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人気の葉根菜の育て方 第2回

\実践/今からスタートできる!人気の葉根菜の育て方

第2回

  • カブ
  • ダイコン
  • ニンジン
  • ゴボウ
【教えてくれる人】麻生 健洲(あそう けんしゅう)
千葉大学園芸学部卒業後、農業高校で園芸や生物工学などを指導する。退職後は、書籍の執筆や監修などをするかたわら、家庭菜園を楽しむ。生け花や絵画、写真など多彩な趣味をもつ。著書に「だれでもできる ベランダで野菜づくり」(家の光協会)などがある。
ブログ(ポタジェ)http://potager.jp/

アブラナ科 カブ

ビタミン宝庫の葉もおいしい!

カブは日本の各地で古くから栽培されています。たくさんの地方種がありますが、スーパーなどでよく見かけるのは小カブの仲間です。小カブは生育期間が30〜50日と短いので、野菜作りの初心者でも容易に栽培ができます。カブは1年中栽培できますが、一番おいしいのは秋まきして育てて寒さに当たったものです。また、葉はビタミンなどの栄養価を豊富に含んでいるので、残さず利用しましょう。

栽培カレンダー/基本の土づくり

【1. タネまき】1〜2cm間隔でタネをまく

1週間前までに基本の土づくりを参考に土づくりを行う。畝幅60〜100cm、高さ10cmほどの畝を立て、板切れなどで10〜15cm間隔に浅いまき溝をつける。

1〜2cm間隔でタネをまく。覆土し、手のひらで軽く押さえる。

【2. 間引き】間引きながら根を太らせる

発芽が揃ったら、込みあった所を葉先が触れあう程度に間引く。本葉2〜4枚で同様に間引く。本葉5〜7枚で、最終株間が5〜10cm間隔になるように間引く。

【3. 追肥・土寄せ】最終間引き後に追肥する

1m2当たり化成肥料30〜50gを追肥し、土寄せする。

【4. 収穫】根が肥大したら引き抜く

小カブは直径5〜6cmの小さめで収穫する。収穫が遅れると、裂根しやすくなるので注意。

【Point】一斉に収穫せず、大きくなったものから順に間引きながら収穫すると長く楽しめます。

防虫ネットをかけても油断は禁物!
アブラナ科野菜に共通の、アオムシやヨトウムシなどの害虫被害を防ぐため、タネまき直後から防虫ネットをトンネルがけします。しかし、その前から土中に潜んでいたり、ネットに触れた葉に外から卵を産みつけられたりもするので、油断は禁物です。

時々トンネルの中を観察してチェックするのを忘れずに。

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アブラナ科 ダイコン

品種豊富!間引き菜も楽しめる!

カブと同様、古くから日本で栽培されており、地方ごとにたくさんの品種があるので珍しい地方品種を作ってみるのもおすすめです。また、赤や緑、黒、丸いもの、辛みの強いものなど、品種が豊富に揃うのも特徴で、短期間で収穫ができるラディッシュもダイコンの仲間です。ダイコンは、品種を選べば一年中栽培可能ですが、作りやすいのは夏から秋にかけてタネをまく作型です。

栽培カレンダー/基本の土づくり

【1. タネまき】30cm間隔にまき穴をあける

1週間前までに基本の土づくりを参考に土づくりを行う。畝幅60〜70cm、高さ10cmほどの畝を立て、ビンの底などで30cm間隔に浅いまき穴をあける。

まき穴の外周に沿って4〜5粒ずつ等間隔にタネをまき、覆土して手のひらで軽く押さえる。

【Point】アオムシやハイマダラノメイガ、キスジノミハムシなどの害虫対策には、防虫ネットのトンネルがけ、不織布のベタかけが有効です。

【2. 間引き】収穫までに計3回間引く

発芽が揃い本葉が見え始めたころ、まき穴1カ所当たり3本に間引く。本葉3〜4枚の時に2本にする。本葉5〜6枚で1本にする。

【Point】ダイコンの間引き菜は栄養があっておいしいので、みそ汁の具、サラダなどに利用しましょう。

【3. 追肥・土寄せ】追肥後の土寄せはしっかりと

最終間引き後に1m2当たり化成肥料30〜50gを追肥する。土の表面を軽く耕し、土寄せする。その20日後にも同様に追肥、土寄せをする。

【4. 収穫】品種ごとの太さで収穫する

下葉が横に張り、中心の葉が立ち上がってきたら収穫適期。地上部に根が出るタイプ(抽出型)では、品種ごとの太さ(根径)になったら収穫する。収穫が遅れるとスが入り食味が落ちるので注意。

【Point】青首ダイコンなどは厳寒期に凍結するので、抜きとって穴に入れるか、葉柄を短く切り新聞紙などに包んで保存します。

根の先端が分かれるまた根の原因は?
根の先端に化成肥料の塊があったり、未熟な堆肥を使ったりすると、また根(岐根ともいう)が発生しやすくなります。そこで、完熟堆肥を使い、化成肥料は土全体に混ざる(全層施肥)ようによく耕します。土に混ぜないでまき穴とまき穴の間に肥料をまく方法もあります。害虫などに根の先をかじられたり、古タネを使うとまた根になりやすくなります。

根の先端が分かれたまた根のダイコン。

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セリ科 ニンジン

スティックサラダで味わいたい!

