いに楽しみましょう。
花壇でチューリップなどの足元を埋めるのに使うなら、花色の美しさが魅力の定番品種を使うのがおすすめです。特に花サイズは小さいものの、花が連続してたくさん咲くビオラは、花壇のグラウンドカバーにぜひ利用したい花です。定番品種にはウインターパンジー「F1ナチュレ」のように寒い冬の間もよく咲く品種もあるので、球根と同時に苗を植え付けるとより長く楽しめます。
個性的な花形、微妙なニュアンスのある花色などの品種は、その魅力をアップで堪能できる鉢植えにするのもおすすめです。個性が強い品種は、寄せ植えではなくシンプルな1種植えにし、1種植えの鉢を複数並べて飾ると、個性が打ち消されることなく堪能できます。
咲き進むにつれ、花色が変化する品種は、1種でも美しい花色のバリエーションが楽しめ、長く咲かせても飽きない魅力があります。
淡黄色と淡紫の2色咲きに見えますが、じつは咲き始めの淡黄色が徐々に淡紫に変わっていく珍しい品種。2色のバランスが変化するさまを眺めるのが楽しい! 花径4.5〜5cm。
咲き始めの白から淡ローズ色、そして濃ローズ色へと変化。3トーンがミックスするグラデーションが自然で美しい品種です。花径4.5〜5cm。
花色が変化するのではなく、1株の中に異なる花色が咲く個性的な品種です。1株で華やかで自然なコーディネートが楽しめるのが魅力。
アイボリー、ベージュ、ライトイエロー、ライトローズなど、暖色系のパステルカラーが1株で楽しめる欲張りな品種。どのひと色を見ても美しく、それがまとまって咲く姿はとてもきれい!花径4.5〜5cm。やや遅咲きの品種なので、春の暖かな空気感にぴったり!
フリンジがかる丸い花形が愛らしく、白から淡ピンク、濃桃色まで1株で広い色幅が楽しめる品種です。締まった株になり、花がたくさん咲くとまるでブーケのような愛らしさ。花径約4cm。
クリーム色、アプリコット色、桃色、ローズ色、白と花色に個体差があり、ミックスして咲くとどこかトロピカルな印象を感じさせる品種。咲き始めは黄色系が中心で、冬に向かうにつれて赤みを帯びます。彩りの少ない冬の花壇に華やかさをもたらしてくれます。花径約4cm。
上弁2枚が細長く、まるでウサギの耳に見えることから「ラビット」と呼ばれる花形のビオラです。丸い花形が基本のパンジー&ビオラの中で、スマートで繊細なこの花形は珍しく、とても人気があるため、最近、新品種が多く登場しています。ちょっと自慢したくなる品種が欲しいならぜひ!
鮮やかな紫色のラビット系品種ですが、下弁も小さく細いのでより繊細な印象。花つきがよく、たくさんのウサギが勢揃いしたかのように見えます。花径約3cm。
シックな黒花というだけでも個性的ですが、ピンと立った耳(上弁)がシャープな印象で、かっこいい! 秋の植え付け時から花がたくさん咲いてくれます。花径約2cm。
品種名にもある鮮やかな茜色は、今までにない透明感があり、とても魅力的。花芯の白とのコントラストからよく目立ち、やや丸みのある耳(上弁)が愛らしい印象。花径約3cm。
花びらが波打ち優雅さを与える品種です。ボリューム感もあり、くっきりした丸形のパンジー&ビオラにはない華やかさが魅力。
軽く波打つ花弁が軽快な印象で、ライトブルーからラベンダー色のブルー系グラデーションがさわやかで美しい品種。大人っぽくエレガントな品種が欲しいならこれがおすすめ! 花径4.5〜5cm。
フリンジ品種の中でも波打ち方の強さではこれが一番。長く人気を継続している理由がわかるインパクトの強さです。黒みがかった濃紫のブロッチから白、または紫へのグラデーションも美しく、1種でも豪華さを感じさせます。中輪種。
シックな濃紫で、上弁がやや淡くなるグラデーションですが、その上弁が繊細に波打ち、さらに表情豊かに見せます。1種でも美しく、またピンクや黄色の引き立て役に利用するのも効果的です。花径約4cm。
ビオラでは珍しいフリンジ品種で、人気の個人育種家・落合けい子氏作出の品種。花弁の縁がくっきりフリンジする花姿がとても軽快。花色は白からごく淡いラベンダーで、まるで白蝶のように優雅な雰囲気です。花径約3cm。
花色全体がグラデーションになるのではなく、花一つひとつにぼかしの入った品種です。筆で描いたようなぼかしは芸術的ともいえる美しさ。統一感がとれた色合いなので落ち着きがあり、1種のみでもきれいにまとまります。
花芯の濃桃色を水で溶いて広げたかのようにごく淡い桃色へ。そのぼかし加減がとても美しく、ありそうでなかった新鮮な花色です。丸い花形も愛らしく、1種のみの鉢植えで、ぜひその魅力を楽しんでください。花径約3cm。
