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憧れのバラ咲く庭を作りたい!

憧れのバラ咲く庭を作りたい!
天野さんが植栽の管理を担当する「ガーデンミュージアム 花遊庭」(愛知県豊田市)では、初夏になるとローズガーデンをメインに、庭のあちこちに美しいバラが咲く景色が展開されます。今回は、憧れのバラ庭をつくるための初歩的なポイントや、新しく植え付けたお気に入りの品種について、ご紹介いただきます。
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バラは花姿だけで選ばない!庭全体に調和させるには、枝姿から選ぶことが大切

 ひときわ華やかな花姿が真っ先に思い浮かぶバラは、落葉樹で一度育て始めると草花以上に長くつきあう植物です。11月か らは多くの品種のバラ苗が入手できますが、どの苗も枝だけの状態では同じように見えるので、花姿で選びがちです。ですが、植え付け後は品種によって姿は大きく変わります。さまざまな植物を楽しむガーデンでは、バラも景色の一つとして、庭全体に調和するよう枝姿から選んでいくことが大切です。
バラの樹形は、大きく三つに分けられます。一つ目は、直立する「木立性(ブッシュ)」、ニつ目はつるのように伸びる「つる性」で、これには株元から枝が立ち上がって先端が垂れるクライミングと、地面を這うように伸びるランブラーの2タイプがあります。三つ目は、木立性とつる性の中間の性質をもつ「半つる性(シュラブ)」です。まずは植えたい場所にあった樹形を選び、どのくらい大きくなるか、樹高やつるの伸びも確認しておきましょう。
さらに花の咲き方にも違いがあります。春から秋にかけて繰り返し咲く「四季咲き」、春に1回のみ開花する「一季咲き」、春の開花の後、別のシーズンにも再び咲く「返り咲き」です。よく目にするコーナーなど、華やかにしたい場所は四季咲き、庭の背景として見るものは一季咲きと、シーンにあわせて選ぶとよいでしょう。

大輪のカップ咲きにピンクの濃淡がロマンチックな「ピエール ドゥ ロンサール」。優しい雰囲気を生かすなら、白や同系色のピンクの濃淡、アプリコット系などの淡い色あわせがおすすめ。

建物と一体化した美しい景色が楽しめるクライミングローズ

門周りなどは人目に触れやすく、第一印象として残りやすい場所です。華やかな印象を与えるには繰り返し咲く、明るい花色のバラがおすすめです。壁面に誘引することで、庭がなくてもバラが楽しめるうえ、建物とバラが一体となった景色を楽しめます。ピンクをテーマカラーに、ゲートにあわせてつるバラを誘引。淡い色はどうしてもぼんやりしてしまうので、花の大きさの違うものや色に濃淡をつけ、さらに色みの違う差し色を加えるなど、メリハリをつけると変化のあるコーナーに。
●壁面左側の大きなピンクのバラ「ピエール ドゥ ロンサール」、壁面右側の小さなピンクのバラ「ラ レーヌ ビクトリア」、右端のアプリコット色のバラ「クレパスキュール」

スタンダード仕立ては、長く伸びた台木に接ぎ木をしたもので、立ち上がった幹にボリューム感ある花が咲く姿は庭のポイントに効果的です。下のスペースが空くので、草花との混植でも互いの生長の妨げにもならず、花も高い位置で咲くので、日照を得やすいメリットもあります。写真はフロリバンダの四季咲き中輪品種の「マチルダ」。

花壇の中での混植を楽しむなら、自立する木立性のバラが向いています。また、伸びた枝先がこんもりと枝垂れる半つる性もおすすめです。近くで楽しむなら、大輪で花形の美しいものや、香りのよいものを。常に花を楽しみたい場合は、繰り返し咲く四季咲き性を選びましょう。写真はシュラブローズの「ジェーン オースチン」。

アーチ仕立てにはつる性、または半つる性が向いていますが、通行も兼ねるのでトゲの少ない品種がおすすめです。大型のアーチには、花が垂れて咲く品種を選ぶと花を間近で楽しめます。高さ2mほどの小型のアーチなら、枝が細いものほど誘引しやすく、花つきがよく花茎が短いタイプなら、構造物にぴったりと寄り添って一面に花を咲かせてくれます。写真はクライミングローズの「カクテル」。

こんな場所に植え付けて!

