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カンパニュラ特集

風誘う、初夏の人気花カンパニュラの注目品種を咲かせよう!
グロメラータラクティフローラパーシフォリアホタルブクロの仲間


カンパニュラときいてすぐに思い浮かぶのは、切り花でもお馴染みの釣り鐘花ではないでしょうか。
しかしカンパニュラの仲間は世界に300種もあるといわれ、新しい品種も登場しています。
今回はその中から、花壇に利用しやすい人気品種をご紹介します。


蒸れに強い丈夫な品種なら庭で手軽に楽しめる!
カンパニュラの仲間は北半球の西アジアからヨーロッパにかけて分布し、ヨーロッパでは古くから重要な園芸植物として栽培されてきました。
ヨーロッパでは夏の冷涼さと乾燥気味な気候から多くの種が栽培されていますが、夏季に高温多湿な日本では、地域によっては栽培可能な品種を選ぶ必要があります。
しかし、夏季の蒸れに強い品種や、丈夫に改良された園芸品種を選べば、ご家庭の庭でも十分に育てることができます。カンパニュラの魅力は、何といっても冷涼感のある姿。
草丈がある品種はボーダー花壇の中段あたりに植え込むと、初夏の花壇を爽やかに彩る花として活躍します。 またコンパクトな品種なら、鉢植えにしてテラスやベランダで楽しむこともできます。 昔から切り花としても人気で、多様な楽しみ方ができるのもカンパニュラの大きな魅力といえます。


グロメラータ
ベル状の小さな花が上向きに咲く
花のつき方から「リンドウ咲きカンパニュラ」の和名もち、草丈が30〜60cmまでの園芸品種があります。
一般的には花壇のボーダーなどに植えつけますが、日本では古くから高性種を切り花にし、特に仏花などに使われてきた歴史があります。鮮やかな青紫色の品種が定番ですが、近年、これまでになかった花色やボリューム感のある新しい品種が生まれ、人気を集めています。

フレアー
フレアー
草丈25〜40pのコンパクトサイズで丈夫な性質。多くの花茎を立ち上げ、バイオレットブルーの花をたくさんつける。鉢植えにも最適。花期6〜10月。
  グロメラータブルー
グロメラータブルー
鮮やかな青紫の花が美しいグロメラータ種の代表品種。花期5〜7月。草丈40〜80p。
  カロライン
カロライン
グロメラータ種では珍しいライラックピンクの花が魅力的。花期5月下旬〜6月。草丈40〜60p。※時期により花色が変化します。
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栽培のポイント
関東以北では年間を通して日当たりのよい場所、関東以西では夏季の直射日光を避け、株元に日差しが直接あたらない環境を選ぶと健やかに育ちます。
風通しがよいことも重要で、少なくとも風の動きが感じられる場所に植えるようにしてください。
性質は丈夫な方で、細かい主根を土の表面から約20cmの深さまで伸ばすので、水はけがよく、ほどほどに水もちのよい土が適します。水はけがあまりよくない場合は、土を盛り上げて植えつけるなどひと工夫をしてください。



草丈を考えた配置でカンパニュラのミックス花壇を楽しむ
草丈を考えた配置でカンパニュラのミックス花壇を楽しむ
カンパニュラは系統により、また品種によっても草丈が異なります。
低めの品種は前に、高めの品種は後方に配置するとバランスのよいミックス花壇が楽しめます。
バラなどの花の時期に重なりのある植物を加えると、初夏の花壇が一層華やかになります。


ラクティフローラ
ピラミッド状の集合花はボリューム感たっぷり
コーカサス地方を原産とする耐寒性植物です。初夏にまっすぐ伸びた花茎の頭頂部につけるピラミッド状の集合花はボリューム感があり、欧米ではガーデンの定番といってもよいくらい利用されています。
どの色も清涼感があり、花壇を優しく彩ります。また最近では「ボーダーブルー」などの花色の濃い品種も登場して色幅が広がり、美しいグラデーションを描くことができるようになりました。

