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春まき根菜を育てよう

ダイコン カブ ニンジン 春まき根菜を育てよう

ダイコンもカブもニンジンも、夏秋にまいて秋冬に収穫しますが、春にまいて梅雨時までに収穫する春まきの栽培も可能です。夏秋まきに比べてやや上級者向きの栽培法となりますが、適切な品種を選べば成功率がアップ!ぜひトライしてください。

おすすめ品種はこちら

春まき栽培の注意点

早春から初夏にかけての気象は、気温では低温から高温へ、日長は短日から長日へ変化します。2月は「光の春」といわれるように太平洋側では光が急速に強くなりますが、気温は年間で最も低い時期で、時として降雪に見舞われます。日本海側や山間地の積雪地帯では、融雪後から農作業が本格化し、4月ごろからタネまきができるようになります。
ダイコン、カブ、ニンジンは低温性野菜でおおむね15〜20℃が生育適温ですが、生育初期はやや高温、生育後期はやや低温で根の伸長・肥大が優れます。
ダイコン、カブ、ニンジンは、寒さを感じて花芽が分化・形成され(「春化」という)、その後の長日で花茎の伸長が始まります(「トウ立ち」という)。
なお、ダイコンとカブは、タネが吸水して活動を始めるといつでも低温に感応して春化する種子低温感応型、ニンジンはある程度の大きさになると低温に感応する緑植物低温感応型です。
春まき栽培で最も注意することは、収穫までは「トウ立ち」させないことです。そのため、春まき栽培は秋まき栽培より上級者向きといえるでしょう。

春まき栽培のポイント

  1. ①品種を選ぶ
    いずれの野菜も、必ずトウ立ちしにくい(晩抽性)品種を選びましょう。これに加え、低温期にも根の伸長・肥大のよい特性があれば、万全です。
  2. ②生育初期に保温する
    タネまき期が低温のため、トンネル栽培などで保温します。
  3. ③梅雨入り前に収穫を終える
    関西〜関東では例年6月上中旬に梅雨入りしますが、降雨により病気の発症が起こりやすくなります。また、高温期に向かい、害虫の被害もあります。そこで、可能な限り早まきして、梅雨入りまでに収穫を終える工夫をしましょう。

トンネル栽培のススメ

トンネル栽培をすれば、気温を上げて、生育を促進させ、野菜を寒さから保護することができます。日中の気温を生育に適切な温度(15〜25℃)に少しでも長く保つことが可能です。それと同時に、20℃程度の高温が、春化現象を打ち消す働き(脱春化という)があります。トンネル栽培には、生育促進と脱春化により、トウ立ちを回避する効果があるのです。

※冷涼地で、トンネル被覆だけでは夜間の保温が十分でない場合、氷点下の時間が長いと凍害を受けるため、トンネル内にベタがけをするなど、さらなる保温対策が必要です。

トンネル内の気温変化

トンネル栽培は換気が大切!
3〜4月は春の気温上昇期に当たり、日中のトンネル内気温が上がりすぎ、30℃を超えてしまいます。このような高温は根菜には不適切なため、温度が上がりすぎないように換気を行います。
換気は、フィルムのすそを開閉する方法とフィルムに直径5〜10cm程度の穴をあける方法があります。このような気温と生育に応じた換気を行うのが大切です。
そして、生育後半は、根の肥大に適した最高気温25℃程度で管理し、露地の気温が平均12℃程度(ヤエザクラの開花時期)になったらトンネルを除きます。
なお、初めから穴あきフィルムを使うと、生育初期の保温効果が不足することがありますが、生育後半になってからの換気の手間が省けます。
穴をあけたニンジンのトンネル。ダイコンのトンネル換気中。

ダイコン

春まきダイコンの栽培カレンダー

成松先生おすすめの品種

つや風

「つや風」
トウ立ちが遅く、低温でもよく太る、肌のきれいな品種。根長約38cm、根径約8cmに揃いやすい。青首がきれい。

大師

「大師」
トウ立ちが非常に遅く、春まきでも安心。根長約30cmとやや短根だが、密植可能なおいしい品種。

発芽と生育

ダイコンの発芽適温は15〜30℃で、これより低温では発芽までに日数がかかります。また、タネが吸水した時点から低温感応を受けて花芽が分化する性質があり、5℃前後が最も敏感です。タネまきの準備段階から地温の確保に努めましょう。
生育適温は20℃前後で、25℃を超えると高温障害が出やすくなりますが、耐寒性は強く0℃でも枯死することはありません。

