藤田智 直伝! プランター菜園 基本のキホン!その1 大玉トマト 恵泉女学園大学 園芸文化研究所准教授 藤田智(ふじたさとし)
【1.コンテナなどの準備】
トマトは生長すると草丈が2m以上になり、また栽培も長期にわたるので、コンテナは25L以上の大型のものを使用します(第1図)。
【2.タネまきと植え付け】
プランター菜園(家庭菜園)の場合、苗を購入して育てるのが一般的です。というのは、タネまきから植え付け適期の苗を育てるのに60〜70日間かかり、植え付け適期の4月下旬〜5月上旬から逆算すると、2月中下旬の低温期にタネまきしなければならず、保温など管理が大変だからです。もし、自分でタネから栽培してみたい場合は、育苗して取り組む必要があります(方法はコラム参照)。
植え付けは、遅霜の心配がなくなる4月下旬〜5月上旬ごろに行います。トマトの植え付け適期苗は、第1花房の1〜2花が開花するくらいの大きさですが、市販苗は一般に小さめの9cmポットが使われているので、購入してから12cmポットに移し、1番花が咲き始めるまで養生した方が生育がよくなります(植え付けの手順は、第2図・第3図・第4図参照)。
【3.整枝(仕立て方)・誘引】
苗が活着し、葉や茎が勢いよく生長してくると、葉の付け根から盛んにわき芽が出てきます。「おっ、調子いいなあ!」ではありません。トマトは、一般にわき芽をすべて摘みとり、主枝1本にのみ着果させる、1本仕立てで育てます(第5図・第6図)。
コラム タネから育てる場合
タネまきは、植え付け時期の2カ月ほど前を目標に行います。家庭菜園では4月にまいて育苗し、6月に植え付けるのが無難です。
ポットで2カ月間育苗するので、週に1回、水やりを兼ねて500倍の液肥を施し、肥切れに注意します。
【4.ホルモン処理】
第1花房の着果は、つるぼけ防止のために必ず成功させなければなりません。一般に第1花房の開花期は低温なので、トマトトーン100倍液を散布し、着果を促します(第7図)。
【5.追肥】
コンテナ栽培では畑と異なり、水やりと同時に土の肥料分が外に流れ出てしまいます。そこで、定期的な追肥が成功のポイントとなります(第8図)。
【6.病害虫の防除】
疫病が発生すると収穫皆無という事態も起こり得ますので、Zボルドーやビスダイセン水和剤を散布し、予防を心掛けます。うどんこ病にはカリグリーンを散布します。モザイク病対策としてアブラムシの防除が大事です。アブラムシにはオレート液剤、ベストガード水溶剤などを散布するか、植え穴にオルトラン粒剤またはベストガード粒剤を施用しておきます。テントウムシダマシは見つけたら捕殺し、オオタバコガにはアファーム乳剤、スピノエース顆粒水和剤などを散布します。
【7.収穫】
開花後50〜55日で着色してきます。コンテナ菜園では、真っ赤に熟してから収穫しましょう。しかも朝ならなおおいしい。朝日にきらりと輝く、真っ赤なトマトを収穫する時の心地よい重みと、かじった時の新鮮な甘みが、心にジーンと響くことでしょう(第9図)。