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ブルームスコレクション特集

〜憧れのイングリッシュガーデン〜 ブルームスコレクション特集

名だたる庭園も、また個人邸の庭でも、イギリスでは庭の植栽の主役は宿根草です。
2年、3年と株が生長し、十分に根を張って元気にボリュームの出た宿根草が重なり合いながら連なる景色こそ、イングリッシュガーデンならではの美しさといえるでしょう。
イギリスの春から夏は宿根草にとってとても過ごしやすい気候で、しかも日照時間が長いため、元気に育ち花の期間も長く続きます。一方、梅雨や蒸し暑い夏がある日本では、宿根草の管理が難しいと思われがちですが、風通しをよくする工夫をすれば、美しい植栽を楽しむことも可能です。今回は、イギリスでも信頼のある園芸会社「ブルームス社」が日本の環境に合う宿根草という条件でセレクトした魅力的な「ブルームスコレクション」を生かした庭づくりを紹介します。庭だけでなく、玄関前やアプローチなどでもぜひイングリッシュガーデンスタイルの植栽を楽しんでみてください。

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横から見た時の美しさこそイングリッシュガーデンの魅力

ボリュームたっぷりに育った宿根草に草丈の高いタチアオイを加えた立体的な植栽。横からの視線で植物を構成すると迫力のある花壇になる。

絵画は通常、壁に掛けて横から見るもので、真上から鑑賞するということはほとんどありません。イングリッシュガーデンの場合も同じです。庭に立った時、歩きながらの目線で構図を完成させるように植物を組み合わせるのが基本です。

草丈が高くなり、株にボリュームの出る宿根草は、横からの視線で眺めた時が一番美しく、だからこそ、イングリッシュガーデンの植栽に欠かせないのです。しっかり株を張った宿根草はただ美しいだけでなく、力強く頼もしく、その存在感は一年草ではなかなか表現できないものです。

形の違う植物たちが印象深い植栽美を生む

すっと先端の尖ったベロニカは‘線’を代表する花。隣に丸い花を植えると形の違いが明確になり、メリハリのある植栽に。写真はグラデーションが美しい‘ロイヤルキャンドル’。

今年の7月に渡英し、また多くの魅力的な庭を見てきましたが、最近のイングリッシュガーデンでは、カラースキーム(花や葉の色合わせ)より、植物のフォルム(形)の違いをより重視して構成されていることを強く感じました。インパクトのある植栽を目指すには、植物のフォルムを線、面、点というカテゴリーに分け、それらをバランスよく組み合わせることが一番のポイントです。線は例えばベロニカやラベンダーのように先端がすっと尖った花やニューサイランなどの葉物、面はヘリオプシスやコレオプシスなどの丸い花やホスタのような幅広の葉など、点はワレモコウやリクニス・コロナリアなどが挙げられます。

植えたい植物をフォルム別のカテゴリーでしっかり捉えたら、次に気をつけるのが隣同士に同じカテゴリーの植物を植えないというルールです。フォルムの異なる植物が隣り合うことで、互いのもつ美しさをより引き立て合うことができます。

もう1つ、植物がもつ質感の違いにも注目してください。ふわふわしたもの、光沢のあるもの、マットな質感…。質感の異なる植物が隣り合うことで、植栽はぐっと締まった印象になり、インパクトがさらに強まります。

できるだけ風通しのよい環境を工夫する

日本の初夏から夏の気候の中で、いかに宿根草を健やかに育てるか、一番のポイントは風通しのよい環境を工夫することです。地面に直接植え込むと、株元に風が通りにくく、蒸れやすくなりがちです。レンガなどを積んで、地面を上げる「レイズドベッド」という仕立ては株元に風が通りやすくなり、また株元の掃除もしやすくなるので、ぜひ試していただきたい方法です。

また、庭に植栽を仕立てる時、ほとんどが敷地の際近くを選びますが、隣家と接している環境では風通しも悪くなりがちです。思い切って庭の真ん中に花壇を設けるのも、風通しを確保する有効な手段だと思います。私は自宅の屋上にレイズドベッドの植栽を仕立てていますが、屋上という環境は四方から風が通り、宿根草を育てやすい環境だと実感しました。宿根草には湿気が苦手でも乾燥には強い品種が意外に多いので、屋上という乾燥しがちな環境に合った品種を選べば手間がかからず、美しい植栽が楽しめます。

水やりのしすぎは禁物。乾燥より、気をつけたいのは湿気

筆者自宅のルーフガーデン。レイズドベッドで風通しがよい。植栽は色彩をたくさん使わないよう限定しながら、形や質感の異なる植物を組み合わせるようにしている。花の咲いていない時期には、カラーリーフの色違いや形違いで変化を楽しむ。

これは宿根草に限ったことではないのですが、水やりのしすぎから株を腐らせてしまう方が非常に多くいらっしゃいます。株元に水がたまるような状況は作らないこと、これが水やりの基本です。まずは、排水性のよい土づくりをし、梅雨時も株元に水がたまらないように気をつけます。排水性が悪い場合は、小粒の軽石を土に混ぜておくのも効果的です。昨今の日本の夏は異常に暑く、地植えでも朝夕2回の水やりが必要になりますが、そんな時も必ず株元をチェックし、水がきちんとはけているかどうかを確認するよう気をつけましょう。

「ブルームスコレクション」は組み合わせて選ぶ!

