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夏の菜園を日差し&高温から守る工夫

夏の菜園を日差し&高温から守る工夫

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1 高温から作物を守る工夫

秋冬野菜のタネまき適期は、日中35℃を超えることもある夏の時期。ここ数年、猛暑によって発芽や育苗で失敗したり、発芽した株が暑さで焼けてしまうといったことが見られます。猛暑の中でも発芽や育苗などを失敗しないためには、遮光資材などを上手に活用することが大切です。そこで、夏の高温を乗り切る資材の使い方を紹介します。

2 資材の利用効果

夏のタネまきで起こる発芽不良の主な原因は、発芽適温を超える高温と土壌水分不足、強雨で土の表面が固まってしまうことなどです。上手に発芽させるためには、(表1)のような発芽適温に近づけるための遮光ネットや寒冷紗の利用、土壌水分を適度に保つための遮光資材のベタがけが効果的です。
高温期にはハイマダラノメイガなど害虫による被害が多発します(写真1)。防虫ネットを使えば、これらの害虫の侵入を防ぐことができ、無農薬栽培も可能になります。

3 タネまき・育苗・栽培の工夫 (写真2〜9)

ニンジン

ニンジンは、タネまき後、もみ殻や切りわらをまいたり、遮光資材のベタがけやトンネル被覆をすれば、地温の低下、土壌水分保持が図られ、発芽しやすくなります。タネをまいてから、たっぷり潅水し、遮光資材などを被覆します。発芽するまで、土壌が乾くようなら2〜3日おきに水をやります。遮光資材は、本葉が出始めるころに除去します。除去時刻は、日射が和らぐ夕方に行います。

ダイコン

ダイコンは、ハイマダラノメイガやキスジノミハムシ、アブラムシの被害を受けやすく、これらの虫害防止に防虫ネットのトンネル被覆が効果的です。株間は25〜30cm、嫌光性種子のため深めの1.5〜2cmのまき穴をつくり、タネは1カ所3〜5粒で少し離してまき、覆土をして手のひらで押さえます。タネをまき終えたら目合い0.8mm以下の防虫ネットをトンネル被覆します。

キャベツ

キャベツのタネまきは害虫が多発する8月上中旬。アオムシなどの害虫の被害防止と、気温・地温低下を兼ね、育苗中は目合い1mm以下の防虫ネットでトンネル被覆します。地床育苗もできますが、少数で足りる家庭菜園ではポット育苗かセル育苗がおすすめです。セル育苗の場合、後述のセル育苗のポイントに留意してください。

レタス

発芽適温は15〜20℃で、25℃以上になると休眠に入って発芽しにくくなり、30℃以上では著しい発芽不良になるため、発芽するまで遮光して地温を下げることが必要です。タネまきでは、深さ3〜5mmほどのまき穴をあけ、セル育苗では1セル2〜3粒まきます。覆土はタネが見え隠れする程度に極薄くするか、もみ殻やパーライトなどを軽くかけます。タネまき後、遮光資材でトンネル被覆するか、直射日光が当たらない北側の軒下(写真10)などの涼しい場所に置き、2日ほどして芽が出始めたら日光の当たる所に移動して育苗します。

セル育苗のポイント

キャベツやレタスをセルトレイで育苗する場合、株あたりの培養土の量が少ないので、水管理に注意を払います。特に、タネまき後の水やりでは、トレイの底から水が染み出るくらいまで十分潅水します(写真11)。また、根が土中に伸びたり、隣の株と絡まないように、垂木やコンテナなどの上に置いて管理します(写真12)。発芽後、午前中に1回、晴天で気温が上がる日には午後にも潅水をします。

日差し・高温から守る資材のいろいろ

遮光ネットのトンネル被覆で日よけをする

レタスは25℃、キャベツは30℃以上の高温になると発芽しにくくなります。発芽適温に近づけるために、遮光ネットで被覆すると地温が低下して発芽が安定します(写真13)

遮光資材をベタがけ被覆する

遮光資材をベタがけすると、地温の低下と土壌水分が保持されます(写真14)。強雨があっても雨が直接土壌に当たらないため、土がカチカチになるのを防止する効果もあります。直まきするニンジンでは、切りわら(写真15)やもみ殻(写真16)をまいてもよいでしょう。

防虫ネットや寒冷紗で害虫をシャットアウト

キャベツやハクサイなどアブラナ科の野菜では、ハイマダラノメイガやアオムシなどチョウ目害虫が育苗中の苗を食害して大被害を与えます。防虫ネットを被覆しておくと、農薬に頼らなくても虫害を防止できます(写真17)

マルチでモザイク病を防止する

ダイコンではアブラムシによって媒介されるモザイク病を防止するため、シルバーポリマルチをすることが役立ちます(写真18)。アブラムシは反射光を嫌う性質があります。そのため、地温が高い9月初旬ごろまではシルバーポリ、その後は黒色のフィルムに銀色の線が印刷されたマルチを使うとよいでしょう。

4 防虫ネットなどのトンネルがけのポイント

トンネルの支柱は、70〜80cm間隔で、深さ30cmほど土に差し込みます。遮光を主な目的として被覆する場合は、ネットのすそを埋めなくてもかまいませんが、防虫を目的とする場合、すそから害虫が入らないように、すそをしっかり埋めたり、ピンで留めておくことが必要です。ネットの目合いは0.3〜2mmでいろいろな種類があります。対象とする害虫によって適するネットの目の大きさが異なるので、表2を参考に適切なものを選択してください。
また、アブラムシが嫌う銀色の糸を埋め込んだものやアザミウマが嫌う赤色に着色したものもあります。葉物野菜やコカブは収穫期近くまでネットを被覆しておくことができますが、茎葉が大きくなるダイコンでは徒長を防止するため、タネまき1カ月後には除去します。

5 遮光資材などのベタがけのポイント

ベタがけとは、通気性のある被覆資材を作物の上に直接かぶせる被覆法です。ニンジンやレタスの発芽促進に使用すると効果的です。発芽後も長く被覆しておくと徒長してしまうので、レタスでは発芽が始まったら、ニンジンでは株が暑さの下でも枯れないようになる(本葉が出始める)ころに取り除きます。遮熱効果があり、かつ光をよく透過するために発芽後の苗が徒長しにくい白色の資材も開発されています。

川城 英夫

千葉県農林総合研究センター育種研究所長などを経て、現在、JA全農主席技術主管。農学博士。野菜の栽培研究・指導をするかたわら、高校・大学の教科書や栽培の専門書の執筆を行う。主な著書に「新野菜づくりの実際」(農文協)、「いまさら聞けない野菜づくりQ&A300」(家の光協会)など多数。

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