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イチゴ栽培Q&A

イチゴ栽培Q&A
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届いた苗の植え付け方を教えてください。

A1

苗が届いたらすぐに、箱から出して日当たりのよい所に置き、潅水(=水やり)します。なるべく早く(できれば翌日)植木鉢やプランター、庭の畑に定植してください。
さて、「イチゴ苗は斜めに傾けて定植した方がよいのか?」とよく聞かれます。この方法は、イチゴ農家が苗を1畝に2列で定植する場合に利用します。イチゴを通路側に傾けて定植すると、自然と通路側に花房が伸び、収穫しやすくなるからです。一方、露地栽培のイチゴは、多数のわき芽から多数の花房が四方八方に広がって現れます。したがって、家庭菜園や鉢栽培では、傾けて定植する必要はまったくありません。
イチゴ苗の定植は、クラウン(茎)の先端が土に埋もれないようにします。植木鉢やプランターを利用する場合には、中央部に定植し、その後は日当たりのよい所に置きます。
新葉が現れるまでは毎日潅水し、現れ始めれば土の表面が乾いたら潅水します。

鉢植え
露地植え

施肥のコツを教えてください。

A2

極端な指摘と思われるかもしれませんが、イチゴの露地栽培での施肥のコツは、
1.定植後の10月と11月に適切な施肥を行う。
2.春の開花収穫期には施肥しない。

のニつだけです。
多くの方は、春の開花期に十分な施肥を行うと、甘くておいしいイチゴが多く収穫できると考えているようです。しかし、これは誤りです。
この時期の施肥は栄養生長(葉やランナーの発生)を旺盛にします。栄養生長が旺盛になったイチゴ株の果実は、肥大が悪化して小さくなり、酸味の強いものになります。
また、イチゴ株は冬に十分な低温を受けて休眠打破し、翌春には、おのずと栄養生長が旺盛になります。そのようなイチゴ株に施肥すれば火に油を注ぐようなもので、栄養生長がさらに旺盛になります。
よって、春先はイチゴの栄養生長を抑えて果実の発達を促す意味で、施肥を控えた方がよいでしょう。また、発生したランナーは早めにとりましょう。

鉢植えの場合
露地植えの場合

一季なり品種と四季なり品種の違いは何ですか?

A3

イチゴには一季なり品種と四季なり品種の2種類があります。「とちおとめ」や「あまおう」など、促成栽培で利用するもののほとんどは一季なり品種です。一方、四季なり品種は、北海道や本州の高冷地で行われる夏どり栽培で利用されています。
一季なり品種は、短日条件で花芽分化する短日植物ですが、冬の低温が影響を与えるため、春の短日条件では花芽分化しません。しかし、秋の短日条件では花芽分化するので、開花結実期が春(一季)に限られます。
四季なり品種は、冬季の低温の影響をあまり受けず、また長日条件でも花芽分化が起こるので、4月下旬から花芽分化が始まります。その結果、四季なり品種は、前年の秋に分化した花芽の開花結実が6月上旬で終了しますが、その後は春に分化した花芽が発達し、5月下旬から開花を始め、真夏にも開花が継続します。
これが、四季なり品種と一季なり品種の違いです。

一季なりおよび四季なりイチゴ品種の1年間における生育の変化    ※地域によって多少ずれがあります。

花が咲きません。なぜでしょう?

A4

おそらく、苗を定植した時期が遅かったことが原因と思われます。
日本の自然条件下ではイチゴは短日となる9月後半に、まず頂芽(茎の先端の芽)が花芽分化します。次に少し遅れて、花芽直下のわき芽が発達し、3枚ほど葉が分化した後、花芽分化します。さらに、その下のわき芽が少し遅れて発達し、花芽分化します。この、わき芽の発達と花芽分化は低温の影響で生長が止まる12月前半まで続きます。
したがって、秋の生長が旺盛になるように栽培管理を行うと、花芽が多く分化し、翌春多くの花が咲きます。逆に、小さなポットに植えた苗を肥料も与えず放置し、秋遅くに定植した場合を考えてみます。イチゴ苗の生長は低温の影響で定植後すぐに止まり、花芽の数が少なくなります。
ただし、秋の生長を旺盛にしようと必要以上に肥料を与えると、花芽分化が遅れ、翌春の花数が減ってしまいます。

鉢植えの場合

花は咲きましたが、なぜか実がなりません。

A5

咲いた花が果実にならない原因は、1.花粉や雌しべに異常がある、2.受粉を促す昆虫がいない、などが考えられます。
例えば、春先の3月下旬、最初に現れる花は果実にならないことがあります。これは低温の影響で、受精能力のない花粉や雌しべになったためです。またこの時期、受粉を促す昆虫もあまりいません。しかし、4月以降は温度も急上昇し、これらの問題は解決します。
ただし、都会や大きな住宅地、マンション上層階のベランダなど、昆虫がほとんど来ない場所もあります。このような場合は、人工授粉を行ってみてください。イチゴの花は、朝に咲くものが多いようです。開花直後でもまったく問題ありません。人工授粉を行えば、確実に形のよい果実が収穫できます。ミツバチになった気分でチャレンジしてください。

鉢植えの場合

冬から早春の栽培管理の注意点を教えてください。

A6

12月も後半になると、寒さでイチゴ株は生長が停止し、休眠状態になります。休眠中だからと潅水もせずに放っておくと、イチゴ株は乾燥で傷みます。特に、鉢やプランター栽培では、培土の表面が乾いたら晴天日の午前中に潅水してください。寒風が吹く日や午後の遅い時刻の潅水は培土が凍結するのでよくありません。ちなみに、イチゴ株は雪に埋もれた状態でも問題ありません。逆に、凍結を防ぐことができます。
一方、2月末からイチゴ株をやや厚手の透明ビニールで覆って保温すると、開花が少し早まります。市販のトンネル支柱などを使って上からビニールをかぶせ、すき間がないようにします。初めの10日間はビニールをかぶせたままでも問題ありません。新葉の展開が始まれば、敷きわらやビニールでマルチングを行います。開花が始まれば、晴天日の昼間はビニールを少し開けて換気します。昆虫が少ない場合は、人工授粉を行ってください。

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柳 智博さん

柳 智博

香川大学農学部 教授。大阪生まれ、大阪府立大学農学部農学研究科博士後期課程終了後、大阪府立大学農学部助手を経て、香川大学教育学部へ。現在、香川大学農学部施設園芸学研究室教授、農学博士。専門は、イチゴの遺伝育種学的研究。