トマトやキュウリ、ナス、ピーマン、スイートコーンなど、6月の畑は夏の果菜類の収穫ラッシュ。でも、収穫が早くから始まるキュウリは7月の初めにはもう終わってしまいますし、トマトも7月中には収穫終了。スイートコーンも一気に収穫して終了。けれどまだまだ夏は続くし、もう少し夏の果菜類を堪能したい!という方もいらっしゃるのでは?
夏は気温が高い分、野菜の生育も早い! これからタネまきして収穫を楽しむことも可能です。
ポイントは暑さの中でも丈夫に育つ種類、品種を選ぶこと。また発芽期が夏の盛りと重なるので、土壌の乾燥による生育障害に十分気をつけること。土壌の乾燥を防ぐにはビニールマルチの利用がおすすめです。
畑のスペースを有効に利用できる遅まき栽培、ぜひチャレンジしておいしい夏の果菜類を長く堪能してください。
キュウリは夏の果菜類の中でも収穫が早くから始まります。6月中に収穫が終わってしまう場合も多く、涼感たっぷりのみずみずしさを本格的な夏には味わえないことも。しかし、耐暑性に優れる品種を選べば、中間地では7月いっぱい、暖地では8月上旬までタネまきが可能です。春のタネまきと違い、極端な低温にあうこともなく初期の生育が順調に進むので、比較的トラブルにあわずに作れます。ただし、夏本番を迎えると病虫害の発生も多くなるので、耐暑性に加え、耐病性にも優れた品種を選ぶことが大切です。
中間地の場合、7月にタネまきすれば8〜10月まで収穫が楽しめます。
- ポット育苗してから定植します。ポットに清潔なタネまき培土を入れ、タネを2〜3粒まき、発芽したら1株に間引きます。育苗期間は春まきと比べると少し短めで、20日前後で本葉2.5枚ほどの若い苗を定植します。
- 畑の準備をします。元肥(もとごえ)は1u当たり成分量でチッソ30g、リン酸35g、カリ30g、堆肥(たいひ)2kgが目安。全面散布し、よく耕しておきます。土壌の乾燥を防ぐために2条の穴あきマルチを使用します。畝幅は180cm、株間は60〜80cm。
- 夜温が高いため、活着後はつるの伸びが速くなり、根が十分に張る前に雌花が開花してきます。定植後2週間くらいまでに下から8節までの側枝と雌花をとり除き、株をしっかり作ってから果実をならせます。
- 孫枝の発生が旺盛になってきたら、側枝は1節で摘みとるようにし、過繁茂を防ぎます。
- 追肥は、側枝が順調に発生しているようなら果実を1本収穫した後に、1週間に1回のペースで1株当たり速効性の肥料を軽く一握り施します。水やりの際に薄めの液肥を与えてもかまいません。
- 収穫が始まったら、とり遅れに注意すること。キュウリが大きくなりすぎると着果負担も大きくなり株がバテてしまうので、少し小さめで収穫し、その分長く収穫を続けるようにするのがおすすめです。
スイートコーンは夜の間に糖分を蓄えるので、朝どりですぐにゆでて食べるのが一番おいしいといわれます。それが実践できるのが家庭菜園の大きな魅力。市販しているものより断然おいしいコーンが味わえます。
春から初夏にタネまきすると収穫は夏の間に終わりますが、もう少しとれたてのおいしさを楽しみたいなら、夏の間にもう一度タネまきしてみてはいかがでしょう。中間地、暖地では7月下旬〜8月中旬にタネまきすると、10月に収穫できる作型があります。夜温が下がり昼との温度差が大きくなる秋は、糖度が高くて比較的味が長もちする穂が収穫できるという、遅まき栽培ならではの利点もあります。ただし、タネまき時期は真夏で温度が高いため、初期の生育が進みやすくなります。そのため、早生品種を選んでしまうと株がしっかりできないうちに花芽が分化したり、雄花と雌花の開花のタイミングがずれて、実がぎっしりとつかなくなることもあります。遅まき栽培では熟期が86日以上の中生で、草勢が強い品種を選ぶようにしてください。
また、収穫時期はちょうど台風シーズンと重なるので、受粉完了後に雄穂のトッピング(除去)をして、株の負担をできるだけ減らすとよいでしょう。
- 畑の準備をします。元肥は1u当たり成分量でチッソ、リン酸、カリ各15〜20gを全面散布してよく耕します。
2条の穴あきマルチを使用します。畝幅は150cm、株間は30cm。 - 1穴に3〜5粒をまき、3cm程度覆土します。本葉が3〜4枚開いたら間引いて1本立ちにします。軟弱徒長しやすい時期なので、倒伏を防ぐために間引き後は土寄せし、株元を軽く押さえておくとよいでしょう。