ニンジンには東洋種と西洋種があります。根が長く、色が赤い金時ニンジン(京ニンジン)や沖縄の島ニンジンなどは東洋種、五寸ニンジンや三寸ニンジンなどの根が短く太い品種は、西洋種です。最近では、黄色や白、黒、紫色のもの、形が丸いものなど、いろいろな色や形の品種が出回っていますが、初めは比較的栽培しやすい短根ニンジンやミニニンジンから栽培すると、失敗が少ないのでおすすめです。

栽培カレンダー/基本の土づくり

【1. タネまき】発芽までは土を乾かさない

1週間前までに基本の土づくりを参考に土づくりを行う。畝幅60〜70cm、高さ10cmほどの畝を立て、条間20〜30cmで、板切れなどで浅くまき溝をつける。長根種は1条まきにする。

タネを1cm間隔にまき、厚さ1cmほど土をかける。

【2. 間引き】葉が触れあう程度に間引く

子葉が展開したら特に込みあった部分を間引く。本葉2〜3枚で隣の株と葉先が触れあう程度に間引く。本葉4〜5枚で、株間10〜15cmになるように間引く。株が小さい時期の間引きは葉がちぎれやすいので、ハサミを使って地上部を切りとるようにするとよい。

【Point】ニンジンは、本葉4〜5枚までは生長がかなり遅いのですが、ここで肥料不足を疑って追肥すると、チッソ過多になるので注意します。

【3. 追肥・土寄せ】追肥をして根を太らせる

本葉6〜7枚のころ(1回目)と、本葉8〜10枚のころ(2回目)の計2回、1m2当たり化成肥料30〜50gをまいて土寄せをする。

【Point】地上に根が露出すると葉緑素が発生し色が汚くなるので、根元に十分土寄せをしましょう。

【4. 収穫】首が張ってきたら収穫

株が大きくなり、ニンジンの首の辺りが張ってきたら収穫適期。土で覆われていて分かりにくい時には、何本か試しに収穫してみるとよい。

ニンジンの発芽を成功させるコツは?
ニンジンの発芽には光が必要です。そのため、タネまき後の覆土は薄くします。夏まきでは気温が高いため、発芽まで2週間程度かかります。その間、畝全体を不織布などで覆い、時々水やりして土が乾かないようにします。また、タネをまいた後、足で踏みつけたり板などでたたいたりして、タネと土とを密着させるとタネが乾きにくくなるため発芽率がよくなります。

畝を不織布で覆うと乾燥が防げる。水やりは、ハス口をつけたジョウロで不織布の上から行う。

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キク科 ゴボウ

食感がくせになるゴボウサラダ

抗酸化作用があるポリフェノールや水溶性の食物繊維を豊富に含む野菜です。根が70〜100cmほどになる長根種と30〜50cmほどの短根種(ミニゴボウ)があります。また、サラダに向くゴボウや根と葉の両方を利用できるゴボウもあります。長根種は、畑を深く耕したり、収穫したりする必要がありますが、短根種なら耕土が浅くても育てられるので、家庭菜園での栽培に向いています。

栽培カレンダー/基本の土づくり

【1. タネまき】溝をつけて点まきにする

1週間前までにを基本の土づくりを参考に土づくりを行う。畝幅60cm(長根種は60〜100cm)、高さ20cmほどの畝を立て、板切れなどでまき溝をつける。

3〜10cm間隔(長根種15〜20cm)に3〜4粒ずつタネをまき、厚さ1cmほど土をかける。タネをまき終わったら不織布をかぶせて、その上からたっぷり水をかける。

【Point】まっすぐで長いゴボウを収穫するには、あらかじめ土を深さ80〜100cmくらいしっかり耕しておくことが大切です。

【2. 間引き】3回に分けて徐々に間引く

子葉展開時には込みあった部分を中心に間引く。本葉1〜2枚で2本に間引く。本葉3〜4枚で1本に間引く。残す株の根を傷めないよう、ハサミで地際から切りとる。

【Point】冬は地上部の葉はいったん枯れますが、春になると再び伸び始めます。

【3. 追肥・土寄せ】追肥後は中耕、土寄せする

最終間引き後、1m2当たり化成肥料30〜50gをまき、クワなどで中耕・土寄せをする。

【4. 収穫】株の脇を掘ってから引き抜く

サラダ用のミニゴボウは100日程度で収穫できる。ゴボウは、ダイコンやニンジンなどと違い、引っ張っても抜けないので、短根種でもショベルなどで株の脇を深く掘ってから収穫する。

【Point】収穫が遅れてスが入っても、ダイコンと違って味や食感は変わりません。春に収穫できる「新ゴボウ」は葉も食べられます。

タネを水につければ発芽率アップ!
ゴボウのタネは皮がかたく吸水しにくいので、そのまま畑にまくと発芽率が悪くなったり、発芽までの日数が長くなったりします。そのため、タネを一晩流水で浸してからまくようにします。なお、雨後のタネまきが理想ですが、畑が乾いている時には、タネまき前日に畝へたっぷり水をかけておくとよいでしょう。

ガーゼなどにタネを包んでひもで縛り、コップに流水して一晩浸しておく。

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麻生 健洲(あそう けんしゅう)

麻生 健洲(あそう けんしゅう)
千葉大学園芸学部卒業後、農業高校で園芸や生物工学などを指導する。退職後は、書籍の執筆や監修などをするかたわら、家庭菜園を楽しむ。生け花や絵画、写真など多彩な趣味をもつ。著書に「だれでもできる ベランダで野菜づくり」(家の光協会)などがある。
ブログ(ポタジェ)http://potager.jp/