ハークネスローズ

ハークネスローズとは 庭でハークネス社のバラを育て始め、今年で1〜2年になります。株の様子を見ながら植え場所を検討できるよう、現在は鉢植えで育てています。育てた感想は、丈夫で育てやすく、よく咲いてくれるということ。淡い花色と全体に丸いフォルムのものが多く、優しい印象を与えてくれます。すっきりとした花形のものもたくさんあり、見るほどに惹かれる花姿ばかり。庭にさまざまな草花があっても、バラのような大輪の花があると、どうしてもバラが主役になりがちですが、ほかの草花とも調和して庭の景色に溶け込みやすいのも魅力です。コンパクトなものは、狭いコーナーで楽しめるのもうれしいところ。シュラブタイプは、剪定でコンパクトなつるバラのように仕立てたりと、庭のシーンにあわせてさまざまな表情を引き出せます。

「ジャクリーヌ デュプレ」

■シュラブ ■花径:約7p ■香:微香 
■樹形:横張 ■高さ:1.5〜2m
白い花弁に赤みをおびた花芯が美しい半八重咲き種。早咲きで花つきよく、晩秋まで繰り返し咲く。強い剪定にも耐えるので花壇でブッシュ仕立てにしたり、枝を伸ばしてつるバラとしても楽しめる。半日陰にも向く。微香だが香りはスパイシー。

  「マーガレットメリル」

■フロリバンダ ■花径:約8cm ■香:強香 
■樹形:直立 ■高さ:約1.5m
純白の清楚な花は、満開時には花芯が見えて愛らしい印象に。甘く豊かな香り。直立性でほどよいボリューム感が出る。とても強健でトゲも少ないので扱いやすい。遅咲きのタイプなので花期をずらしたほかのバラとの組みあわせも楽しめる。

「ナターシャ リチャードソン」

■フロリバンダ ■花径:7〜8cm 
■香:強香 ■樹形:半直立 
■高さ:80〜90cm
花の中心で花びらが巻くカップ咲き。周りは淡桃色で、中央にいくほど濃桃となる濃淡が美しい。とても花つきがよく、芳純な香りが楽しめる。病気に強くて育てやすいので初めての方にもおすすめ。

  「ラマー」

■フロリバンダ ■花径:約10cm ■香:強香 
■樹形:直立 ■高さ:0.8〜1m
桃色の丸みのある花形で平咲きになる。強い香りも魅力で切り花にも最適。暖かみのあるサーモンがかったピンク。繰り返し咲き、樹形は直立でよく枝分かれして、まとまりがよくコンパクトなのでコンテナにも向く。

「サン アンド ハート」

■シュラブ ■花径:7〜8cm ■香:微香 
■樹形:半直立 ■高さ:約60cm
花弁の中心に濃い目(ブロッチ)が入る原種「ロサ ペルシカ」の改良種。クリーム〜黄色の花びらの底に赤目が入る。繰り返し咲き、丈夫でよく育つ。ペルシカハイブリッドシリーズの中でも育てやすい。繰り返し咲くので肥料切れに注意を。

  「イージータイム」

■フロリバンダ ■花径:8〜10cm ■香:微香
■樹形:半横張 ■高さ:80〜90cm
花色は咲き進むにつれてスカーレットからオレンジ、アプリコット、ラズベリーへと変化する。花つきがよい房咲きで、花びらの先端に切れ込みが入るとより華やかな印象に。黒星病に強く育てやすい。コンパクトなので鉢植えから庭植えまでさまざまなシーンに利用できる。

大苗が届いたら

天野 麻里絵さん

天野 麻里絵

東京農業大学地域環境科学部造園科学科卒業後、愛知県豊田市にある「ガーデニングミュージアム 花遊庭」の植栽・メンテナンスを担当するほか、個人邸の植栽デザインも担当。植物に対する豊富な知識と抜群のセンスのよさからメディアでも活躍。NHK「趣味の園芸」の講師としても人気。著書に父・勝美さんとの共著「決定版 自分でつくるおしゃれで小さな庭」がある。
●「ガーデニングミュージアム 花遊庭」http://www.kayutei.co.jp

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