- 温度が高いこの時期は初期から旺盛に生育するので、乾燥に注意してこまめに水やりを行うようにします。特に開花期以降は十分な水やりを心がけてください。水分不足は先端不捻や穂の肥大不足、糖度不足につながります。
- 本葉が6〜8枚に展開したら、1回目の追肥を行います。チッソ成分量で1u当たり速効性肥料5gが目安。2回目の追肥は雄穂の出穂時期に行います。
- 分けつは除去せず放任栽培でかまいません。
- 絹糸抽出日から25〜30日が収穫適期の目安です。試しむきをしてみて、先端の粒まで肥大し、粒色がしっかりした黄色になっていれば収穫適期です。
中南米が原産地のインゲンは、栽培可能な気温帯が比較的広い野菜です。ただし、30℃以上の高温になると落花が多くなり、着莢(ちゃっきょう)が制限されてしまいます。そのため、開花、着莢が真夏にかからないようにタネまき時期を選ぶのですが、露地栽培の場合、中間地、暖地では8月にタネをまくのがちょうどよく、今からでも十分栽培できるというわけです。インゲンにはつるありタイプとつるなしタイプがありますが、タネまきから収穫までの期間はつるなしタイプの方が短く、遅まき栽培にはつるなしタイプが適しています。8月にタネまきすれば9月下旬〜10月上旬には収穫できるので、その後に秋冬野菜の栽培も可能となり、畑を有効に利用できます。
さっとゆでてごま和えなどで食べるのもおいしいのですが、おすすめは天ぷら。ゆでずにそのまま天ぷらにすると、鮮度のよいインゲンならではのしゃきしゃきした歯応えが楽しめます。収穫時期はまだ暑さも残るので、揚げたてのインゲンの天ぷらと冷たいそばの組みあわせは最高のごちそうです!
なお、インゲンは耐湿性が弱いので、排水のよい土壌を選ぶように気をつけましょう。また、連作障害を起こさないよう、マメ科の植物を3〜4年以上栽培していない場所を選んでください。
- 畑の準備をします。土壌をpH6前後に調整し、元肥は1u当たりチッソ成分量で15gほど。2条の穴あきマルチを使用します。畝幅は150cm、株間は30cm。
- インゲンの発芽温度は23〜25℃。夏場のタネまきでは発芽率が低下しやすいため、1つの穴に3〜4粒ずつタネをまき、本葉が2〜3枚開いたら間引いて2本立ちにします。
- 水の与えすぎは根傷みの原因となるので、水分過多にならないよう注意して水やりします。ただし、開花着莢時期は、水分が不足すると莢の曲がりの原因になるため、やや多めの水やりで適湿をキープすることがポイント。
- 収穫は1週間に2回を目安に、数回に分けて行います。収穫時にくず莢をとり除いて株に余分な負担をかけないようにすると、樹勢が落ちずに長期間収穫できます。
ふっくら大きく育ったエダマメは夏ならではのごちそう。ビールのおつまみは定番として、栄養豊富なので子どものおやつにも最適です。露地栽培では初夏にタネまきし、7月後半〜9月上旬に収穫するのが一般的ですが、晩生種を選べば、7〜8月にタネまき、10〜11月に収穫という作型もできます。市場からエダマメが消える秋遅くに、もう一度とれたての新鮮なおいしさを味わえる遅まき栽培、ぜひ試してみてください。
晩生種は草丈が高くなりがちなので、本葉5〜6枚のタイミングで摘芯し、草丈を抑えると倒伏しにくくなり、側枝発生が促されて収穫量を増やすことができます。
- 畑の準備をします。タネまきの2週間前に1u当たり堆肥2kg、苦土石灰100gを全面散布してよく耕し、タネまきの1週間前に元肥として1u当たり成分量でチッソ6〜7g、リン酸15g、カリ10gを混ぜ込みます。2条の穴あきマルチを使用します。畝幅は120cm、株間は約20cm。
- 1穴に3粒ずつタネをまき、2cm程度覆土します。本葉が出始めたら1〜2本に間引きます。倒伏防止のため株元に土寄せして軽く押さえておくとよいでしょう。
- エダマメは乾燥を嫌うので、適度な水やりが重要。特に開花前の水やりは、分枝や節数を増加させるのに効果があります。
- 開花が終わり、莢が肥大し始める時期に追肥を行います。1u当たりチッソ成分量で1〜2g程度の速効性肥料を与えます。
- 莢を指でつまんでみて、実がしっかり膨らんでいるのを確認してから収穫します。収穫適期は集中するので、とり逃さないように気をつけてください。