アバランチェ
アバランチェ
純白の品種で、イギリスを代表する宿根草ナーセリー、ブルームス社が日本の気候に合うものを選りすぐった「ブルームスコレクション」の一つ。草丈80〜100p。
  ロドンアンナ
ロドンアンナ
やさしいパステルピンクながら、涼しさも感じさせる魅力的な花色の品種。草丈7〜80p。
  ブルークロス
ブルークロス
「ブルームスコレクション」の一つで、さわやかなライトブルーが魅力。草丈60〜70p。
  ボーダーブルー
ボーダーブルー
鮮やかな青紫が印象的な新品種。草丈がやや低めなので、ボーダー花壇では前段から中段に植えるのがおすすめ。草丈55〜65p。

栽培のポイント
カンパニュラの中では丈夫で育てやすい性質で、他系統に比べて根がやや太く、深く伸びる性質があります。
十分に根を伸ばして張ることで気候の変化に対して耐性を高めているのだと思います。
関東以北では年間を通して日当たりのよい場所で、また関東以西では夏場の強い西日を避けられる場所を選んで植えつけるといいでしょう。植え付けの際にはやや広く深めにしておくことが大切です。



パーシフォリア
ふんわり大きなベル状の花が愛らしい
直立して伸びた茎の上部に一重または八重のふんわりしたベル状の花をやや下向きに咲かせます。
高温多湿の日本では、日当たりと風通しに注意が必要となりますが、これまでも植え付け場所を選んで、または鉢植えにするなどして広く栽培されてきました。それもこの花がもつ清楚な美しさに惹かれてのことでしょう。
なお、切り花としての栽培では2年草として扱うことも多くあり、これはやはり暑さを苦手とする性質によるものでしょう。

チェトルチャーム
チェトルチャーム
ライトブルーと白の覆輪花が涼やかで美しい。花はふんわり大きく花壇に植えても存在感がある。花期6月。草丈60〜70p。
※「BLOOMS of Bressingham」は登録商標です。
  ラ ベル
ラ ベル
従来とは異なる八重咲きのカンパニュラでボリューム感があり、鮮やかな青紫も美しい。花がらをまめに摘みとる程度で年々大株に育ち、非常に見応えのある株姿になる。花期5〜7月。草丈60〜80p。※まれに白花が咲くことがあります。
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栽培のポイント
関東以北では年間を通して日当たりのよい場所、関東以西では夏季の直射日光を避け、株元に日差しが直接当たらない場所を選ぶことが大切です。 また夏の暑さをしのげるよう、できるだけ風通しのよい環境で管理します。 もし夏越しで株が弱ってしまった場合は、10月頃までに株分けして植えつけると、再び活力のある株を育てることができます。



ホタルブクロとそのハイブリッド
暑さに強く改良されて育てやすい
日本や韓国に自生するプンクタータやタケシマナの変種、および選抜交配種の改良がアメリカやヨーロッパで盛んに行われています。 それらを総称して「ホタルブクロ」と呼んでいます。ハイブリッドの特長として、地下茎がほかの植物の領域まで広がりすぎるというホタルブクロの欠点を改良している点があり、花壇での混植もしやすくなっています。また何よりも暑さに強く改良されているので、日本でも育てやすくなり、より多くの方に栽培を楽しんでいただけるようになった事が最大の魅力だと思います。

プンクターター   タケシマナ
ワイン&ルビーズ
ワイン&ルビーズ
花長約5pとボリューム感のあるベル状の花を下向きに咲かせる。鮮やかな赤紫は非常に珍しく、やや赤みを帯びた茎はかためで切り花にも向く。花期6〜7月。草丈30〜50p。
ビューティフルトラスト
ビューティフルトラスト
細い花びらが繊細な印象のカンパニュラで、花びらは次第に外側に反り、動きのある表情に。涼しげな白は「白糸ホタルブクロ」の和名でも知られる。
  ピンクオクトパス
ピンクオクトパス
ピンクの花びらがタコの足のように細く分裂する姿からオクトパス(タコ)の名に。かわいらしさと同時に風を感じさせ、涼やかな印象を与える。

