トップ > 花のひろば > すてきな庭づくり
トップ > 花のひろば > すてきな庭づくり

テーマある植物選びですてきな庭づくり

お気に入りの花ばかり集めてしまってどうもすてきな庭にならない、という方に向けて植物選びのポイントをアドバイス。今回は、色幅が広く花形豊富で、日本の花壇で非常に使い勝手のよいダリアに関してご紹介します。

【vol.3】もうすぐ植え付けの適期!今年のダリアはどれを選ぶ?

種類豊富なダリアを夏から秋の花壇の主役に!

ダリアはキク科の球根植物です。球根の植え付け適期は3月下旬以降ですから、そろそろ品種を選んで準備しておかないと! 花が咲くのは7〜10月。 真夏は一時開花を休みますが、気温が下がってくると再び咲き始め、特に秋のダリアは花色がいっそう冴えてとても美しくなります。 花期が長く、ボリューム感もあって存在感抜群のダリアは、バラが終わったあとの庭の主役に最適です。 しかも花サイズ、花形、花色が非常に豊富なので、思い描いたイメージにぴったりの品種が必ず見つかります。

さて、これほどダリアの品種が豊富に揃うのは、じつはダリアの育種が盛んな日本ならではのこと。 イギリスなどでは庭で使うのは意外にも昔からある一重の定番品種くらいです。 夏が涼しいイギリスでは、初夏から咲く宿根草の花期が長く、秋の庭づくりにはあまり重きが置かれないというのも、ダリアがそれほど庭で利用されない理由の一つでしょう。 日本で育種が盛んなのも、ダリアの栽培が日本の気候にあっているからです。 ダリアガーデンを楽しめるのは日本の庭の特権ともいえます。 では、そのうれしい特権をどのように生かしましょうか?

庭でどんな役割をさせたいか、それによって選ぶ品種を変える

ダリアほど品種によって花サイズが異なる草花はなかなか見当たりません。 花径30cm以上ある超巨大輪から、わずか花径3cmほどの極小輪まであるので、まずは庭で使う目的に適したサイズを決めることから品種選びを始めるとよいでしょう。

花壇のフォーカルポイントにしたいなら…

花壇のフォーカルポイント イメージ

フォーカルポイントとは「焦点」の意味です。 パッと目にとまる花があることで花壇はより強く印象づけられます。 フォーカルポイントにするなら存在感のある大輪(17〜24cm)、巨大輪&超巨大輪(28〜30cm以上)を選ぶとよいでしょう。 このサイズなら遠くからでもよく目立ちます。 個性的な印象をアピールしたい場合は、花弁に表情のあるインフォーマルデコラ咲きやカクタス咲きなどの花形を選ぶのがおすすめです。

〈右〉大輪のピンク品種を花壇に並べて。アプローチなど、奥行きのない場所でも一列に並べて植えればダリア花壇が手軽に楽しめます。

今年咲かせてみたい品種
  • 【天涯】インフォーマルデコラ咲きの巨大輪。鮮やかなサーモンピンクが印象的で、動きのある花弁が豊かな表情を生み出します。
  • 【宇宙】鮮烈な赤のフォーマルデコラ咲きの巨大輪。花サイズは大きいながら、整った花形なので花壇がきちんとした印象になります。
  • 【ロイヤルクイーン】インフォーマルデコラ咲きの大輪。ピンクの花弁と花底の黄色の組み合わせが優雅な雰囲気。初心者でも育てやすい品種です。
  • 【高原の光】フォーマルデコラ咲きの大輪。黄橙色からオレンジ色へのグラデーションがとても美しく花壇が明るくなります。
花壇をボリュームアップしたいなら…

花壇をボリュームアップ イメージ

花径17cm前後の中大輪、花径7〜10cmの中輪なら、花壇の中段に植え付けると花がほどよい位置で咲き、花壇全体がボリュームアップして見えます。 また、花径10cm前後のボール咲き品種は、花一つひとつにボリュームがあり、しかも花形が整っているので、花壇がきちんとした印象になります。