好きな花の引き立て役も同時に選ぶ

私は30代半ばで植物を育てることのおもしろさにのめり込みました。当時は、この花が好き、この花を育てたいという気持ちから庭をつくっていましたが、単に好きな植物のコレクションでは美しい植栽はつくれないことを経験から学びました。

イギリスらしい宿根草が入手できる、「ブルームスコレクション」は、その1つひとつの植物も魅力的ですが、花の形、花色のバリエーションが豊富なところが何より優れています。だから、先に述べた線、面、点の植物をこのコレクションの中で組み合わせることも可能です。お気に入りの花を1つ選んだら、その花をより引き立てる花をもう1つか2つ、と組み合わせて選べば、まとまりのよい植栽が手軽に実現できます。

花色はお気に入り1色に補色をプラスが基本

花の色調は花色を絵の具に見立てて、さまざまな草花が調和するよう注意深く選んでいくことが大切です。最初はピンク色で統一、ホワイトで統一など、同系色でまとめると手軽に調和がとれるでしょう。さらに、好きな色を1色選んだら、その色みと正反対の色みをもつ補色を加えれば、互いの色彩が引き立ち合い、よりインパクトの強い植栽にすることができます。ピンク系なら黄緑が補色、黄色やオレンジ色ならブルー、紫が補色にあたります。赤の補色は緑ですから、葉物をプラスすることでより鮮やかに引き立ちます。形の組み合わせと花色の組み合わせ、「ブルームスコレクション」の中からお気に入りを見つける作業はとても楽しいものです。

こんな組み合わせがおすすめ!

イングリッシュガーデンスタイルの植栽を楽しむ

【Design1】塀際の植栽はレイズドベッドで株元まで風通しよく

隣家との境など塀の際に花壇を設置する場合は、風通しをよくするために、レンガなどで周囲を囲み、中の土面を高くするレイズドベッドにするのがおすすめです。株元に風が通り、また下葉の掃除などもしやすく、株元の蒸れを防いで清潔に保つことができます。植物の種類や花色は少なめにし、繰り返しのパターンでリズム感を出したデザインです。線、面、点と形の異なる植物を組み合わせるのがポイント。

【Design2】高さのあるレイズドベッドはスペースを区切るのにも効果的

家の前に駐車場と庭が並んでいるような場合、真ん中にレイズドベッドを仕立てると、ボリュームのある植栽がスペースを区切る役割もしてくれます。壁や塀がない分、風通しもよくなり、植物を育てやすい環境になります。すっと尖った花とシャープな葉物、丸い花、下垂する花にカテゴリー分けし、繰り返しのパターンで配置しています。

【Design3】鉢植えでコンパクトなイングリッシュガーデンスタイルに

ベランダやテラスでは、鉢植えでイングリッシュガーデン風の植栽を楽しむのもおすすめです。鉢なら風通しのよい場所への移動も手軽にでき、水やりで鉢中の湿気を調節することもできます。しっかり根を張って育つよう、鉢は大きめのサイズを用意します。ちなみにこの寄せ植えでは口径40cm、高さ40〜50cmくらいの鉢が適しています。

【Design4】庭の中央に植栽を仕立て四方から風を通す

イギリスではよく庭の中央に花壇を設けているのを見かけます。花壇全体が庭のフォーカルポイント(焦点)となるだけでなく、四方から風が通るので、株も蒸れにくくなります。これは日本でもぜひ試していただきたいデザイン。芝生の庭なら花壇の部分だけ丸、または楕円形に芝生をはがし、盛り土をして植栽を植え込むと、芝の緑を背景に植栽の色がより美しく映えます。土面の庭では花壇の周囲をレンガなどで囲むとよいでしょう。

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吉谷 桂子(よしや けいこ)

英国園芸研究家 ガーデン&プロダクトデザイナー 吉谷 桂子(よしや けいこ)
広告美術デザイナーを経て渡英。帰国後は7年間のイギリス滞在経験を生かしてガーデンデザインをするだけでなく、総合的なガーデンライフを提案。毎年5月に開催される「国際バラとガーデニングショウ」では植栽を担当し、毎回注目を集める。また、六本木の東京ミッドタウンにあるコンランレストラン「Botanica」の植栽や箱根にある「サン=テグジュペリ 星の王子さまミュージアム」のガーデン設計も担当。「吉谷桂子の小さな庭のためのガーデニング術」「花に囲まれて暮らす家 イギリスに住んで考えた家づくり」など著書多数。