下弁の濃紫から、上弁の淡紫へのぼかしがとても美しく、気品のある花色です。花径約2.5cmの丸い小さな花がたくさん咲くととても愛らしい印象に。
濃淡のグラデーションとは異なり、くっきりとした2色使いの品種がパンジー、ビオラには豊富に揃っています。その中から新色をご紹介します。今までにない新鮮な色あわせが楽しめます。
白からクリーム色の下弁と、鮮やかな紅色の上弁。そのくっきりしたコントラストが個性をアピール。やや丸みのある耳(上弁)がキュートな印象です。花径1.5〜2cm。
鮮やかなスカーレットの上弁と黄色の下弁。そのコントラストは愛らしく暖かな印象を与えてくれます。生育がとても旺盛なので、冬の花壇の彩りにぜひ加えたい品種。花径約3cm。
鮮やかな黄色と少し落ち着いた赤の2色使いがとても華やかな品種。特に赤の発色が美しく、よく目立つので庭の主役として利用できます。花径6〜6.5cmの大輪品種なので、存在感も抜群。
水色と白の2トーンがとてもさわやかで、上品なイメージの品種です。パステルカラーでもメリハリがあるので、1種植えでも際立ちます。このさわやかな色合いをよりアピールできるよう、鉢も寒色系、または白を選ぶとよいでしょう。
ビオラのかわいらしさはその小ささにもありますが、中でも極小輪の品種は、花がたくさん咲くと花たちが揃って合唱をしているようで楽しげな雰囲気に。眺めるたびに愛おしくなる品種です。小さな花なので鉢植えにして愛でるのがおすすめ。なお、2トーンのキーワードでご紹介したビオラ「紅色ピョンピョン」も極小輪です。
花径約2cm。着物にあるようなクラシカルな紫色で、上弁がやや淡く白い縁取りが入ります。花つきがとてもよく、たくさん咲いた時の揃った花姿がなんとも愛らしい品種です。
花径約2cm。下弁は濃黄色、上弁はやや茶色がかった紅色で、丸い形がクマのぬいぐるみを思わせることからこのかわいい花名に。
花径約2cm。濃紅色と白のコントラストが美しく、どこかレトロな雰囲気を感じさせる愛らしい品種です。やや縦長の花がたくさん咲くと、華やかな雰囲気に。
早春から春の花壇ではピンクやオレンジ色、黄色などの暖色系の花が多く咲きます。その引き立て役として欠かせないのがブルーの花。春の花にはブルーが少ないので、そこはぜひパンジー、ビオラを利用したいものです。パンジー、ビオラにはブルーのバリエーションも豊富に揃っているので、選び放題。なかでも発色のよいおすすめ品種を紹介します。
今までにない透明感のごく淡い水色で、クールながら気品のある花色。暖色系のどんな花色とあわせてもすてきになじみ、また、濃ブルー系にあわせれば、グラデーションの幅をナチュラルに広げることができる優れた花色です。春の庭をセンスアップしてくれるマストカラー。花径3〜3.5cm。
淡いブルーですが、発色がとてもきれい。「F1ビビ ヘブンリーブルー」同様、ほかの花色を引き立てる名脇役でもあり、エレガントな花壇の主役にも抜擢できる花色です。花径約8cmの大輪種。
透明感のあるアクアブルーが美しい品種。花芯の黄色は個体差により濃淡があり、それがまた表情豊か。脇役としても優れていますが、シンプルな1種植えで主役として利用するのもおすすめです。花径2.5〜3cm。
「F1ビビ」シリーズはどの品種もとても発色がよいのが魅力ですが、特にブルー系の品種の鮮やかさは秀逸。パッと目にとまり、しかもほかの花色を引き立てるこのブルーはまさに花壇の名脇役です。
最近の品種は耐寒性が強くなっているので、晩秋に植え付け、冬の間に花を楽しみながら丈夫な株に育てると、気温が上がってくると一気に群れ咲き、ボリュームある株姿が楽しめます。
花壇植えの場合、苗は小さくても気温が上がり始めると株全体がぐっと大きく育つので、株間を十分とって植えることが大切です。15〜20cmとるようにするとよいでしょう。
パンジー&ビオラは開花期間が長いので、肥料切れにならないようにするのがポイント。植え付け時に緩効性肥料を施すほか、週に1回程度、薄めにした液肥を水やり時に定期的に与えると、安定した状態で肥料が効き続けます。
パンジー&ビオラは次から次へと新しい花を咲かせます。その開花を継続させるために欠かせないのが終わった花を摘みとる作業。花が完全に枯れてからではなく、花びらの縁がくるっと巻いてきた時点で早めに摘みとるのがポイントです。花茎の根元から取り除くようにすると、株の内部の込みあいも解消され、病気の予防にもなります。