畑の準備

タネまきの2週間前までに深耕(30cm程度)を終え、ていねいに砕土して土を落ち着かせておきます。2週間前に1m2当たり苦土石灰100gをまいて畑を深く耕して、土を細かく砕きます。1週間前には、化成肥料(チッソ8:リン酸8:カリ8)150〜200gを施用します。この時、完熟堆肥1〜2kgを併用すると品質が向上します。ただし、根の下に障害物があると枝根、曲根の原因になるので粗大な堆肥は避けましょう。

畝立て

トンネル栽培やマルチ栽培では、幅70〜80cmのベッド(栽培床)をつくります。畝の高さは、排水がよく耕土の深い畑では平畝にしますが、耕土の浅い畑は高畝にします。マルチは早めに張って地温を上げておきましょう。

タネまき

ベッドに条間45cm2条、株間25〜30cm間隔にくぼみをつけ、1カ所4〜5粒まき、1cmほど覆土します。低温期には、不織布のベタがけが保温と幼苗の保護に有効です。

間引き

1回目は本葉1〜2枚までに、子葉が不整形な株や、葉が重なる株を抜いて土寄せします。2回目は本葉4〜5枚のころ、しっかりした株を1本に残します(株定め)。

病害虫の防除

低温期なので、病害虫の発生は少ないのですが、中間地や暖地では4月ごろから発生が始まります。アブラムシにはサンクリスタル乳剤などの登録農薬で駆除します。
4〜5月に収穫できるトンネル栽培では無農薬栽培も可能です。

収穫

青首ダイコンは、首の太さが8cmくらい、重さ1kgぐらいが収穫適期です。若どりして、葉も利用しましょう。なお、トウ立ちが進むと芯がかたくなりますが、花茎が高さ10cm程度ならまったく問題はありません。

ダイコンの春まき栽培のコツ

  1. ①トウ立ちの遅い品種を選ぶ
    春まきの品種は必ず「晩抽系品種」を選びましょう。また、地温がまだ低い時期なので、「低温でもよく太る」特性も大切です。
  2. ②タネまきは天候のよい時を選ぶ
    タネまきは、寒い日や曇天の続く時を避け、晴天の続く時にしましょう。また、タネまき1週間前にはトンネルやマルチで地温を上げておきます。
  3. ③トンネル栽培では適切な温度管理を
    生育初期は高めの温度管理を、後期は日中に温度が上がりすぎないように換気をします。

カブ

春まきカブの栽培カレンダー

成松先生おすすめの品種

中大カブは小カブより生育期間が長いため、トウ立ちの恐れがあるので、小カブ収穫ができる品種を選びましょう。

CRもちばな

「CRもちばな」
耐暑性がある。玉がじっくり太り、スが入りにくい。肌がきれいで、やわらかく甘い。

耐病ひかり

「耐病ひかり」
周年安定して生育する。ス入りが遅いので、小カブから大カブまで収穫幅のある品種。

発芽と生育

発芽適温は15〜20℃、生育適温は15〜25℃と冷涼な気候に適し、暑さと乾燥には弱いが、寒さには強いという特徴があります。中間地における露地では、3〜4月まきが標準です。タネまき後(タネの吸水時)から低温感応するため、トウ立ち予防に、低温期にはトンネルやベタがけ資材での保温が必要です。

畑の準備

タネまき2週間前に1m2当たり苦土石灰100gを全面にまき、深く耕しておきます。1週間前に化成肥料(チッソ8:リン酸8:カリ8)150gと堆肥1〜2kgをまいてよく混和しておきます。

畝立て

トンネル栽培やベタがけ資材を使うことを前提に、幅100〜120cm、高さ10cm程度のベッド(栽培床)をつくり、平らにならしておきます。この畝に深さ1cm程度のまき溝を15〜20cm間隔で4〜5条つくります。

タネまき

畑が乾燥している時は、水やりして土壌水分を適度な状態にします。タネは溝に1〜2cm間隔でまき、1cmほど土をかけます。その後は水やりして均一な発芽を促しましょう。幼苗の保温と保護のためには、ベタがけが有効。

間引き

双葉が揃った時点で、まきすぎて密になっている部分から間引きます。その後も、込みあってきたら生育の悪い株を間引きます。最終的な株間は10〜15cm程度。間引き後は株元へ土寄せして、株のぐらつきを防ぎます。

