クレマチス特集
クレマチスには四季咲き性の強い品種もあり、また、宿根草なので毎年花を咲かせてくれます。クレマチスを使ったグリーンカーテンは、1度植え込むと何度も楽しめて、1年ごとに植え替えしなくてもよいので、お得感があるのも大きな魅力です。
クレマチスと聞くと、紫色の大輪花を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、クレマチスには大輪だけでなく、ベル咲き、つぼ咲きなど花形の異なるものや、香りのあるものなど多くの品種があります。グリーンカーテンに利用する場合は、生育旺盛で、花をたくさん咲かせる品種を選ぶことがポイントです。
その実例として東名・新東名高速道路サービスエリアの喫煙コーナーに設置したクレマチスのグリーンカーテンをご紹介しましょう。2011年から私どもが設置・管理に携わっていますが、クレマチスは初夏の花という印象が強いせいか、メンテナンスを行っている時に、夏や秋にも咲いているクレマチスを見て驚かれる方が多くいらっしゃいました。また、クレマチスのグリーンカーテンを気に入ってくださり、どのような品種で、どのような管理をすればグリーンカーテンがつくれるかというご質問をいただきました。カーテンの内側が涼しくなるだけではなく、花をたくさん咲かせる美しい景色が見る人の目を楽しませてくれることもクレマチスでつくったグリーンカーテンならではの魅力でしょう。
コンテナ栽培なら、日よけをつくりたい場所に手軽に植え込みができ、品種の選び方、水の管理、病虫害のメンテナンスさえ気をつければ、サービスエリアのような場所でもきれいに咲かせることが可能です。グリーンカーテンに最適な品種もご紹介しますので、1種だけではなく、2〜3種をミックスした華やかなカーテンにも挑戦してみてください。
クレマチスは水はけのよい土を好みますが、生育期にはたくさん水を欲します。そのため、適度な水はけと水もちのバランスが必要です。赤玉土とピートモス、鹿沼土、堆肥、パーライトなどを混ぜた培養土を使うとよいですが、市販のバラ用の培養土を使用するのも手軽でおすすめです。バラもクレマチスと同様に水はけと水もちのバランスのよい土を好みます。
プランターは深めで容量の大きいタイプをおすすめします。ちなみにサービスエリアで使用しているものは、幅75cmで深さが30cmある、容量40Lほどのプランターです。宿根草なので鉢が深い方が、株が充実します。
株数は3株を目安とします。それ以上だと開花時にはボリュームいっぱいになるものの、根が伸びる際にほかの株の根を傷め、枯れてしまう恐れがあります。支柱・ネットは市販のグリーンカーテン資材を利用します。台風などの強風時に倒れてしまわないように、しっかりと固定してください。
クレマチスは過湿を嫌うので、土の表面が乾いてからたっぷりと水を与えてください。開花した株が多くなると用土がとても乾くようになります。7〜8月は特に水切れに注意が必要です。
6月の梅雨時期以降にうどんこ病が発生することがありますので、トリフミン水和剤を散布します。アブラムシなどの害虫にはオルトラン粒剤などの薬剤が適しています。
※農薬は使用基準に従い、適正にご使用ください。
ネットやフェンスにつるが届く場合は、自然にぐんぐん上へ向かって伸びていきます。支持物までつるが届かない場合は、支柱などを挿し、ネットまで促すと絡むようになります。
暖かい季節になると、とても早く生長するので、伸びていくつるをグリーンカーテンに隙間ができないように導いて誘引しましょう。
早い時期から植え込んだ場合、最初の開花のピークは、5月下旬から1カ月ほどあります。5月下旬に植え込んだ場合は、6月下旬から7月下旬が目安です。花が終わったら、こまめに花がらを摘むことが大切です。花がらから2節下をカットします。
さらに、花がら摘みとともに大切なのが、しっかりと施肥をすることです。固形の緩効性肥料を与えます。この作業が2番花、3番花を咲かせるためのポイントになります。
全体の葉のボリュームが、グリーンカーテンの上の方に固まってきてしまったら、植え込んでいる株のうち一つを地上50cmほどでカットします。剪定をすることで、葉のボリュームのバランスを調整できます。
涼しくなってグリーンカーテンを撤去したい時は、植えている株すべてを50cmほどでカットし、カーテン資材とともに取り外します。冬の間は1〜2月に有機肥料を寒肥として与えてください。一冬越すことで、環境にも慣れ、根が張り株が充実して翌年にはさらにたくさんの花を咲かせてくれます。
1983年、クレマチス生産農家に生まれ、500品種以上あるクレマチスに囲まれて育つ。大学卒業後は小売業に従事し、販売経験とコンサルティング職を経て就農。3年前から高速道路のサービスエリアでの、クレマチスのグリーンカーテン栽培管理を担当。