「ニンジンやトマトみたいに赤い野菜は栄養があるんだから残さないで食べなさい」「緑の濃いホウレンソウやピーマンは好き嫌いしないで食べなくちゃダメ」。そんな台詞をお母さんや学校の先生から言われた記憶、ありませんか。緑黄色野菜は体によいというのは誰もが認識していることですが、実際にきちんと定義付けがされているのはご存じでしょうか。
緑黄色野菜とは「可食部100g当たりカロテンを600μg(マイクログラム)以上含む野菜」のことをいい、食品成分表には86種が指定されています。ですが、これはあくまでも過去の常識。栄養学が発達した現在では、カロテンだけでなく、ほかにも体によい作用を与える成分が野菜に含まれていることがわかっています。その成分を「機能性成分」と呼び、機能性成分を多く含んでいる品種を「機能性野菜」と呼びます。2015年4月の食品表示法改正で機能性野菜の表示が可能になったことから、流通業界でも俄然注目されるようになったというわけです。
タキイが野菜のもつ機能性成分に着目し、研究プロジェクトを立ち上げたのは約20年前。機能性野菜という言葉が周知される以前のことで、言わば機能性野菜のパイオニアともいえる存在です。「ファイトリッチ」シリーズと名付けたタキイの機能性野菜は、現在、春まき野菜品種で12種類まで増えています。体によい機能性成分を豊富に含むだけでなくよりおいしく、作りやすくというのもタキイがこだわった開発のポイントです。
自分で育てた野菜を食べることで、新鮮なおいしさを味わい、同時に健康維持もしていきたいと考えている方に、ぜひおすすめの12種類で、しかもこれからタネまきして栽培できるものばかりなので、今年の菜園計画に取り入れてみてはいかがでしょう。今回は体にどのような作用をもたらすかを柱に品種紹介しますので、ご自身の健康により必要と思われる機能性成分から野菜選びをしてみてください。
リコピンはトマトや金時ニンジンなど主に赤い野菜に含まれる成分で、体内で発生した過剰な活性酸素を消去する抗酸化作用があることで知られています。活性酸素が過剰になることでガン細胞の発生や動脈硬化を促すといわれているので、抗酸化作用のある食品をとることは現代病の予防として注目されています。さらに肌の状態を維持する作用もあるので、肌のアンチエイジングにもぜひ欲しい成分です。
中玉トマト「フルティカ®」 | ミニトマト「千果®」 | ミニトマト「CF千果」 |
甘みと酸味のバランスが抜群で、家庭菜園でも育てやすい品種。リコピンの含有量は従来の赤大玉トマトの2倍以上。 | 糖度が高く、肉質が緻密なミニトマトの代表品種。リコピンの含有量は従来の赤大玉トマトの2倍近く。 | 「千果」タイプで、葉かび病、斑点病への耐性がアップ。リコピン含有量は「千果®」と同じ。 |
リコピンは脂溶性なので、油と一緒に食べるとより吸収がよくなります。
ドレッシングをかけるのはもちろん、炒めたり、煮てトマトソースにするのもおすすめです。
リコピンには赤いトマトに多く含まれるトランス型のほか、シス型があります。シスリコピンはトランス型のリコピンと同様の作用が期待できますが、注目すべきはその吸収力。トランス型のリコピンより約2.5倍も体に吸収されやすいという研究報告もされています。
大玉トマト 「桃太郎ゴールド」 |
調理用トマト 「クックゴールド」 |
ハクサイ「オレンジクイン」 |
草勢がおとなしく、着果に優れる鮮やかな橙黄色の品種。赤大玉トマトに含まれないシスリコピンを含みます。 | 生はもちろん加熱調理してもおいしい橙黄色の卵型トマト。シスリコピンを豊富に含みます。 | 結球内部が鮮やかなオレンジ色の中早生種で、従来のハクサイには含まれないシスリコピンのほかカロテンも含んでいます。 |
体内に発生した活性酸素を除く抗酸化作用のほか、目の健康を維持する作用があることが研究報告されています。加齢により視力を害する目の病気にかかりやすくなるので、視力キープのためにも目の健康に気を使いたいものです。
ホウレンソウ「弁天丸®」 | |
ルテインを豊富に含み、寒さにあたるとより甘みが強くなります。べと病にも強い作りやすい品種。 | |
ニンジンやカボチャ、ブロッコリーに含まれる成分で、体内でビタミンAに変換されます。人体の粘膜や皮膚、免疫機能を正常に保ったり、視力を維持するために必要不可欠な成分です。また、抗酸化作用もあるので、成人病予防のためにもぜひ摂取したい成分です。
ミニトマト「オレンジ千果」 | こどもピーマン「ピー太郎」 |
甘くておいしく葉かび病、斑点病への耐病性もあります。従来のミニトマトの約3倍のカロテンを含みます。 | 肉厚でジューシー、苦みが少なく子どもでも食べやすいスマートな形のピーマン。カロテンの含有量は従来のピーマンの約2倍。 |
ナス、ブドウやブルーベリーなど紫の色素を含む野菜や果実に多く含まれるポリフェノールの一種で、抗酸化性をもち、眼精疲労の回復への効果が期待できます。また、肝機能を維持する作用も期待できます。
赤ミズナ「紅法師」 | カラシナ「コーラルリーフ フェザー」 「コーラルリーフプルーム」 |
軸が鮮やかな赤紫のミズナで、サラダの彩りにおすすめ。従来のミズナの10倍以上のアントシアニンを含みます。 | 艶のある赤紫の葉が美しいカラシナで、従来のミズナの10倍以上のアントシアニンを含みます。フェザーは極細切葉、プルームは幅広切葉。アントシアニンの含有量はフェザーの方がやや高めです。 |