水やり

土の乾湿の差が大きいと根が割れやすいので、乾いている時は水やりをします。

病害虫の防除

低温期には病害虫の発生は少ないですが、中間地では5月ごろから見られますので、アブラムシにはサンクリスタル乳剤など、アオムシにはトアロー水和剤などの登録農薬で防除します。なお、ベッドに防虫用ネットをトンネル状にかけたり、不織布のベタがけをすれば、害虫の侵入を防げます。

収穫

小カブなら根の直径が5〜6cmぐらいが適期で、早く育った株から収穫します。遅くなると肥大しすぎて裂根することがあります。

カブの春まき栽培のコツ

  1. ①トウ立ちを防ぐ温度管理
    冷涼地や中間地で3月にまいた場合、まだ夜温が低いため、トウ立ちの恐れがあります。一方で、昼間のトンネル内気温は高く、軟弱に育ってしまいます。そのため、昼間は換気して生育適温を確保し、夜間はトンネルを閉めるなど保温をする管理が大切です。
  2. ②畑の乾きすぎと湿りすぎに注意
    順調な発芽と、生育後半に根の裂根、変形根を防ぐため、適度な土壌水分を確保します。
  3. ③適期の収穫を行う
    肥大が進みすぎると裂根や老化現象のス入りが起きるため、根の直径が5〜6cmを目標に収穫します。

ニンジン

春まきニンジンの栽培カレンダー

成松先生おすすめの品種

Dr.カロテン5

「Dr.カロテン5」
草勢が強く、芯まで鮮紅色になる食味のよい品種。トウ立ちしにくい。

向陽二号

「向陽二号」
どんな土壌にも適し、作りやすいイチ押し品種。トウ立ちしにくい。

発芽と生育

発芽適温は15〜25℃で、発芽には8℃以上が必要です。
地上部の生育適温は18〜21℃といわれています。緑植物低温感応型で、ある程度の大きさになり、低温にあうと花芽が形成され、その後の長日と高温でトウ立ちが始まります。

畑の準備

タネまき2週間前に1m2当たり苦土石灰100gをまき、30cm程度の深さに耕します。
1週間前に、化成肥料(チッソ8:リン酸8:カリ8)150〜200gと完熟堆肥2〜3kgを、土とよく混ぜておきます。

畝立て

幅70〜80cmのベッド(栽培床)に、条間15〜20cmのまき溝を3〜4条つくります。
マルチ栽培では条間15cm、株間12cmなどの穴あきマルチ資材の規格にあわせたベッド幅をつくります。

タネまき

露地栽培では平均気温が10℃以上(ソメイヨシノの開花期)になる時期が、タネまき適期です。畑が乾いている時は、まき溝に水やりしておきます。溝にタネを1〜2cm間隔に条まきし、厚さ1cmほど覆土します。タネまき後は、土の乾きを防ぐため不織布をかぶせておくとよいでしょう。トンネル栽培では穴あきマルチを併用し、1穴に5〜6粒まきます。

間引き

1回目は本葉2〜3枚の時に2〜3cm間隔で、2回目は5〜6枚の時に行い、最終の株間を10〜15cmにします。

土寄せ

間引きと同時に土寄せを行います。さらに、収穫期近くには、根の肩の部分にさらに土寄せして、根が緑に着色するのを防ぎます。

病害虫の防除

葉はキアゲハの大好物なので、見つけ次第、手で取り除きます。うどんこ病にはカリグリーンなどの登録農薬で防除します。

収穫

根径が4〜5cmに肥大した株から順次抜き取ります。太りすぎて裂根しないうちに収穫します。
裂根は急激に肥大する生育後半に、畑が乾燥または過湿となるなど水分条件で起きやすくなります。

ニンジンの春まき栽培のコツ

  1. ①トウ立ちの遅い品種を選ぶ
    「向陽二号」や「Dr.カロテン5」などの西洋ニンジンはトウ立ちが遅い品種で、春まき栽培に適します。
  2. ②発芽を順調に
    タネまき前に畝に十分水やりし、ベタがけ資材で保温します。トンネル栽培やマルチ栽培で気温・地温を確保するのが理想です。
  3. ③トンネル栽培では適切な温度管理を
    生育初期は高めの温度管理をし、後期は日中に温度が上がりすぎないように換気します。

おすすめ品種はこちら

成松 次郎

成松 次郎(なりまつ じろう)
神奈川県農業技術センターなどで野菜の研究と技術指導に従事後、(社)日本施設園芸協会で野菜の流通振興に携わる。現在、園芸研究家、野菜ソムリエ。