〈右〉ボール咲きの品種は花一つひとつにボリューム感があり、花形も整っているので使いやすくておすすめ。

今年咲かせてみたい品種
  • 【ロージーマジェンタ】やや紫がかった濃ピンクの中輪。花形が整って美しく、花弁の先端が少し反って動きのある表情を見せます。
  • 【ピンクマカロン】透明感のあるピンクのボール咲き。立体感のある花が花壇をボリュームアップしてくれます。
  • 【イエローファイヤーワーク】レモンイエローの中輪。弁先が割れて軽やかな印象。秋が深まるにつれ、弁先が淡いピンクに変わります。
  • 【ウエディングマーチ】白地の花弁の先が紅紫に色づくフォーマルデコラ咲きの中大輪。花形が美しく、性質が強健で栽培しやすい人気品種。
花壇の引き締め役にしたいなら

ダリアには花壇の印象をぐっと引き締めるのに最適な品種もあります。 まずは花色がダークな黒紅色の品種。そして、茎や葉が黒に近い品種。 どちらも少量加えるだけで、花壇が大人っぽくしゃれた雰囲気になるので、ぜひ加えてみてください。 花径5〜7cmのポンポン咲きでシックな花色を選ぶと、引き締め役と同時に花壇に動きがつく効果もあります。

  • シックなチョコレート色のポンポン咲き品種が加わると花色のコントラスト(対比)が強くなり、全体が締まった印象に。
  • 茎が黒い品種を加えると大人っぽい表情に。
今年咲かせてみたい品種
  • 【ポンポンショコラ】黒紅色が印象的なボール咲き。花弁の先が割れているので、色はシックでもどことなくエレガントな印象です。
  • 【エレジー】黒紅色の花弁が波打つように重なるインフォーマルデコラ咲きの中大輪。花径が17cm前後あるので、1輪咲いただけでも花壇が引き締まります。

【黒葉ダリアセット】シングル、またはセミダブルのシンプルな花形ですが、注目すべきは茎と葉の色。シックな黒褐色が何ともおしゃれな4種セットです。まとめて植えず、少しずつ距離をとって植えると花壇にメリハリがつきます。

  • 紫式部
  • オレンジクィーン
  • ジャパニーズビショップ
  • ピンクジェンヌ
美しいグラデーションを描くには…

美しいグラデーション イメージ

ダリアは草丈が高くなる品種が多いので、同じ位置に咲くほかの花と組ませてグラデーションを描くのはなかなか難しくなります。 そこでおすすめなのが、花自身がグラデーションをもつ品種です。 これなら1種を植えただけで美しい花色の濃淡が手軽に楽しめ、花壇がナチュラルな印象になります。

〈右〉ダリアには花弁が濃赤と白に咲き分けるタイプもけっこうあり、花が複数咲いて紅白のかたまりになるとインパクト大!

今年咲かせてみたい品種

【咲き分けダリアセット】使いやすい中輪で、花色が自然にグラデーションを描いたり、2色に咲き分けたりと変化のある品種をセットアップ。ダリアでナチュラルガーデンをつくりたい時にはとても便利。赤紫と白が交ざる「舞姫」は、秋によく似合う花色。また、ピンクや黄色が混ざる「フェスター」は軽やかな花壇にしたい時におすすめ。

  • 舞姫
  • 声変り
  • 花笠乙女
  • フェスター
  • 富雅
ダリアの栽培ポイント

ダリアの栽培ポイント 図

【Point 1】球根はまず鉢に植え付けて!

植え付け適期初期の3月下旬は、庭はパンジーやビオラ、またこれから咲くチューリップやスイセンなど春の球根でいっぱいではありませんか。 それでダリアの栽培をあきらめてしまうのはもったいない! 庭に植え付けのスペースがない場合は、まず鉢に植え付け、春の花が一段落するゴールデンウイーク明けに地面におろすのがおすすめです。 鉢は8〜10号で深さのあるタイプを選ぶようにしてください。

【Point 2】秋にも花を咲かせるために夏に思い切って切り戻す

ダリアの花は7月に一度満開になり、その後8月下旬には花が一段落します。 その時点で、根元から30cmほどでハサミでカットすると、9月には再び草丈が伸び始め、秋に再度開花が楽しめます。 なお、ダリアの茎は空洞なので、中に水がたまると腐ってしまうことも。切り戻しをする際は、数日晴天が続く日を選ぶことが大切。水やりする時も、茎の中に水を入れないよう根元に直接注ぐように気をつけましょう。