ホタルブクロのハイブリッドタイプ
ブルーファンファーレ
ブルーファンファーレ
「サラストロ」の枝変わりで、淡青紫の花色は透明感がありとても涼やかな印象。丈夫で育てやすい人気品種。花期5〜7月。草丈50〜60p。
  バイキング
バイキング
プンクタータから育成された品種で、淡紫のベル状の花を横向きに咲かせる姿が個性的。生長すると多くの花茎を立ち上げボリュームある株姿になる。花期5〜7月。草丈40〜50p。
  サラストロ
サラストロ
「青花ホタルブクロ」の和名でも知られる、鮮やかな青紫が印象的な品種。大株になると初夏の花壇の主役にふさわしい見応えがある。花期は初夏。草丈60〜70p。
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栽培のポイント
ほかのカンパニュラと同様、関東以北では年間を通して日当たりの良い場所、関東以西では夏季の直射日光を避け、株元に日差しが直接あたらない場所を選んで植えつけます。
暑さに強く改良さているとはいえ、できるだけ風通しのよい環境で栽培することがポイントです。



カンパニュラを上手に育てよう!

ポイント
植え付け方

栽培に適する環境は?

栽培にあたり、最も問題になるのが夏場の高温多湿です。
基本的には日当たりのよい場所を好みますが、夏場の気温が高い地域では、半日陰を選択することも必要です。
葉を茂らせて夏は涼しい木陰を作る落葉樹のそばや、西側に高性の植物を植える事で西日の直射を防ぐのもおすすめです。またできるだけ風通しがよい場所を選ぶことも大切で、花壇の縁にレンガなどを並べて中の土面を高くすると風通しのよさを高める事ができます。風があまり強くあたる場所では、支柱を立てて保護してください。


用土

排水性、保水性ともに高い用土が適しています。市販の培養土に中粒程度の赤玉土や軽石を20〜30パーセント、腐葉土を20パーセントくらい加えてよく混ぜ合わせた用土を使うのがおすすめです。特に粒子の細かい培土の場合、水はけをよくするために、中粒程度の赤玉土や軽石を混ぜ込むのは必須と考えてください。
水はけのよくない場所では、土を盛り上げて高くしてから植え込むとよいでしょう。
鉢植えの場合は市販の培養土6、中粒の赤玉または軽石2、腐葉土2くらいの割合にするよよいでしょう。


植え付け方法

植え付けの敵期は10〜11月、もしくは3〜4月。
いずれも根が活発に活動する時期にあたるので、植え付け後の活着もスムーズに行われます。あまり密植すると風通しが悪くなりますので、株間は40〜50cmくらいあけて植え込みます。ポリ鉢から苗を抜き、軽くほぐしてから植え込みます。
根鉢の上面が隠れる程度に土をかぶせてください。


水やり

生育期間は土面が乾いたらたっぷり与えるのが基本です。 休眠中の晩秋から春先は、土の表面が乾いたら用土が湿る程度の水やりにします。
 

施肥

元肥を控え、緩効性肥料を地表に施します。
春に芽が動き出したら市販の緩効性肥料を置き肥で与え、その後は基本的に花後に同じ肥料を与える程度でかまいません。


花後の管理

しおれてきた花がらはこまめに手で摘み取ります。
秋になったら株を地際から5〜10cmのところで刈り込みます。
カンパニュラは耐寒性の宿根草なので、冬季も土が凍ることがなければ屋外の管理で大丈夫です。
「翌年の初夏になっても花が咲かない」という質問がよくありますが、年内から春先にかけてしっかり低温にあわせる必要があります。十分低温に当てて肥培することにより、翌年にちゃんと開花するようになります。


注意したい病害虫

風通しがよく、水はけのよい環境で育てると特に重要な病虫害を受けずによく育ちます。風通しや水はけがよくないところでは、うどんこ病、赤さび病が発生したり、地下部に白絹病などが発生することがあります。またアブラムシやアオムシ、ハダニの被害を受けやすくなるので注意が必要です。



細貝 要平 細貝 要平

新潟県の園芸会社で取締役園芸部長を務める。ボケの品種改良のほか、現在は宿根草の品種改良を手掛け、そのいくつかは海外でも高い評価を得ている。
また、新潟産の花木の育種にも着手。常に消費者のニーズに沿った育種を心掛け、産地の活性化のために奮闘中。