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ジャガイモの育て方や生育期の管理について解説

ジャガイモの育て方や生育期の管理について解説
ジャガイモの栽培ポイント   ジャガイモのおすすめ商品

生育の特性と畑選び

  ジャガイモは、トマト、ナス、ピーマンなどと同じナス科の野菜なので、連作を嫌います。そこで栽培3〜4年の輪作となるように作付け計画を立てます。栽培する土質はあまり選びませんが、ミネラル分の多い赤土で、適度に乾く土壌でおいしいイモがとれます。また、日当たりと水はけのよい畑が適地です。
  生育適温は15〜20℃でやや冷涼な気候を好みます。5〜6℃で発芽が始まり、イモの肥大は昼夜の温度差が大きい方がよく、昼間20℃、夜間12℃くらいで肥大は最も進み、20℃以上になると今度は肥大が劣ります。発芽時は晩霜の被害を受けやすいので、地域の晩霜時期を考慮して植え付け時期を決めましょう。
  秋野菜の収穫が終わった畑では、年内に土づくりのため10当たり完熟堆肥10〜20kgを全面に散布し、深く耕して冬季間土壌を風化させておくとよいでしょう。堆肥は前作での施用に重点をおき、本作のための積極的な施用は不要です。また直前の未熟堆肥の施用はイモの腐敗や品質低下となりやすいので注意します。

タネイモの準備

品種の選定

  従来から一般的な“男爵”や“メークイン”などのほかに、さまざまな特徴のある品種が流通しています。味や肉質など、お好みで選択するのもよいでしょう。

  おいしいジャガイモのおすすめ品種はこち

タネイモの入手

  ウイルス病や乾腐病はタネイモで伝染するので、通信販売などで無病の検定品を入手します。タネイモの表面には各所の凹みに芽の基があり、各芽は休眠が終わると頂芽から順次発芽が始まります。各品種の植え付けは、頂芽に次ぐ2〜3番目の芽が出始めるころが適期です。大きさは1個80gほどがよいサイズです。

タネイモの切断

  タネイモの植え付けサイズは1つ40g程度でよいので、入手したタネイモが100g未満では2つ切り、それ以上では3〜4つに切断します。その際、各タネイモの発芽とその後の生育ができるだけ揃うよう、頂芽に次ぐよい芽がどの切片にも均等になるよう注意しながら縦切りし、切り口が乾くよう植え付け予定の1週間前には準備しておきましょう。

タネイモの切り方 じゃがいもシリカ

植え付け時期と畑の準備

植え付け時期

  発芽やその後の降霜も考慮して、暖地で2月下旬、一般地で3月上中旬、寒地では4月中下旬が目安です。

元肥と畝づくり

  植え付けの20日前には、1当たり苦土石灰80gを全面に施して耕起しておきます。なお、土壌がアルカリ性に傾いている場合は、そうか病や粉状そうか病が発生しやすいので、石灰質肥料は施用しないか少量にとどめます。植え付け7〜10日前に、元肥として1当たり緩効性化成肥料100g、または有機質化成肥料140gを畝幅全面に施用し土壌と混和します。

元肥と畝づくり ジャガイモ専用肥料

植え付け

タネイモの植え方

  畝幅75cmに1条植えとし、畝中央に幅20〜30cm、深さ7〜8cmの植え溝を切ります。植え溝の中央にタネイモの切り口を下にして株間30cm間隔に並べ、軽く押さえた後、両肩の土を用いてタネイモの上5〜6cmの厚さに覆土します。覆土は、発芽を揃えるためにも、細土を均一にていねいにかけましょう。晩霜対策として、覆土の上に稲わらを土が見えない程度の厚さに敷いておくと効果的です。

 
植え溝づくり
タネイモの植え付け

生育期の管理

芽かき

  1個のタネイモからは通常複数の芽が出ます。芽数が多いとイモの数は多くなりますが、イモの肥大が悪く大きさも不揃いとなるため、強い芽1〜2本を残し、ほかはかき取ります。芽かきは地上に出芽後できるだけ早く行うことが望ましいです。その際、タネイモが動かないよう株元を片手で押さえながらかき取ります。

  発芽後の芽かき作業

追肥と土寄せ

  ジャガイモは地下茎の側枝が伸び、その先端が肥大して新イモとなるので適期の土寄せ作業が重要です。芽かきが終わり、草丈が10cm程度のころ、追肥と1回目の土寄せを行います。追肥は畝の両肩に1当たりNK高度化成肥料20g、または有機化成肥料40gを施用し、株元に土寄せします。第2回の土寄せは草丈が30cm程度のころ、株元に大きく土寄せし、カマボコ型の畝を完成させ、畝間の排水対策も行います。

追肥 ジャガイモ専用肥料
新イモの肥大

収穫

 収穫は茎葉の黄変期に掘り取ります。晴天が続き土がよく乾いている時に、イモを傷つけないように土を落として収穫。収穫後は直射日光が当たらない風通しのよいところで風乾させましょう。

主な病害虫対策
園芸研究科 水 音治郎

園芸研究科 水 音治郎
1940年、滋賀県生まれ。京都府職員となり、京都府丹後農業研究所、京都府農業総合研究所、京都府農業資源研究センターに勤務。この間、一貫して野菜の試験研究に従事。試験研究を通じ、京野菜の生産振興にも力を注ぐ。