- Point1
- タネイモはヘソの部分を切って植え付ける
- Point2
- タネイモの芽は上に向ける
- Point3
- 株間、条間ともに約30cmあける
- Point4
- タネイモは畝の上に並べるだけで、土をかけない
- Point5
- タネイモを植え付け後、黒色の穴なしマルチを畝の上からかける
- Point6
- 黒マルチの周囲を土で埋め、イモに光が当たらないようにする
ジャガイモは、タネイモから地下茎が伸び、そこからストロンというわき芽が伸びて肥大したもの。光が当たると有毒物質(チャコニンやソラニン)を産生するため、土寄せの作業は欠かせませんが、今回は土寄せの代わりに黒マルチを使う「ゴロゴロ植え」という省力栽培法をご紹介します。
ジャガイモは茎(ストロンと呼ばれる匍匐枝の先端)が肥大したものなので、本来イモは土の中ではなく、地上部の茎に次々と着生します。しかし、イモが光に当たると、チャコニンやソラニンなどの有毒物質を産生します。そのため露地栽培では、日光が当たらないように土寄せをして遮光するのですが、イモを太らせるには、イモの着生と肥大にあわせて土寄せを数回に分けて行うのが理想的です。
今回紹介するゴロゴロ植えは、イモに光が当たらないように畝を黒マルチで覆う栽培法です。植え付け時にイモを土の中に埋めない分、ジャガイモの生理・生態にかなっており、面倒な土寄せ作業をしなくても、通常の栽培法に比べて約1.5倍の収量が期待できるのが特徴です。
少し木もれ日が差す場所にタネイモを並べて催芽します(陽光催芽)。秋作の場合は、西南暖地で用いられる「デジマ」や「アンデス赤」などの品種を選びます。高温によるタネイモの腐敗を防ぐため、タネイモは分割せずに40〜60gの小さめのイモを使用します。次に、萌芽の揃いをよくするため、ストロンのあと(ヘソ)を少し切り落とし(写真1)、切り口をよく乾かします。大きいタネイモの場合は、芽が2〜3個ついていることを確認し、ストロンから必ず縦方向に切断します。
ストロンのあと(ヘソの部分)を写真のように包丁などで少しカットする。こうすると、萌芽が揃いやすくなる。タネイモを縦に切って分割することがあるが、秋作の場合は切り口から腐敗しやすいので、イモの分割はせず40〜60gの小さめのイモを使用する。大きいタネイモの場合は本文参照。
未熟な有機物がないように、春作の場合は堆肥を秋に施用してよくなじませておきますが、秋作は生育期間全般を通じて地温が高く、土壌微生物が活性化(地力チッソが発現)しているため元肥は与えません。ベッド幅75cm×高さ15cmの畝を立て、表面を平らにならします。
ジャガイモは12〜23℃が生育適温です。30℃を超えると完全に生育を停止し、その時期に植え付けてもイモが腐敗するので、秋作では気温が低下する9月上旬以降に植え付けます。
タネイモの芽を上に向け、条間30cm×株間30cm(2条)で畝の上に並べます(タネイモを切断した場合は芽を上側、切り口を下側にする)。この時にタネイモは並べるだけで、覆土はしません。次に、幅95cmの穴なし黒マルチで畝全体を覆い、光が入らないようにマルチの両サイドに土をかけて固定します。
萌芽するとマルチの表面が盛り上がってくるので(写真2)、その部分に指で小さい穴をあけて、茎葉をマルチの上に出します。その後は、水やりや追肥、土寄せなどは行わずに生育させます(写真3、4)。
マルチの表面が盛り上がってきたら、その部分に指で穴をあけ、茎葉を地上部に出す。
生育中のジャガイモ。黒マルチで覆っているので、イモに光を当てずに育てられ、追肥や土寄せも不要。
秋ジャガイモは、霜が降りて地上部が凍霜害を受けるようになったころに収穫します。地上部の茎葉をハサミで切り、マルチを取り除いてイモを掘り上げます。イモは土の中に半分程度埋まっていますが、スコップで掘り上げる必要はなく、クマデやレーキなどで表面をならすようにして集めるか、手で拾い集めて収穫します(写真5)。
秋作に適した「アンデス赤」。